笠取山から雁坂峠

【年月日】

2014年8月30日〜31日
【同行者】 全部で8名
【タイム】

8/30 作場平(9:09)−一休坂分岐(9:37-9:45)−ヤブ沢峠(10:17)−笠取小屋(10:33-11:03)
   −笠取山(11:36-11:53)−笠取小屋(12:39)
8/31 笠取小屋(4:59)−雁峠(5:22)−古礼山(6:38-6:51)−雁坂峠(7:53-8:07)
   −雁坂小屋(8:20)−樺小屋(9:57-10:05)−水の元(11:25-11:33)−川又(12:23)

【地形図】 雁坂峠、中津川 ルート地図

 前線が相変わらず停滞し、好天は望むべくもない予想天気図だった。
 出発直前の段階でなお、土砂降りに近い状態だったが、中央本線の車窓から外を見ると、山は雲の中だったものの、道路は乾いていた。

ハナイカリ(大きな写真)
オトギリソウ(大きな写真)

 作場平登山口には何台かの自動車がとまっていたが、いずれも釣り人のものらしかった。
 歩き始めたときには、小雨模様だった。

 沢沿いの穏やかな道を行くと、ベンチのあるヤブ沢峠に出た。
 笠取小屋まであと少しなので、ここは休まず林道を行った。

 この前にここを通ったのは積雪のあるときだったので、周囲の風情はずいぶん違って見えた。
 笠取小屋へは思っていたよりずいぶん早く着いた。

マルバダケブキ大群落(大きな写真)
雁峠から和名倉山(大きな写真)

 雨は完全にあがり、薄日が射す状態だったので、設営後まずは笠取山に向かった。
 早春に一面の雪原だったところは、マルバダケブキの群生地になっていた。
 白沢峠付近の防火帯にも、マルバダケブキがたくさん生えていたから、ここと同じような状態になっているだろう。

 小さな丘を二つ越えてひと下りすると、笠取山への急な登りになる。
 展望台に登りついたが、もちろん展望なし。

 ひと息入れたのち、水干経由で小屋に戻ろうと、シラベ尾根方面へ下る。
 水干の水たまり周辺で、ダイモンジソウが咲いていた。

 寝に就いたあと、風はなかったが、雨が時おり、フライシートを叩いた。
 天気予報は、翌日は曇のち雨と伝えていた。

 3時過ぎに外に出てみると、薄くではあるが星が見えており、まずまずの天気だった。
 出発すると、雁峠周辺でガスが切れて、みごとな雲海を見ることができた。
 雁峠あたりから見た笠取山は鋭角的で、格好のよい山だった。

 燕山への登りはいくらか長いのだが、ジグザグに登っていくので、さほど苦しくはなかった。
 この登りの途中で日が昇った。

燕山での夜明け(大きな写真)
古礼山から黒金山(大きな写真)

 燕山から古礼山までは、尾根上の登り下りである。
 樹林帯が時々切れてササ原に出ると、南側の展望が開ける。
 富士山が少しずつ、輪郭をあらわし始めた。

 古礼山手前のササ原が最も広く、ベンチも設置してあって気分がよい。
 おりしも、雲海の上に富士山が最もはっきりと見えていた。
 黒金山の北側から南側へと雲が流れており、その向こうには南アルプス南部の山々が見えていた。
 国師ヶ岳から黒金山にかけても雲がかかっていなかった。

古礼山から富士山(大きな写真)
イワインチン(大きな写真)

 古礼山から巻き道への下りのあたりは苔むしたいい感じのところだった。
 雁坂小屋への近道を分けると、雁坂嶺・破不山・木賊山あたりが近くなってくる。

 雁坂峠に着いた時にも天気はよかったが、富士山は隠れてしまっていた。
 雁坂峠のお花畑は壊滅状態で、ダルマギク・イワインチンなどがかろうじて残っていた。

 雁坂小屋で水を補給して、突出尾根を下る。
 黒木の暗い樹林帯が、奥秩父らしさを演出する。

キンチャヤマイグチ(大きな写真)
苔むす森(大きな写真)

 ここを歩くのは、4年前の春以来だ。
 その時は、大量の積雪のためにルートを失い、敗退を余儀なくされたのだったが、道がわからなくなった地点が確認できた。
 急斜面に雪が詰まって、道が完全に隠れた状態になったために、ルートがわからなくなったのだが、4年前にここを突破するのは、どうやっても困難だっただろう。

 ガスがまた濃くなってきたので、地蔵岩には行かず樺小屋に直行した。
 樺小屋周辺のコメツガ大木林はみごとだ。

クモの巣満開(大きな写真)
ミヤマウズラ(大きな写真)

 ゆるやかな下りが続くので、ペースがはかどる。
 突出峠あたりの枯れたスズタケに、小さなクモの巣がたくさんかかっていて、なかなかの見ものだった。

 下部の雑木林ではミヤマウズラやヤマジノホトトギスなどがひっそりと咲いていた。

ヤマジノホトトギス(大きな写真)
水の元の地蔵(大きな写真)

 またこの下りでは、きのこもけっこうたくさん出ていて、楽しめた。
 針葉樹林帯でキンチャヤマイグチ・ベニヤマタケ・ハナガサタケなど。
 下部の雑木林・スギ林で、キイボカサタケ・シロイボカサタケ・クサウラベニタケ・タマゴタケ・アカイボカサタケ・シロソウメンタケ・ナギナタタケ・ベニナギナタタケなど。

 川又のバス停から和名倉山を見上げるとやはり、稜線にはガスが垂れこめていた。