塩山駅を出たころは曇りだったが、一ノ瀬の林道に入ったあたりで雨になり、登山口に着くとけっこうな降りになった。
もっとも、本降りではあったが、荒天というほどではない。
山の神土への分岐で小休止した時にもまだ降っていた。
牛王院平に向かって登り始めると、足元がぬかるんで、歩きづらくなったが、とくに問題なし。
きのこがかなり出ていたのだが、クチベニタケやベニナギナタタケくらいしか、写真に撮ることはできなかった。
さほど急でもない道を登りつめると、山の神土の十字路である。
ここで二度目の小休止。
ここから笹ヤブに突入するのだが、雨は相変わらずだった。
コースは、埼玉県に入ったとたんに、道が不明瞭となる。
山梨県側は東京都の水源林なので、手入れが行き届いているのだが、埼玉県にはそれほどの余裕がないのだろう。
ササによって登山道が完全にふさがっているように見えるところもあるが、踏みあとははさっきりしている。
通行に支障はないのだが、トップの若者にはむずかしかったと思う。
一杯水は十分に出ていたが、もちろん、水を汲む人はいなかった。
その先、展望地でも、ガスが濃くて何も見えず、鹿が走るのがかすかに見えただけだった。
西仙波への登りになると南からの強風が吹きつけて、体温を奪う。
雨具のファスナーを上げ下げして保温・換気して、調節する。
東仙波は吹きっさらしなので、少し下った樹林帯で小休止。
このあたりで雨があがったのはラッキーだった。
吹上ノ頭を巻きにかかると、苔むした雰囲気が和名倉山らしい。
八百平の広場まで来れば、幕営予定地までもうひと息だ。
ヒルメシ尾根の分岐には、大きな看板が立っていた。
みんなよく頑張って、まずまずの時間に幕営地に着くことができ、急いで設営をすませた。
展望もないので、山頂に行く意味はさほどないような感じだったが、上の水場で水が出ているかもしれなかったので、水汲みを兼ねて山頂に向かった。
残念ながら水は出ていなかったが、山頂への道すがら、ハナイグチが点々と出ており、写真を撮ってテントへ戻りながら摘んでいった。
またテント場近くには、ハナビラタケの大株が出ていたので、これも持って帰った。
雨はおおむねあがったように見えたが、夜半にはテントを叩く雨音が強くなり、それは朝まで続いた。
明け方になっても雨はやまなかったが、小雨程度で、大した降りではなかったので、炊事にも撤収にも、さほど影響はなく、予定時刻の約10分前にヘッドランプをつけて行動を開始することができた。
北のタル手前あたりはシラビソの若木林で、一帯が苔むしており、とても美しいところなのだが、まだ暗かったので、よく見えなかった。
次第に明るくなってきたが、樹林帯の中はずっと暗いままだった。
雨は、おおむねあがった。
索道あとから下り始めてみると、スズタケはほぼ完全に枯れ尽くしており、二瀬尾根登山道のヤブは消滅したと言える状態で、雨具で蒸れてひどく暑かった。
ここの下り道もぬかるみのため滑って歩きづらかった。
造林小屋あとの水場からは水平道で、しばしほっとできる。
反射板あとまで来れば、残り1ピッチだが、標高差800メートルのひどい急降下が残っている。
状況によっては、2ピッチで下ってもよいと思ったが、休みたいという人がいないまま、最後のジグザグ下りにさしかかった。
ここまで来れば、あとは道路にでて車道を少し歩くだけとなったので、そのまま行った。
二瀬のバス停には、予定より1時間近く早く着くことができた。
たくさんのきのこに出会うこともできたし、とてもいい山歩きができたと感謝している。