秩父御岳山(2)
−強石から落合へ−

【年月日】

1996年12月14日
【同行者】 単独
【タイム】

落合(11:02)−MTB−強石(11:28)−杉ノ峠(12:28-12:39)
−御岳山(1:33-1:55)−落合(3:00)

【地形図】 三峰

肩のピーク

 落合の村営温泉遊湯館の駐車場に車をとめ、MTBで強石に向かう。
 下り案配の平坦な国道なので、らくちん。

 集落手前の広いところに自転車をデポし、強石へと歩く。

 国道の反対側でガサガサとヤブをこぐ音がするので、よく見ると、サルの大集団が私とは逆方向に歩いて行くところだった。

 強石集落にはいると、御岳山への道標があちこちにあるので、それにしたがって登っていく。

 強石はものすごい傾斜の斜面に成立した大集落だ。
 人家はほとんど石垣の上に建てられている。
 隣家との標高差が5メートルくらいはありそうだ。
 わが家もまあ、そんなものだが。

 石垣を縫うように、集落内部のセコ道(家と家とを結ぶ道)がつけられており、そこを登っていくが、うっかりすると、ひとさまの家の庭に迷い込んでしまう。

 まだまだ家があるのだが、ずいぶん登った。
 まうしろには、熊倉山がでーんとそびえている。
 秩父市から見るとぱっとしないが、このあたりから見る熊倉はなかなかりっぱなのだ。

 最後の人家の上で、シバ拾いをしているおばあさんと出会った。

「いいあんばいです」
「いいあんばいだね。あったかくて助かるね」

 会話が通じるのがうれしい。
 ほんとはここは、「いい案配でヤンス」というのが正しいのだが。
 それをいうと、地元民だとばれてしまう。

 桃源郷のような里だ。

 林道と別れ、山道にはいると、スギ林の中の道だ。
 道に渡された細いわら縄に、御幣が下げてある。
 それを見ると、神域に入ったという感じになる。

 かなり傾斜のあるスギ林を登っていくと、飽きるころに杉ノ峠。

 朽ちた小祠と風化した地蔵様が、大きなスギの根元に鎮座していた。
 ここにはりっぱなあずまやもあるのだが、杉の根元が陽だまりであたたかいので、そこで小休止。

 ここからは尾根道。けっこう傾斜がある。
 いくらか雑木もでてくるがだいたいスギばかりだ。

 登りついたところは鉄塔の立つ小ピーク。
 地図に記号のあるところだ。カラマツが植えられているが、少し東に下ると、新しいヒノキの植林地となり、北側にとてもすっきりした鋭峰がそびえているのが見えた。
 この山は御岳山の前衛峰だが、姿はなかなかすばらしい。

 いったん下って前衛峰へと急な登り。
 この上には、共聴アンテナが建っていて、展望もまずまずだ。
 しかし、今日はどういうわけか、春霞がかかったような天気で、晴れてあたたかいわりに、見晴らしはきかない。
 山頂には、普寛神社木の社の裏に、石祠の小さな山の神。
 神社のかたわらの鐘を手で叩くと、美麗な音がする。
 一段下がったところにあるトタン張りの小さな不動堂には、不動様の三尊像が安置されていた。

 小休止ののち、落合に向かって下山開始。
 はじめは急だが、すぐに植林の中のジグザグ道。
 下る一方なのでらくだが、こういうところで膝を痛くしやすいので、意識的にゆっくり下った。

 すぐに庵ノ沢の源頭で水場。
 その先も沢に沿ってどんどん下ると、ぽっかり落合の庵ノ沢稲荷神社に出た。
 ここの狛犬はお狗様。  そのすぐ先が普寛神社。
 ここのは普通の狛犬。
 普寛様で拍手、拝礼して、遊湯館に戻った。

 この日はそれからナメコの収穫に行くので入浴はあきらめたが、併設されている歴史民俗資料館で村のあらましなどを見学して帰った。