白井差新道から両神山

【年月日】

2012年12月15〜16日
【同行者】 全部で15名
【タイム】

12/15 白井差口(9:19)−山中宅(9:43-10:09)−ブナ平(11:21-11:30)−
     剣ヶ峰(12:27-13:08)−清滝小屋(14:20)
12/16 清滝小屋(6:48)−八海山(7:12-7:20)−会所(8:03-8:15)−日向大谷(8:53)

【地形図】 中津峡、長又、両神山 ルート地図

 同じメンバーで10月に、八丁峠から両神山に行ったのだが、今度は別コースから両神山をめざした。
 白井差から両神山に行くのは20年ぶりだったが、その時には、一位ヶタワから登る古い道を行った。
 古い道が廃道になり、代わって白井差新道が開かれたと聞いていたが、なかなか出かける機会がなく、今回の山行は非常に楽しみだった。

1日目

昇竜の滝

褶曲した岩(大きな写真)

 白井差口へのバスは予定よりやや早く着いた。
 この時期にバスを降りると、いつもは震えあがるほど寒いのだが、この日の寒さはさほどでもなかった。

 山中さん宅で入山手続きをしながら、記念バッジなどもいただき、車道の終点まで送っていただいた。
 うららかに晴れて暖かい日だったが、さまざまな心づくしをいただいて、心も暖かくなって山道に入ることができた。

 山に入ってすぐに、昇竜の滝を見る。
 12メートルほどの直瀑だが、さすがに水量は少なかった。

 その先しばらくで、道左に山ノ神の祠がある。
 神様にも、入山の挨拶を兼ねて拝礼した。

 沢沿いを行くのだが、概ね自然林が続く。
 シオジやカツラの林だが、新緑の季節にはまた、格別な美しさだろうと想像された。

 オオドリ河原の平坦地を過ぎて小尾根にとりつくと、傾斜がいくらかきつくなる。
 まだいくらも歩いていないのに、今回は足がちっとも上がらず、このあたりで既に、かなり苦しかった。

ブナ平付近の若ブナ林

ヤマザクラ大木

 周囲にはブナやミズナラなどの若木が多くなり、ブナ平が近くなったことを感じる。
 このあたりから右上方に、頂稜に連なる大岩壁が見える。
 灰色の岩と青空が好対照で、美しい。

 ジグザグに登って行くと、ナツツバキの木のある平坦なブナ平に着き、小休止をとった。
 ブナ平は小広く暖かな陽だまりで、冬山なのに、汗が吹き出すほどだった。

 ブナ林を抜け大きなヤマザクラを見てジグザグになったあたりから、樹林越しに武甲山が見える。
 林床にミヤコザサが密生した気持ちのよい斜面になると、尾根は近い。
 尾根に出るとすでに山頂直下で、前回は得られなかった大展望の剣ヶ峰までは、すぐだった。

剣ヶ峰から八丁尾根

剣ヶ峰から赤岩尾根

 10月にここに着いたのは、日没が切迫した16時半近くだったのだが、今回は到着時刻はまだ12時半と、余裕はたっぷりだった。
 展望もまずまずで、雲も多かったが、御座山や近景の山々、信越国境から志賀高原あたりにかけての雪山などが望まれた。

 のんびりと大休止して、ゆるゆると下山にかかる。
 前回ヘッドランプを点灯して下った鎖場も、日中はさほどの悪場でなく、スムーズに下ることができた。

 小屋をのぞいたところ、登山者の姿が見えなかったので、今回もお世話になることにした。

清滝小屋近くの大カツラ(大きな写真)

落葉したシオジ林

2日目

 翌日、目が覚めたのは、夜中の3時前だった。
 小屋の戸がガラっと開いて、人が入ってきた。

 変だなと思っていたら、入ってきたのは2人の夜行人間で、大きなカメラと三脚を持っていた。
 その人たちは、しばらく立っていたが、そばに横になり、毛布をかぶって寝てしまった。

 夜行人間たちは、夜明けの写真でも撮りに来た人かと思ったが、われわれが外に出たあとも、毛布をかぶって寝ていた。
 彼らが何ものなのか、けっきょく最後までわからなかった。

明けゆく空

弘法の井戸凍る

 日向大谷への道は、両神山表参道である。
 新緑や紅葉の時期がとてもきれいだが、冬枯れの表参道も悪くない。
 八海山への下り道にはシオジやカツラの大木が随所にあり、葉を落としたそれらの樹木の幹が、ひときわ立派に見えた。

 快晴の日曜日だけあって、登ってくる登山者もちらほらいたが、普段に比べればやはり静かな両神山だった。
 八海山と会所で小休止をとりながら、のんびりと下った。

朝日の中を行く

伊波羅天

 日向大谷手前の小沢を渡るところで、3人ほどのガン黒のお姉さんがいた。
 まるで演劇でもやってるような服装をしていたが、あの人たちも、正体不明だった。
 今回の山行では、不思議な人々との出会いが多いと思った。

荒沢不動

秩父市内から望む両神山(大きな写真)

 日向大谷が近くなると、民宿両神山荘の犬が先頭を歩いてくれた。
 バス停に着いたときにも相変わらず、空は真っ青だった。