ササ原から原生林へ
- 雨の雁坂峠越え -

【年月日】

2005年10月22日
【同行者】 単独
【タイム】

雁坂峠登山口バス停(6:25)−ナメラ沢分岐(7:50)−渡渉点(8:17)
−雁坂峠(9:40)−雁坂小屋(9:55-10:15)−樺小屋(11:23-11:41)−
突出峠(12:15)−雁道場(12:47)−国道(13:30)−川又バス停(13:50)

【地形図】 中津峡、雁坂峠 ルート地図

 雁坂峠登山口バス停から釣り堀にに行く道路をしばし行き、ショートカットの山道を経て雁坂トンネル料金所へ。
 このあたりではまだ曇り案配で、今ひとつ鮮やかでない紅葉の山肌がよく見えていた。

 料金所を過ぎても簡易舗装の林道が続く。
 道路の20メートルほど先を、まるでナビゲートするかのようにリスが走り、ムクドリが低空で道を横切る。

 約1時間で林道終点。
 登山道に入るとブナ・ミズナラの大木が立派。

沢の流れ
ミズナラ大木

 そろそろ晩秋という感じで、きのこは少ない。
 それでも、ムキタケ、ブナハリタケ、チャナメツムタケ、ブナシメジなどが目に入った。
 ムキタケとブナシメジにはちょうどよかったが、ブナハリタケは遅すぎだ。

 ナメラ沢の下降点に立派な道標があったので下ってみたが、沢に見るべきものはなかった。

 こちらの沢は秩父側より明るい感じがする。
 広葉樹が多いからか、傾斜角が幾分ゆるいせいか、沢石が白っぽいのか。

 小沢を渡り、渡渉点を過ぎてしばらくは沢沿いの道。
 尾根にとりつくあたりからツガがあらわれ、奥秩父らしくなる。
 シラビソが、揃って生えているところもある。

 雨が強くなってきたので合羽を着用。

 最後の水場を過ぎるとようやく本格的な峠への登り。
 しばらく登ると樹林帯を出て、ササの斜面をジグザグに登る。
 雁坂らしい雰囲気だが、周囲はガスだし雨降りなので黙々と登るほかなし。
 花も咲いていない。

 峠は素通りで雁坂小屋に向かう。
 小屋には雨宿りのハイカーが2人。

 葉を落としたナナカマドの枝が、実の重みでたわんでいた。

 トイレ、テント場、水場などを確認していると小やみになったので、突出尾根へ向かう。

ミズナラ巨木
コミネカエデ

 雁坂嶺を巻くトラバース道は、意外なことにカラマツの植林地。
 それもあまり育っていない造林地だった。  国有林の伐採はずいぶん前のことだから、カラマツの成長はかなり遅い感じがする。
 標高が高く、冷え込んでいるせいか、キヌメリガサもほとんど出ていなかった。

 地蔵岩分岐を過ぎると再びコメツガ林になり、東大演習林に入るとまもなく天然のカラマツ大木が点在する樺小屋。
 柳小屋と全く同じ作りだが、ストーブがあって快適そうだ。
 ただこの日、水場がほとんど出ていなかったので、冬季などは水の確保に苦労するかも知れない。

 その先からは何度か訪れた道。
 なんといってもカラマツ巨木が圧倒的だが、ダケカンバやミズナラの大木もあちこちにあって見飽きない。
 雨もあがったので、樹木写真を撮りながらのんびり下る。

 スギヒラタケ、ニオイワチチタケ、クサウラベニタケ、エセオリミキなどがぼちぼち出るなか、すぐに突出峠。
 ここのブナもなかなか大きい。
 倒木にサンゴハリタケ、ハナガサタケも出ていた。

 巨ミズナラにあいさつして雁道場を過ぎると、里山のような風情。
 きのこはハイイロシメジ、カキシメジ、ニガクリタケ、ベニヤマタケなど。

 たぶん民有林だろうけれど、ここにはスギの美林もある。
 多様性に欠けるとはいえ、みごとに枝を打った立派なスギを見ると、山主の苦労が偲ばれる。

 大正11年1月に大滝村在郷軍人分会と青年団によって建てられた石の道標には、「右ハ甲州旧道、左ハ○○○」とあるが「左」の部分は彫られた字を故意にをつぶしてある。
 左はバラトヤ線に接続して釣橋小屋から雁峠に至ったものだろう。
 それが廃道化したため、遭難防止のため字を消したのだろうか。

 国道に出たのは1時半。
 川又で3時のバスを待っている時間は寒かった。