盛春の里山
− 九鬼山から菊花山 −

【年月日】

2010年5月1日
【同行者】 単独
【タイム】

禾生駅(7:33−リニア見晴台(9:17)−九鬼山(9:30)−札金峠(10:42)
−植野山分岐(11:11)−馬立山(11:20)−沢井沢ノ頭(11:38)
−菊花山(12:25-12:30)−無辺寺(15:34)−大月駅(15:34)

【地形図】 都留、大月 ルート地図

落合水路橋
チシオタケの仲間

 壬生駅で降りたハイカーは、自分ひとりだけだった。
 先日の坪山のことを考えると、山歩きの世界にも、過疎と過密が激しく進行している現実を思わせられる。

 国道をしばらく、戻り気味に行き、橋を渡ったところから山ぎわへの道に入る。
 すぐにレンガ造りの落合水道橋をくぐる。
 明治時代の建造物だが、レンガの色も落ち着いているし、なによりアーチが美しい。
 構造美と耐久性を両立させたこの技術には、感心させられる。

 すぐに愛宕神社コースと杉山新道コースの分岐。
 しばし思案して、杉山新道に入る。

 最初はずっと植林の中。
 さほど暗くないので、草花も適度に咲いていた。
 アケボノスミレ・ホウチャクソウ・ホタルカズラ・ヒトリシズカ・イカリソウ・チゴユリ・ジュウニヒトエ・タチツボスミレなどを鑑賞しながら行く。

 アバラ沢を渡るとすぐに、みゆき尾根コースの分岐。
 どちらを行ってもいいのだが、すぐに尾根にとりつきそうな杉山新道を行く。

ホウチャクソウ
ジュウニヒトエ

 雑木林ではあるが、アカマツ混じりの荒れた山で、環境はあまりよくない。
 つづら折れの道を少し頑張ると、尾根の上。
 ここでさっき分かれた2号路が出合う。

 傾斜は緩むが、尾根は乾燥しすぎていて、花が少なかった。
 緩やかに登っていくと、リニア展望台で、西側が開けていた。
 電車は走っていなかったが、本社ヶ丸や南大菩薩が一望できた。
 ここでのもうけものは、鶴ヶ鳥屋山の右の、北岳だった。

アケボノスミレ
リニア展望台から北岳

 鈴懸峠への分岐を分けるとすぐに富士見平で、愛宕神社コースが登ってきている。
 ここからは、富士山が大きい。
 九鬼山から富士山を望むには、ほぼ唯一と言っていい展望台だ。

 九鬼山の山頂はそのすぐ先で、こちらは北側が伐開されているものの、南側の展望はない。
 滝子山・雁ヶ腹摺山・雲取山など、知った山が重なっている。

富士見平から富士山(大きな写真)
ヤマザクラと雲取山

 今日はここから、北の尾根を下る。
 道が北東尾根に下っていくので、いかがなものかと思ったが、北東尾根から沢の源頭をトラバースして北尾根に乗るのだった。
 このあたりから札金峠にかけては、気持ちのよい雑木林。
 ようやく、落ち着いて歩くことができる雰囲気になった。

 少し長く感じる登りで、植野山の分岐。
 そのすぐ先の馬立山も、いったん南東方向に下っていくので、不審に感じ、登り返してルートを調べたりしたが、南東に下ってから北東への尾根に移るのだった。

 だらだら行くと、沢井沢の頭。
 じつは、神楽山か厄王山経由で猿橋に下るつもりだったので、ここは北東方向に直進すべきだったのだが、ついフラフラと、菊花山への北西尾根に入り込んでしまった。

山笑う
フデリンドウ(大きな写真)

 もっとも、こちらの尾根を下って困ることは何もない。
 野鳥の声が聞こえるので、カメラを構えてみるが、雑木林も葉を広げ始めたため、被写体を捉えるのが難しくなった。
 山では珍しく、メジロが撮れたので、まずは満足。

 その点、蝶はしばらくじっとしていてくれるから、はるかに撮りやすく、ミヤマセセリやヒオドシチョウが撮れた。

ホタルカズラ(大きな写真)
コナラの花に来たメジロ

 荒れた感じの植林地が多くなり、気温の高い季節に歩くのは苦しい尾根をさらに行くと、菊花山。
 ここは意外に好展望のピークで、富士山が大きく見えたが、さすがに午後を回ると、雲がまとわりついて、やや見苦しかった。

 見晴らしのよいやせ尾根を一気に急降下すると、大月駅への近道と無辺寺経由の道との分岐。
 ここは無辺寺を見学することにする。

イカリソウ
ミヤマセセリ(大きな写真)

ヒオドシチョウ(大きな写真)
無辺寺の大トチ

 なぜか地蔵様の立っている古峰神社を見て、すぐ下にある奥の院に参拝したが、建具が壊れたままになっているなど、ちょっといい感じはしなかった。
 「菊花山」と山号額のかかったお堂の中を覗きこむと、不動様を祀ってあるらしかった。

 無辺寺の本堂は赤いトタン屋根の建物で、お寺の周囲が工事中だった。
 本堂裏には、トチの巨木が生えているのだが、木の周りに孟宗竹がはびこっていて、とても見苦しかった。

 ここから大月駅までは、すぐだった。
 荒れた感じの山ではあったが、山の中で一度も車道を渡らなかった。