苗場山ブナハリタケ紀行

【年月日】

1989年9月15〜17日日
【同行者】 極楽蜻蛉と友人
【タイム】

9/15 小赤沢(7:20)−三合目(9:30)−頂上湿原(12:50)
  −山頂ヒュッテ(2:10)
9/16 山頂ヒュッテ(7:30)−神楽峰(8:50)−霧ノ塔前峰(10:45)
  −小松原小屋(1:50)
9/17 小松原小屋(4:20)−金城山(6:00)−上結東(8:20)

【地形図】 苗場山

 苗場の山塊を背負った小赤沢の集落には水の流れが多く、家のすぐ下に水流を引いてヤマメを飼っている家が多い。
 これで家がよく持つと感心。

 やや傾斜が楽になり、樹林帯が開けて荒地ようになった好ましい場所(おそらくここが三合目だと思われる)に近づくと、不審なエンジン音。
 ヘリコプターが近くを飛んでいるのかと思ったら、自動車のアイドリング。
 林道はじつはここまでのびていたのだ。

 ほんの少ししか登らないが初めて展望が開ける場所にきたので、またもやザックを下ろして休憩。
 どんなきっかけであっても休憩する。

 一本調子のかなり疲れる登りがつづいた。
 樹林帯の中を次の合目表示を期待しつつ登っていく。

 六合目付近で最後の水場。
 最後の急登が始まる手前だ。

 西側が開けているがガスのため展望はない。
 斜面には、シラヒゲソウ、トリカブトが咲いて疲れを慰める。

 頂上台地は、尾瀬が原を山上に持っていったようなところで、晴れていれば展望も最高によいだろうが、この日はガスが流れるあいにくの天候。

 しばらく行くと、樹林帯を抜けて、また広い湿原。
 静かな木道の上をひとしきりで山頂ヒュッテ。

 テントを張っておそい食事にする。
 山上のビールがうまい。

 ガスがしだいに濃くなり、雨が降りだしたので、テントにもぐりこむといつしかうとうとしてしまう。

 夕食をとるべき時間になったが、私は腹がすいていなかったので、小屋でビールを買って友人の煮たキノコをつまみに飲む。

 そうしているうちに再び雨になったので、早々にテントへ。
 雨はしだいにきつくなり、やがて激しい雷鳴を伴うので生きた心地がしなかった。
 雷の音が遠くなるにつれて眠くなり、いつしか眠ってしまった。

 翌朝は、テントをたたく雨の音のため、なかなか起きだす気にならなかったが、霧雨になったとき、思い切って外へ出た。
 登りもきついが、雨のなかの急な下りも神経を使う。

 神楽峰手前の鞍部のあたりは、一面お花畑となっており、ウメバチソウ、アキノキリンソウ、コゴメグサ、オヤマリンドウなど秋の花。
 シモツケソウ、ヒメシャジン、ミネウスユキソウ、ヤマハハコなどはすでに花がらとなっていた。
 タカネナデシコが一輪だけ、名残の花をつけているのが印象的。

 カミナリ清清水は苗場山の水場のなかでは最もおいしい水であった。
 そこからさらに登って尾根に出、さらに登ると神楽峰の山頂。

 神楽峰からしばらくゆるく登下降して小松原への分岐。
 樹林帯のなかの単調なところであるが、ここの途中で道端にナラタケの群生した木を友人が発見。

 霧ノ塔は二千メートル近い高度を持つ双耳峰で、山頂は背のあまり高くないササとシャクナゲと潅木におおわれており、展望のよいところである。
 ここに生えているクロマメノキにはたくさん実をつけているのがあったので、ここでは休憩をかねてクロマメ摘み。

 そろそろ登るのがいやになってきたが、がまんして登っていくと、釜ノ峰。
 ウメバチソウ、コゴメグサが多い。

 北から西にかけての空が晴れてきた。
 久しぶりに見る青空だ。
 はるか北には日本海が見える。

 ロボット雨量計・避難小屋は柱がひしゃげており、屋根が沈んでいて、雨宿りのために使うこともまず不可能であろうと思われるほど荒廃していた。

 右側の枯れ木にブナハリタケが無数に群生していた。

 しばしの下りで、今夜の泊まり場である三角屋根の小松原小屋。

 中に入ってみるととても綺麗に使われていた。
 遅い食事をとったあと、そこに荷を置き、小松原湿原の方へ散歩にいく。

 小屋に戻ると、同宿者となる三人パーティが到着。
 キノコとビールを交換した。

 翌朝は早起きをした。

 しばらく下って、小さな沢にぶつかり、さらにかなり水量のある沢を渡る。
 そこからコブを一つ越え、金城山への登り。
 雑木林に囲まれており、展望はない。

 金城山からは、やせ尾根伝いの急降下である。
 見倉の集落を抜け、吊り橋を渡りながら川を見ると、なかなかいい景色だった。