この時期に総選挙を実施したのは、年末にかけて、アメリカが北朝鮮を攻撃し、第二次朝鮮戦争が始まることがわかっているからだという説がある。
もちろん、戦争は始まらないほうがよいのだが、戦争が始まらない根拠はあまりないのに対し、戦争が始まりそうな兆候がいくつも存在する。
北朝鮮があっさり屈服して、核や弾道ミサイルを放棄してくれればよいが、その可能性はまったくない。
アメリカの要求を受け入れて各種大量破壊兵器を放棄したサダム・フセインは、濡れ衣を着せられ、攻撃されたあげく、逮捕され処刑された。
同じくリビアのカダフィも、辱めを受けて処刑された。
アメリカが、約束を決して守らないことは、歴史が証明している。
アメリカから自国の支配体制を守る方法は、アメリカに負けぬ抑止力を持つ以外にないということを、21世紀の歴史は教えている。
正直者のトランプ大統領は何度も、「対話は無駄だ」と述べている。
アメリカ当局者のうち、北朝鮮と必死の対話を試みつつあるのは、レックス・ティラーソンただ一人だが、彼がトランプの閣僚に留まる意思をいつまで持つことができるか、なんとも言えない。
コリン・パウエルは国務長官在職当時における「イラク大量破壊兵器」問題への自分の対応について、深く恥じているという。
ティラーソンがパウエルの轍を踏みたくなければ、辞職するしかないだろう。
「米国は北朝鮮と話してきた。そして25年間、彼らにゆすられカネを払い続けてきた。対話は答えじゃない!」とトランプが述べたのは8月30日だった。
このころに北朝鮮攻撃を決断したとしても、準備には数ヶ月かかるから、戦争が始まるのは、早くて年内ということになろう。
北朝鮮の先制攻撃による戦争開始はおそらく、ありえない。
どちらが先に攻撃するにせよ、戦争が開始されてしまえば、北朝鮮は数日程度で組織的抵抗は不能となり、壊滅する。
金王朝はもちろん、それを支える特権貴族層の滅亡も、必至である。
北朝鮮が必要な抑止力とは、アメリカの主要都市に到達できる大陸間弾道ミサイルであるが、その開発にはまだ、時間がかかる。
トランプが言っているのは、大陸間弾道ミサイルを持つ前に北朝鮮を潰さなきゃダメだということであり、戦略としては、筋が通っている。
戦争が始まれば北朝鮮が壊滅すると書いたが、北朝鮮が無抵抗でいるはずはない。
日本列島は、北朝鮮攻撃の最前線基地として機能する。
また「日本国」は、すでに法制度が整っている以上、あらゆる手段を使ってこの戦争に主体的に参加することになる。
朝鮮半島有事における「日本」の役割は今や、「後方支援」ではなく、状況によっては、陸戦部隊の半島上陸や空自による空爆支援など、朝鮮半島での作戦が中心となる。
北朝鮮にそれがわかっている以上、在日アメリカ軍基地及び自衛隊の各基地は、中距離ミサイルのもっとも重要な標的となる。
作戦上の拠点と思われる沖縄県嘉手納や普天間、情報機能の拠点と思われる東京都の横田とアメリカ大使館あたりが、初期の段階で狙われることになる(さらに多くのもっと重要なターゲットがあるかもしれない)。
朝鮮半島に出動する自衛隊員とアメリカ軍基地・自衛隊基地周辺住民には、犠牲が出る。
政府首脳は、ワシントンからの開戦通告があり次第、自分の安全が確認されるまで、シェルターにもぐって戦争を指揮する。
安倍晋三氏は、(自分たちだけ)安全なシェルターの中から、北朝鮮による反撃に対し最大限糾弾するとともに、「自分は日本を守るために戦う。国民各位もまた、心を一つにして敵の攻撃を跳ね返そうではないか」と呼びかけるだろう。
「日本国民」は、陸海軍指導者たちが「一億が玉砕しても本土決戦すべきだ」と主張した御前会議が、砲弾の飛んでこない皇居地下のシェルターで開かれていた事実を覚えているだろうか。
戦争指導者はいつも、安全なところにいる。
殺されるのはいつも、罪なき、弱き民草である。