川内村上川内の将軍杉。
坂上田村麻呂が東北征伐の際に植えたと伝えられているので、それを事実と考えれば、計算上、樹齢は1200年をやや超えたくらいとなる。
とても立派な杉だが、樹齢1200年はいかがなものだろうか。
阿武隈にも、田村麻呂伝説は多い。
坂上田村麻呂は、京都政権の尖兵として、自分たちに従おうとしない東北を武力と奸計によって切り崩そうとした人物だ。
田村麻呂らによって捕虜にされた人々は、関東地方などへ連行され、そこで暮らすことを強いられた。
田村麻呂らに対し、頑強に抵抗した伝説上のリーダーが「悪路王」である。
川内村の伝説では、悪路王が拠点とした場所は、川内村最高峰の大滝根山になっている。
以上の伝説から考えても、悪路王は、東北住民の抵抗のシンボルであり、彼は暴虐な侵略者と戦うために、故郷の山に立てこもったヒーローであるはずなのだ。
建国神話にも、西国から大和へ襲来した「神武天皇」軍に抵抗した「ナガスネヒコ」とか「土蜘蛛」などの「悪者」が登場する。
彼らもまた、侵略者から故郷を守るために戦った勇敢な人々だった。
歴史は、勝者のために書かれる。
勝者が書きたくなかった歴史が知りたければ、理性を働かせなければならない。
蛇足かもしれないが、田村麻呂以前の大和(京都)政権軍の敗北の事実を記録した歴史記者や、抵抗者たちが存在したことを建国神話に記録した歴史記者たちには、史家としての学問的良心を感じている。
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