元橋から三国峠

【年月日】

1996年8月31日
【同行者】 2人
【タイム】

元橋(6:30)−平標小屋(8:50)−大源太山(10:14)
−三国山(12:25)−三国峠(1:25)−三国トンネル(1:50)

【地形図】 三国峠

トリカブト
カリガネソウ

 三国トンネル出口の駐車場にMTBをデポし、元橋の平標山登山口へ。
 浅貝から北は道路も乾いていた。

 松手山コースは急なので、パス。
 平元新道を行く。
 ここの右手、六日町営林署が分譲している別荘地には、すでにたくさんの別荘が建ち並んでいた。
 林野庁が民営化されれば、日本中の山がこうなるという見本だ。

 林道のわきははじめスギ林、やがてカラマツ林に変わっていく。
 林縁にわずか残ったウワミズザクラの実が赤く色づいている。
 沢沿いのヤブにからんだヤマブドウはまだ青い。

 道ばたにカリガネソウの小群落。
 この花、林道のへりに生えることが多いが、最近あまり目にしない。

 途中のゲートまで自動車を乗り入れているハイカーが多く、ゲート前は路上駐車の車が多い。

 かなり歩いてようやく登山道の入口。ここで水を補給。

 登山道のまわりは、ササの下生えの中のカラマツ林。
 見るべき花はなにもなく、わずか日の射すところにイヌトウバナやカメバヒキオコシ。
 ゆるい登りなので気持ちはよい。

 ところがある程度の高度になると雨雲の中に入ってしまうのか、パラパラと小雨が降りはじめた。
 二週つづけて雨の谷川連峰だ。

 でも、雨の恵みというものはありがたいもので、カラマツ林に点々と、早くもハナイグチで出ていた。
 中には先に登った人がとっては捨てたのあったので、それも丹念に拾いながら登った。
 ツエタケも何本か、いいのがとれた。

 カラマツ林が終わると傾斜がきつくなってダケカンバ林。
 ここのブナは皆伐されてカラマツが植えられたのだろう。
 急登をひとがんばりで、灌木帯となり、平標小屋に着いた。
 ここでひと息入れる。

 今日はここから南へ向かう。
 ここはシャクナゲ、ミヤマカエデ、ミヤマナラ、オオカメノキ、アカミノイヌツゲ、リョウブ、ドウダンツツジなどの灌木林とササ原とお花畑が交互に出てくる気持ちのよい尾根道だ。
 灌木林なのでキノコはないかと思いきや、カバイロツルタケがいくつか出ていた。

 初秋のお花畑も見ごたえがある。
 タテヤマウツボグサ、アキノキリンソウ、ウメバチソウ、コゴメグサ、エゾシオガマ、アザミ、オヤマリンドウ、イワショウブ、ヨツバヒヨドリ、ツルリンドウなどが咲いていた。
 なかでもコゴメグサは今が盛りとみえ、離れたところから見た斜面が白っぽく見えるくらいだった。
 木の花では、ホツツジとリョウブが満開。
 リョウブのにおいというのはまことに甘く濃密で、頭がくらくらするほどに蠱惑的だ。

 まもなく聞けなくなるメボソムシクイのさえずりをききながら、少し登りになると大源太山への分岐。

 ダケカンバの下に、ヤマイグチやシロヤマイグチが出ていたが、もう古かった。
 クロベやシャクナゲのまじる広い切り開きを行くと、足元にはシラネアオイの大株に実がついていた。

 水準点のような石標を過ぎた少し先に小さな広場があり、真ん中に三角点がおかれていた。
 展望はよさそうだが、この日はガス。

 幸い雨がやんだので、ここで大休止。
 ひさびさに豪勢なキノコうどんを食べることができた。
 この日はハナイグチ、ツエタケ、カバイロツルタケが入ったのだが、やっぱりハナイグチがおいしい。

 霧雨は腰をあげるまであがっていてくれた。
 ありがたい。

 大源太分岐から南へもあまり登り下りのない稜線漫歩。
 赤紫の美しいヤマハギ、キオン、ハンゴンソウなどもけっこう目を楽しませてくれた。
 三国山が近くなるとアザミやオヤマボクチも多くなる。

 オヤマボクチは色のない地味な花だが、針の山のようにとがった無数の花の先に、霧雨のつぶがたくさんついては光っている。
 アザミもおなじだ。
 展望がないのは残念だが、霧のつぶで化粧した花を見られるのは、こういう天気なればこそだ。

 三国山の巻き道分岐では迷わず直進して、ピークをめざす。
 急登しばしで三国山の肩。
 三角点はすぐ先の広場にあった。

 ここはノコンギク、イワインチン、ヤマトリカブト、エゾシオガマ、ヤマハハコ、ウメバチソウ、キンレイカ、ミネウスユキソウなどが咲く、ちょっとしたお花畑だった。

 その下はロープの張られた階段道。
 そして、灌木の中の急降下だ。
 三国峠にはりっぱな神社。
 峠からはラフロードながら広い道になる。
 小沢に降りつくと、今日の山行で唯一の落ち着いた樹林帯。

 沢沿いにあったカツラの大木。
 ひこばえがたくさん出ていて、ちょっとうるさそうだが、なかなかりっぱな木だった。
 これは伐らずに残したのだろう。
 トチの壮年木も多かったが、実はひとつもついていなかった。
 山側ではツガの大木が一本。根元におかれた風化した道祖神が歴史を感じさせた。

 三国権現御神水というわき水を汲んで、ザックを少し重くしたが、自転車のあるトンネル出口は、すぐ先だった。