大弛峠には相変わらず、たいへんな数の自動車がとまっていた。
登山者の数もすごかった。
急ぐとろくなことはないので、ゆっくり登り始めた。
せっかくなので、鳥の声を聞きながら歩いた。
シラビソの樹林帯ではヒガラ・ルリビタキが多かった。
ルリビタキはとても多く、登山道を横切るルリビタキを2羽、見かけた。
朝日岳直下のゴロ石帯で小休止。
雲が多く、富士山の一部は見えていたが、南アルプスは全く見えなかった。
国師・甲武信・両神など、近くの山はよく見えた。
朝日岳を越え、ゆるく登降しながら鉄山を巻くと、早くも、ハイマツが現れ、金峰山山頂のゴロ石帯に出る。
足元には、ミネズオウやコメバツガザクラに混じって、キバナシャクナゲも咲いていた。
山頂を越えると、五丈岩前の広場で、先行していたパーティが休んでいた。
同行者が頑張ったおかげで、ずいぶん早くみんなと合流できて、ひと安心だった。
五丈岩に登ろうとしたが、苦戦していると、同僚が呆れた顔で「いいかげんにしろ」というサインを送ってきたので、素直に従った。
下山ルートは石がゴロゴロしているところなのだが、かなり苦労して、全体のスピードが落ちた。
露岩やゴロ石を登降するのはふつうのコトなので、早く慣れてほしい。
砂払ノ頭から樹林帯に入ると、ペースは通常に戻った。
大日岩からは、八ヶ岳の一部が望まれた。
予定より約1時間遅れで、大日小屋についた。
水はいつもよりやや少なく、カップがないと汲めない状態だった。
大日小屋のトイレは、若い人には、けっこうショックだったと思う。
炊事の手際はよかったが、品数が多かったため、いつもより時間がかかった。
われわれが着いたときには、ツェルトが1張だけだったのだが、あとから幕営者が続々と到着し、テント場はほぼ埋まった。
テント場の周囲では、ヨタカやトラツグミなどが不気味に鳴いていた。
夜中にトイレに行こうとしたとき、雨音がテントを叩き始めていた。
低気圧が接近しているのはわかっていたので、好転は望めない。
瑞牆山はちょっと無理かなと思った。
起床時刻には雨は本降りとなった。
練習だと割り切れば、瑞牆山に行ってもよかったのだが、悪条件の登山で怪我をしてもバカバカしい。
相談の上、瑞牆山はパスして、富士見平からそのままそのまま下山ということにした。
予期せぬリラックスタイムとなった。
それでも数分遅れで出発することができ、富士見平小屋へゆるゆると下る。
大日岩周辺でもそうだったが、アズマシャクナゲがちょうど満開で、樹林帯は淡いピンクに彩られ、夢幻のような風情だった。
富士見平小屋で小休止してテント場代を払ったのだが、大日小屋のテント場代が1000円に値上がりしていて、驚いた。
ほとんど管理されていないのにこの料金は、高すぎではなかろうか。
雨もやみ、樹間から瑞牆山もほの見えた。
瑞牆山荘バス停には、余裕を持って一番バスに間に合う時間に着くことができた。