渓畔林見学
−北沢から北沢乗越・ゲンナイ−

【年月日】

2013年12月9日
【同行者】 単独
【タイム】

三岐(8:21)−土平(9:12-9:15)−トチ林(9:50-9:56)−奥の長岩沢出合(10:49-11:02)
−北沢乗越の峠(12:01-12:33)−ゲンナイ(13:01-13:03)−MTB−三岐(13:20)

【地形図】 十石峠 浜平 ルート地図

住まいのあと(大きな写真)
カツラ奇木(大きな写真)

 北沢に入ると、そこら中の犬がワンワンと叫び始めた。
 猟期に入ったので、気が立っているのだろう。

 林道は堰堤の先で終わり、沢の中の道になる。
 とはいえ、えらく丁寧に整備された遊歩道だ。

エゾエノキ(大きな写真)
大トチ1(大きな写真)

 堰堤の上の荒れた河原が終わると、北沢はそれなりに迫力ある様相を見せ、遊歩道からも、大淵がいくつか見えていた。
 しかし、中流部は小さな落ち込みが連続して、小奇麗にまとまった渓相の、平凡な沢となる。

 沢の中ほどには、二ヶ所ほど、石垣の積まれた平坦地があった。
 ここに定住していた人がいた証だ。

 沢沿いには、樹木名を記した説明板が立てられていて、それはそれで親切だといえるのだが、該当の樹木にペンキで赤いマルが書いてあるのは、たいへん汚らしかった。
 下流部では、不思議なコブのあるカツラの大木と、エゾエノキという木が珍しかった。

 土平(どうだいら)とか、かんば平というところには、炭焼き小屋が林立していたという説明が記されていた。
 木炭の大増産時代には、北沢の木はみな、炭に焼かれたのだろう。
 林相は全体的に、貧相だと感じられた。

大トチ2(大きな写真)
大トチ3(大きな写真)

 新山沢が出合う一帯には、トチの大木が数本生えていた。
 これを見ることができただけでも来てよかったと思える樹木たちだった。

 その先は通らずで、右岸の大高巻きになる。
 小尾根の頂上まで巻くと、栂の根元にいわくありげな自然石の碑のようなものが祀られてあった。

 沢身に再び降りたところが、分校跡というところだった。
 ちょっとした平坦地だが、炭焼きの子たちをここで教えたのだろうか。
 位置的に沢床からあまり高くないので、ここに建物があったとしたら、増水した時に危なかったのではないかと思われた。

 その先で左岸に渡るとすぐに、栃平沢と細尾沢の出合である。
 このあたりまで来ると、遊歩道も落ち葉におおわれて、踏みあと程度の道になる。

 細尾沢に入って二つ目の右岸側からの支流が奥の長岩沢で、北沢乗越への登路になる。
 ここの出合で小休止した。

北沢の流れ(大きな写真)
奥の長岩沢出合付近(大きな写真)

 看板の立つ小広場一帯はシオジ林だった。
 「原生林」というから、直径1メートルほどの巨木が林立しているのかと思っていたが、そうではなく、直径40センチ内外の壮年木の林なのだった。

 陽の射さない谷底なので、動かないでいるとすぐに寒くなる。

 奥の長岩沢には、見たところ踏みあとはなく、入り口はちょっとしたゴルジュになっていたが、目印がついており、水量も少なかったので、特に問題なく登っていけた。
 ゴルジュ状のところを抜け、谷が広くなると、いかにもシオジ林らしいところに出る。
 傾斜はきつくなるが、踏みあとはいくらかはっきりしてくる。

奥の長岩沢1(大きな写真)
奥の長岩沢2(大きな写真)

 左手に二段になってしずしずと流れ落ちる細い滝を見て、右側の斜面を登っていく。
 水はなかなか枯れず、かなり上部まで水流が出ていた。
 そのせいか、稜線直下までシオジ林は続いていた。

 ジグザグに登りつめていくと、踏みあとは明瞭になり、無事に北沢乗越の峠に着いた。
 ここまで日陰の北側斜面を登ってきたのだが、ここは暖かな陽だまりだった。

イヌブナ大木(大きな写真)
霜柱が溶けない(大きな写真)

 峠で大休止。  先月来、ここに来るのは三度目だが、ゲンナイとここに、シオジ原生林の大きな看板が立っている。
 シオジ林を見るにはここから踏みあとを下らねばならないのだが、素人が下手に下ると危険な思いをするのではないかと心配になる。
 ゲンナイからここまで完全に遊歩道化されているから、なおさらである。

 あとは、自転車をデポしたゲンナイまで、ゆるゆると下るだけだった。