2日目
まずは、ガスに煙る、仏生ヶ岳への登りだ。
夜半に雨が降ったらしく、樹の枝や下草は、露をたっぷり含んでおり、衣類が濡れた。
少し登って、仏生ヶ岳の西を巻く。
このあたりのトウヒの森も、やけにすっきりしているのだが、太根を鹿にかじられている木がたくさんあった。
樹皮ガードを徹底的にかぶせないと、まずいことになると思われる。
孔雀岳手前で鳥の水という水場。
ここは山頂直下の尾根の上なのだが、これでも、渇水期には枯れるのだろうかと思われるほど、豊富な水が出ていた。
孔雀岳を巻いて過ぎ、再び尾根の上に出たところが、孔雀の覗というところ。
ここは、東側が崖のため、大台方面の展望がよさそうなのだが、この日はガスのため、何も見えず。
シダの下生え
| 岩場にはコキンレイカ
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このあたりから、下生えは丈の低いササとなり、晴れていれば、東側は気分のよい展望が広がりそうな感じ。
しかしこの日は、ササについた水滴がズボンの裾を濡らし、それが靴の中までしみて、あまりありがたくなかった。
ゆるく下って行くと、地形図に橡(とち)ノ鼻と記載された地点。
地名からしてちょっとした難所であろうと想像していたら、まずは蔵王権現の銅像。
サイトによっては不動像と書いてあるが、これは明らかに蔵王権現である。
シモツケソウも咲く
| 蔵王権現銅像
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その先はキレット状の岩場だが、鎖が下がっているし、岩場そのものは基本的に巻くので、通過は容易。
この岩場には、コキンレイカやシモツケソウなど、ちょっとした花も咲いていて、いいところだった。
このあたりはガレ場・岩場なので展望はよく、斜面には、八ヶ岳の「大同心」「小同心」のような岩塔が突き出していて、とても立派だ。
屹立する岩場
| 釈迦如来像台座
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再び大きな岩場を巻くと、釈迦ヶ岳の登り。
急登しばしで釈迦如来像の立つ山頂に着いた。
釈迦如来像は、たいへん大きなもので、これを前鬼から一人で担ぎ上げるなど、ちょっと想像できない。
台座には、建立に関わった人々の名前・その趣旨や、いろんな仏や天などのレリーフが施されており、たくさんの象がそれを支える形になっていた。
しばし休んで、どんどん下ると、潅頂堂の建つ、深仙避難小屋。
灌頂堂の中をのぞかせてもらったら、中央に役の行者、左右に各種行者像が並んでいた。
深仙の水場である香精水を見に行くと、途中に「神変大菩薩髭塚」と彫られた大きな石塔があった。
潅頂堂
| 神変大菩薩髭塚
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岩の割れ目からしみ出す水場は、思ったよりよく出ていて、500ミリペット1本汲むのに、1分くらいあればよさそうだった。
岩場には、ホトトギスが咲いており、名前のわからないキイチゴが実っていた。
深仙の小屋は、楊子ヶ宿よりずっと狭いので、おおぜい泊まることはできない。
ここをあてにするなら、テントかツェルトが必要だろう。
イチゴ
| ホトトギス
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大日岳へはすぐなのだが、行場である山頂への道はとても急で、たいへんそうだったのでパス。
素直に巻いて、太古ノ辻へ出た。
太古ノ辻には、かつて石塔か何かだったのではないかと思われる背比べ石のわきに、「ここより南奥駈」と書かれた道標が立っていた。
都合4日、このコースを歩いたのだが、それでもまだ、全体の4割くらいしか歩けていない。
大峰山脈のスケールの大きさがよくわかった。
ササの下生え
| 太古ノ辻
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この日は、ここから前鬼に下る。
下り始めてすぐに、木製の階段道。
どうもこの階段はあまり風情がない上、濡れていると滑りそうでいやなところだ。
階段が一息ついたところは、前鬼川源頭のガレ場で、登りの際には、最後の水場となる。
大きな木を見ているうちに、ついうっかりして、ケモノ道に入ってしまったが、すぐに戻ることができた。
クヌギタケ
| チチタケ
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山腹のトラバースしばしで、二つ岩という岩塔に至る。
ここも行場らしい。
原生林ではなさそうだが、広葉樹の森には、クヌギタケやチチタケなどが、いくらか出ていた。
ミズナラの大木を見ながら行くと、切り立った岩場にたくさんの木が生えたところから、枯れ沢状の下りとなる。
トチの大木が目立つようになると、まずはツガの巨木林である。
ここは、登山道から少し外れたところに、何本ものツガ巨木が群生していて、すごいところだ。
さらに少し下った枯れ沢に、今度は巨トチが数本。
根回り2メートルを越すのではないかと思われる巨木が2本あった。
ネットで前鬼の様子を調べても、巨木があるという情報は目にしていなかったので、この巨木帯は、意外な発見だった。
その先まもなくで、杉並木となり、かつて前鬼に暮らしていた人々の屋敷跡に来る。
しっかりした石垣は残っているが、屋敷があったと思しき平坦地には、すでに大きなスギが生えていた。
屋敷跡に生えた大杉
| 小仲坊行者堂
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前鬼集落の一番下の屋敷が、この日の宿の小仲坊(五鬼助義之氏宅)だった。
連れと待ち合わせしていたため、受付する前に石段で腰を下ろし,足を調べたら、ヤマビルが2匹、むこうずねに食いついていて,1匹はすでに吸血を始めているのだった。
たぶん、巨木帯であまり身動きせずに写真を撮っていたため、その時にとりつかれたのだろう。
この日は食事つきで泊めていただいたため,同宿の皆さんとこもごも交流したり、五鬼助さんのお話を聞いたりすることができて、よかった。
3日目
前鬼から林道ゲートまでは,30分の歩きだった。
小仲坊
| 不動七重滝
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