笠取山周遊

【年月日】

2012年3月29日
【同行者】 単独
【タイム】

一日目 作場平(9:18)−尾根上(10:01-10:07)−石保戸山(10:45)−ヤブ沢峠(11:56-12:23)
    −笠取小屋(12:39)−笠取山(13:20-13:28)−笠取小屋(14:00)−一休坂(14:33)−作場平(14:57)

【地形図】 雁坂峠、柳沢峠 ルート地図

 この時期、奥秩父の南側斜面は比較的穏やかだということがわかったので、今度は笠取山に出かけた。
 作場平からのピストンではつまらないので、作場平へ西から流下する緩傾斜の沢をつめて尾根に出、石保戸山から北上するルートを考えた。

防火帯の大ミズナラ1
ミズナラとダケカンバ(大きな写真)

 さすが、オフシーズンの平日だけあって、作場平の駐車スペースには、赤い自動車が1台だけとまっていた。
 軽トラを雪の残るところにとめて、西への小沢に入る。
 雪の詰まった沢を詰めなければならないかと案じていたが、沢沿いに立派な仕事道があったので、そちらを登った。

 沢の周囲は、スズタケのヤブで、ここを登るのはかなり消耗だと思わずにはいられなかった。
 道には、はじめから積雪があったが、腐れ雪だったので、特に問題なかった。

 融雪期でなければ、流れもないと思われる小沢だが、源頭近くまで、可愛らしい音を立てて流れており、周囲ではミソサザイのさえずりなども、聞こえているのだった。

防火帯の大ミズナラ2(大きな写真)
石保戸山から望む富士山(大きな写真)

 大きなミズナラが見えてくると、最源頭を横切って尾根上に出た。
 尾根上には、林道が登ってきており、いささか興ざめだったが、ちょうど正面に、富士山が見えた。
 移動性高気圧だったので、ほぼ無傷で、久々に美しい富士山だった。

 すぐ西のピークを巻くと、広い防火帯に出る。
 広いところに、いくつものヤドリギをまとったミズナラやダケカンバの大木が伐り残されていて、なかなか絵になる風景だった。

 ひどく急なピークをひとつ越えて、さらにひと登りしたところが、石保戸山東峰だった。
 防火帯は、ここからほぼ真南に向きを変え刈られているので、ここからも富士山がよく見えた。

 ここからしばらくは、じつのところ、登山道がどうなっているのか、よくわからない。
 地形図では、石保戸山から真北に破線路が記載されているのだが、どう探しても踏みあとらしきものは全くなく、おまけに最近、奥秩父一帯でめっきり枯死の進んだスズタケが、ここでは元気そのもので、雪の重みで左右に倒れかかって、どうにもならない状態だった。

 このような場合、尾根のすぐ西側か東側に巻き道があることが多いのだが、尾根の上をいくらスキャンしても、それらしき踏みあとは存在しないのだった。
 破線路がなくなってしまうのもよくあることなので、道を探すのはあきらめて、ヤブの薄そうなところを押し歩くことにした。
 しかしそれも、下りであれば我慢できるが、密生したスズタケを握りながらずり登るのは、とても勘弁だと思いながら少し行ったところで、西の方からの巻き道に飛び出したので、助かった。

 ここはどうも、石保戸山からいったん南に下り、西側から北に回りこむ巻き道が正解だったと想像せざるを得ない。
 最初の登りでラクをした分、ここでひどく消耗してしまった。

笠取小屋上部の雪原(大きな写真)
笠取山に正対する(大きな写真)

 道はそれまでと打って変わって、ジムニーなら通れそうなほど広くて平坦な林道になる。
 しばらく行って、白沢峠・柳沢峠方面の分岐を見る。

 南北に伸びる尾根の東側を巻いていくのだが、腐れ雪に踏み込むので、あまりラクではなく、ペースがあがらない。
 ヤブ沢峠にベンチがあったので、ここで大休止。

 絵に描いたような移動性高気圧だが、じっとしていると、それなりに寒い。
 ラーメンを一杯食べて、すぐに出発。

 笠取小屋までは、すぐだった。
 ヤブに捕まった時には、笠取小屋に14時に着けるかどうか、危ぶまれるくらいだったが、まだ12時半なので、余裕が出てきた。

白峰三山遠望
笠取山からの富士山

 登山者の姿もなく、小屋前から雁峠にかけての広い雪原は、まことに気持ちよい。
 緩やかに登っていくあたりは積雪も多く、踏み抜くとやや厄介ではあったが、のんびり行った。

 展望のよい雪原に出ると、背後に黒金山や国師ヶ岳がそびえ、彼方に富士山や南アルプスが輝いていた。
 小ピークを越えると笠取山への登りで、かなり苦しいが、たいした距離でないので、すぐに大展望のピークに着いた。  最高点はもう少し先にあるのだが、小休止は展望台で。

 息を整えて最高点に向かうと、北側に、両神山が意外に近く、東に飛竜山も見えていた。
 笠取山は、晴れた日に登れば、とても楽しい山なのだった。

両神山が近い(大きな写真)
笠取小屋

 しばらく休んで、下山にかかる。
 下山ルートは、笠取小屋前から一休坂尾根をとる。
 この道は、作場平への最短コースであり、歩きやすく整備されているが、シャーベット状の雪が残っている部分は滑りやすく、やや気を使った。

 ヤブ沢コースを合わせると、足元は完全な凍結路となったが、軽アイゼンを出すほどでもなく、ほどよい時間に登山口に戻ることができた。