盛春の雲取山
−三峰神社から雲取山−

【年月日】

2010年5月8日〜10日
【同行者】 全部で3名
【タイム】

5/8 三峰分校跡で幕営
5/9 三峰分校(5:30)−お清平(7:16-7:25)−白岩小屋(8:30-8:40)
   雲取山荘(10:03-10:15)−雲取山(10:45-11:00)−雲取山荘(11:23-11:26)
   白岩小屋(12:45-12:55)−お清平(13:58-14:10)−三峰分校(16:14)
5/10 三峰分校(6:48)−大輪(8:20)

【地形図】 雲取山、三峰 ルート地図

一日目(三峰分校まで)

ミヤマカタバミの群生
三峯神社シャクナゲ園にて

 今年も雲取山に出かける季節になった。
 昨年は重荷を背負って長沢背稜を歩いたのだが、今年は荷物を軽くして三峯神社から往復することになった。

 疲れがたまっていたので、発車したバスがミスタードーナツの前の信号を曲る前には、完全に眠っていたと思う。
 三峯神社の手前で目がさめたが、とてもよい休憩になった。

 三峰分校あとで設営した後、少し時間があったので、三峯神社に参拝に行った。
 参拝客はそれほど多くなかったが、土曜日とあって、境内を歩く人の姿がちらほらと見られた。

 足元にはミヤマカタバミが大開花していて、みごとだった。
 これほどたくさんのミヤマカタバミを見たのは、鈴鹿・霊仙山以来かもしれない。
 境内では、アズマシャクナゲやミツバツツジも満開で、すこぶる美しかった。

 桜もいくらか咲き残っていたので、アミガサタケが出ているかもしれないと期待したが、残念ながらきのこは一つも見つけることができなかった。

 この夜は、中に常軌を逸した大騒ぎをしているパーティがあって、文句を言いに行ったりしたので、ゆっくり眠ることができなかった。

二日目(三峰分校から雲取山往復)

 出発時刻が5時半と決められていたので、普通であれば4時に起床すれば十分、余裕を持って行動できるはずだ。
 それなのに、なかには3時前から騒ぎながら食事の支度にかかっていたパーティがあって、またまたトホホな朝となった。

 4時から準備をしても出発のずいぶん前にスタンバイすることができた。
 今回の同行者は二人とも初めてのロングコースだったので、スローペースがいいと思っていたのだが、トップのペースがとてもよく、理想的な歩きだったと思う。

 山歩きは、速く歩いてたくさん休むより、スローに休まず歩いた方が疲労も少なく、結果的に早く歩くことができる。
 「前から人が来たら道を譲り、後ろから人が来たら道を譲る」というマナーを守って歩いていたら、休憩地点のお清平には、一番最初に着いてしまった。

 お清平あたりでは、ハシリドコロがみずみずしい花を咲かせており、ニリンソウはまだほころび始めたばかりだった。
 カエデの花もまだ咲いておらず、春の展開が例年より遅いことが感じられた。

ニリンソウほころぶ
前白岩から富士山が見えた

 お清平への登りも、案じるほどのこともなく、坦々と登ることができた。
 途中、リスが道を横切ったのだが、写真に撮ることはできなかった。

 前白岩からの下りで富士山が見えたのは、初めてだった。
 雲取山に登るのはこれで5回目だが、これは新発見だった。

 白岩小屋で2度目の小休止。
 ここも、晴れてくれると絶景だ。
 足元の大洞の谷からは瀑音が聞こえ、北は両神山から、南西の飛龍山までが一望だった。

 ここから大ダワまでは、基本的に緩い下りとなる。
 しかし、下りだからといって、乱暴に歩いてはいけない。
 どんな山でも、しっかり歩かなくてはいけない。
 枯れ木の多いところで、ヒガラの群れがわれわれのすぐ近くで飛び回った。

 大ダワからは、女坂を行けという指示があったので、素直に巻き道を行く。
 こちらは針葉樹の涼しい森で、足元に咲くバイカオウレンが可愛らしかった。

 再び尾根に出ると雲取山荘。
 前夜泊まったお客さんが出払った時間にあたったのか、人影はまばらだった。

 少し休んで、山頂へ向かう。
 バイカオウレンがここでは満開だった。
 以前来た時よりも、シカよけの網が多くなったような気がした。

バイカオウレン咲く
雲取山から富士山(大きな写真)

 雲取山の山頂に着くとき、最も気になるのは富士山が見えるかどうかだ。
 今回は、くっきりとまではいかないものの、湯ノ沢峠の彼方に富士山が見えたので、まずはうれしかった。

 雲取山からの展望に関し、じっくり調べたことはないのだが、甲武信三山の左に見える奥秩父の高山は国師ヶ岳のようだ。
 とすると、金峰山は見えていないことになる。

 飛龍山の右に間ノ岳と北岳が見える。その右には仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳がよく見えている。
 間ノ岳・北岳の手前には鳳凰三山があるのだが、雪が少ないため、はっきりとは見えなかった。
 飛龍山の左には塩見岳が見えており、さらに左には、荒川岳・赤石岳・聖岳まではどうにか見えた。

 奥多摩方面の山座同定は、大岳山を基準にすればよい。
 大岳山や先日登った鷹ノ巣山が見えていた。

 北側は、樹林の間からの展望となる。
 天祖山が無傷で見え、その向こうには三ツドッケが見えていた。

 山頂でしばらく休んで、ゆっくりと下山にかかる。  雲取山荘では水を補給するだけにして、白岩小屋までワンピッチで行った。

ヤマザクラほころぶ
人馴れしたシカ(大きな写真)

 白岩山付近まで来るとシカが出てきた。
 人馴れしているし、あまりきれいなシカではなかった。

 お清平への下りにもシカがいたが、このシカはつかず離れずついてきて、結局お清平まで同行することになった。
 野生動物に会うのはよいが、このように人馴れした動物には感心しない。

 そういえば、白岩山付近で、ルリビタキがすぐ前の登山道を飛び回った。
 望遠レンズを持ってれば、いい写真が撮れたかもしれない。

 急な下りで、若い人が足を痛くしたので、お清平へはゆっくり下り、三峰分校まではワンピッチで下った。

 この日の夕食は焼きそばだったが、4人分を3人で食べても、まだ食べられそうな雰囲気だった。

二日目(三峰分校〜大輪バス停)

 3日目は朝6時半に閉会式ということだったので、全体起床は4時だったが、われわれは4時半に起床ということにした。  三日間、晴天に恵まれたため、テントがほとんど濡れなかったのは幸いだった。
 食事と撤収をすませてもまだ十分時間があったため、ぼんやりして時間をつぶすしかなかった。

 帰りのバスは大輪発8時24分だから、けっこう忙しい。
 若い人の足も不安だったし、閉会の式が終わってからバスが出るまで1時間半で大輪まで下るのはちょっと難しそうだったので、自分がトップで下ることにした。

 表参道の下りは初めてだったが、意外と急傾斜なので、最初は意識的にゆっくり歩いた。
 他のパーティに次々に追い抜かれたが、他の人たちが休んでも休まずにゆっくり歩き続ければ、さほど遅れをとることはないものだ。

 下り始めてしばらくで、2軒の人家を見る。
 いずれも近くに道路のようなものは見えなかったので、現住者はおられないようだった。

緑に染まるシオジ巨木(大きな写真)
大杉並ぶ表参道

 さらに大きなスギをいくつも見た。
 同行者と感心しながら下っていったが、下のほうに行くほど大きなスギがあるので、最後は目が慣れてしまい、大杉にもあまり驚かなくなった。

 沢音が近づいてくると、シオジやサワグルミ、トチなどの大木もあらわれた。
 なかでも、シオジの大木は、幹がねじれていて、すごい迫力だった。

小滝
カツラ大木(大きな写真)

 バスの時間を気にしながら歩いていたのだが、ロープウェーの駅跡まで下れば、あとは舗装道路を歩くだけだから、最後はかなり飛ばした。

 おかげで、われわれのパーティは十分間に合ったのだが、もう少しのところで間に合わなかったパーティもあった。
 われわれも、間に合ったのはよかったのだが、もう少しゆっくり樹木観察などしながら歩きたかった。