以前であればアプローチだけで半日くらいかかりそうなのだが、圏央道に乗れば道志あたりに行くよりずいぶん近くて驚く。
塩水橋への林道の途中まで、約3時間で行けた。
金沢キャンプ場のところで林道は通行止めになっていた。
林道歩きがやや長くなるが、スタートが早いので問題なし。
雪シロの入った中津川は、堂々たる流れだった。
飲まず食わずできたので、塩水林道に入ってしばらくで小休止。
ミソサザイのさえずりがなんだか懐かしい。
「ワサビ沢出合」と小さな道標のあるところで登山道に入り、本流を橋で渡る。
コンクリ道をしばらく行き、道が消えたところで、ワサビ沢を渡渉する。
やや増水しているので、渡渉にはやや苦労する。
ここからしばらく道はないが、鹿道らしき踏みあとがある。
踏みあとをトラバースしていくと、登山道に合流する。
この登山道は、どこから来ているのだろうか。
すぐに弁天杉への分岐。特に道標はない。
下り気味のトラバースしばしで、弁天杉。
杉の植林地に生えているのだが、その巨大さは芦生の巨杉に匹敵する。
登山道に戻って、登高を続ける。
しばらくトラバース登りだが、踏みあとが消えたところで尾根に急登し、その後はずっと尾根上を行った。
尾根上に踏みあとはないが、ヤブもないので、問題なし。
とてもキツイので、休みたいが、平坦地がまったくない。
しかしいくらかでも荷を軽くしたいと思って、まだ早いが、スギ林を抜けたほぼ中間点あたりで腰を下ろした。
周囲はモミ・ツガの天然林に変わる。
なかなかの大木なので、ここも見ごたえがある。
尾根の上はモミ・ツガだが、斜面はブナ・イヌブナの天然林である。
下草がほとんどないのは、鹿に食われてしまったせいか。
生えているのは、ブナとイヌブナが半々くらいで、ミズナラも少し混じっていた。
我慢の登りでエンザンギの頭。
展望もないので、ここはスルーし、タレイの頭まで行って休んだ。
この付近では、防獣柵の工事をしている最中だった。
防獣柵は二重に立てられており、とても厳重だった。
サクの内側ではスズタケが茂っており、防獣効果は歴然としているように見えた。
柵にはいたるところに柵を説明する看板がぶら下げられていた。
こんなにたくさんの看板を設置する必要はあるのだろうか。
看板には「山麓の開発によって鹿が追い上げられた」と鹿激増の原因まで特定してあったが、この点についてはずいぶん議論のあるところだと思う。
残雪はほとんど消えており、残った雪もしだいに緩みつつあった。
27年前に丹沢山に来たときには登山道のぬかるみに閉口したのだが、このルートに関しては、それほどひどくぬかるんではいなかった。
みやま山荘前まで結局、5時間かかり、さすがに疲れた。
この日の花粉は風に乗って暴れまくるのでなく、漂っている感じだったが、西側の展望はとてもよく、富士山はもちろん、南アルプス南部もはっきり見えていた。
この日の気温は20度を超えていたらしく、ずいぶん暖かかった。
ひと息入れて、天王寺尾根方面への下山路ヘ向かう。
ブナ林の中の急な下りだが、徹底的に階段が整備されている。
新しい階段は景観にそぐわない感じだが、古くなったものは樹林帯にほどよく溶け込んで、雰囲気がよい。
堂平分岐では天王寺尾根へ入る。
ブナもあるが、しだいに杉が多くなり、変化に乏しい。
何も考えずにいつしか天王寺峠。
北側に道はないから、古い峠ではなさそうだ。
本谷側へ少し下ると水が出ていたので、水を補給。
ここまで暖かいと、1.5リットルではとてももたない。
あとは林道を下るだけだった。
テングチョウやルリタテハ、ヒオドシチョウらしき蝶などが飛んでいて、早くも春爛漫という雰囲気だった。
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