ガスに煙る岩峰群
−赤岩尾根−

【年月日】

2009年7月12日
【同行者】 単独
【タイム】

小倉沢(9:03)−赤岩峠(10:13-10:17)−赤岩岳(10:37)
−1583メートル峰(11:40)−P3(12:30)−旧八丁峠(13:00)
−八丁峠(13:17)−上落合橋(13:50)−小倉沢(14:23)

【地形図】 両神山 ルート地図

 立処山から見た赤岩尾根の印象が強かったので、少しく気になっていた。
 前日に大量の草をむしっておいたし、雨予報が曇り予報に変わったので、思い立って行ってきた。

立処山から望んだ赤岩尾根 (2009,4,18)

トチの大木(大きな写真)

 遠出をしないので、ゆっくり起きて、小倉沢に向かった。
 朝から蒸し暑く、低山歩きにはちょっと向かない日だとは思ったが、いつもの登山口から赤岩峠に向かった。

 風もまったくなく、尾根上までの植林地で早くも、汗だくになった。
 足元にはシャラの花が落ちているくらいで、見るものもあまりなかった。
 どうせ疲れるので、先も長いことだし、意識的にゆっくり行った。

赤岩岳から望む大ナゲシ

コキンレイカ

 オオルリ・ホシガラス・シジュウカラの声が聞こえるが、それも暑げな感じ。

 峠直下のトチ林が葉をつけているときに来たのは初めてだったが、とても立派だった。
 峠へのトラバースで、イタヤカエデの倒木が道をふさいでいた。
 上の方から動物が下りてきた。
 のんびりした歩き方はカモシカのそれだ。

 詰めの急登では、シオジの双葉がたくさん出ていた。

 赤岩峠で小休止して、腹ごしらえと登山支度。
 エゾハルゼミの声が賑やかだ。
 眼鏡を老眼鏡じゃないのに変え、念のため、スワミベルトを締めて8環を下げた。
 たぶん使わないのだが、こういうものを付けているだけで気持ち的に余裕が出る。

1583メートルピーク(大きな写真)

ネジキの花

 赤岩岳へはもちろん、北稜ルートを行く。
 踏みあとをしばらくトラバースして、ルンゼ状のところを急登し、小尾根の上に出る。
 右に行くと岩場だが、高度感もさほどなく、手がかり・足がかり豊富で、ほとんど問題なし。
 岩場の上は、ヒノキとツガの樹林帯をひと登りで、赤岩岳に着いた。

 大ナゲシと違って、360度の展望というわけにはいかないが、好展望である。
 天気は今ひとつだが、奥秩父はひとわたり見えており、八ヶ岳もよくわかる。
 眼下の小倉沢の彼方には破不山。
 北側がガスっていたのは残念だった。

 すぐとなりのピークで踏みあとが二分する。
 右の道の方が明瞭なのだが、そちらだと南への尾根に行ってしまうので、左の道をとる。

 ミズナラやツガの大木が点在し、ヒノキ・シャラ・アセビなどの混じる尾根を登降する。
 木漏れ日の射すところにはコアジサイ、岩場にはコキンレイカが咲く。

 尾根が90度右に折れると岩峰で、北側の岩根伝いにトラバースし、木の根をつかんで急登して尾根上に立つ。
 その次の1583メートル峰は、威圧的な岩壁を構えており、苦労しそうなので、しばし腰を下ろして岩場を観察する。
 すぐわきで、ネジキが咲いているが、可愛い花だ。

 クライムダウンで鞍部に立ち、南側の岩根から壁にとりつく。
 よく見ると、見た目ほどの傾斜でない上、手がかり・足がかりは意外に多く、あちこちにトラロープも下がっているので、ルートはわかりやすい。

 右上へと斜上気味に登っていくと、壁の途中でキイロスズメバチに遭遇した。
 初秋の岩場にスズメバチが巣くっているのをときどき見るが、こんな壁の中にハチの巣があるのでは、かなわない。
 よく観察すると、そいつは単なる離れバチで、巣があるわけではなさそうだったので、ハチを刺激しないよう、こっそりと登っていった。

イワタケ

イワキンバイ

 その後も、岩峰を次々に越えていく。
 これらの岩峰にはイワキンバイがさかんに咲いていた。
 岩場に突き当たると、巻き道か直登のいずれにしてもさほど困難な箇所はなく、尾根上の踏みあともだいたいはっきりしているので、このあたりでルートを間違えることはなかった。

 P3とP2には小さなプレートがとりつけてあった。
 このあたりではタカネママコナが咲き始めていた。
 P2からP1あたりまで来ると、ガスが濃くなってき、周囲がまったく見えなくなった。

 P1のそばまで来ると、手ごわそうな岩場だったが、南側に巻き道があって、完全にエスケープすることができた。
 完全エスケープも何だかな〜と思ったが、巻き終えた地点からの踏みあともよくなかったので、ここはパス。
 とりあえず、いかにも古げな道標の前で、ひといき入れた。

古い道標

コアジサイ(大きな写真)

 岩場歩きが終わったので、とりあえずほっとして下っていくと、旧八丁峠。
 切り通し状の地形は残っているので、ここからトンネル入口あたりに下りることができるかも知れない。

 八丁峠へはピークをもう一つ、越えねばならない。
 コアジサイの咲く中、登っていくと二基のお宮。
 覆屋もしっかりしているが、幣帛が下げられた様子もないから、祭典はもうやっていないかも知れない。

八丁峠近くのお宮

ヤマアジサイ

 このピークの下りで若干ルートミス。
 どうも、どこかで道を失ったようだが、どこではずしたか、わからない。
 おそらくお宮の手前あたりで、左にトラバースしなければならないのだと思う。

 山道に戻ってすぐに八丁峠。
 ムササビタケに似たきのこやイタチタケなどが出始まっていた。

 八丁沢に沿うあたりでは、トリアシショウマ・カラマツソウ・ヤマアジサイなど、白い花がよく咲いていた。
 車道に出ると、ひどい暑さだった。