晦日の山は花見山
−久々沢から桜山−

【年月日】

1996年12月30日
【同行者】 単独
【タイム】

大奈良(11:35)−(MTB)−金丸(11:46)−ツバキ園
(12:56-1:20)−桜山(1:30)−大奈良(2:15)

【地形図】 鬼石

寒桜

 下山口に予定した大奈良登山口に自動車をデポし、自転車で金丸登山口へ。

 三波川の谷は、狭い上、石切り場などがあるので、やや荒廃した印象。

 金丸まで来ると空が広くなる。

 自転車をおり、桜山への道標に従って、しばらく車道を行くと、左にかの「関東ふれあいの道」の看板。

 入口に稲荷様らしき小さな神社。

 さすが低山だけあって、カシ類やアオキ、ヤブコウジなどの常緑樹が多い。

 前方が開けて、久々沢の集落。のどかな山村だ。
 意外なことに、ここは、りんご畑が多い。
 山間の村だが、がんばっておられる農家があるのだ。

 足元には、ヒガンバナの新芽が青々しい。
 石垣では、オオイヌノフグリやハコベなど、春の雑草たちが早くも咲いていた。

 ウメのつぼみもふくらんでいて、季節感がちぐはぐな感じ。

 久々沢を抜けると、ふたたび山道。
 山道の入口に、「馬形大神」「社日五社命」「摩多利神」という奇妙な石塔が三基。
 こういうのははじめて見た。

 その正面には、塗り壁づくりのりっぱな神社。
 何神様が祀られているのか、わからない。

 スギ林をしばらくで、道標のない分岐だが、左に、関東ふれあいの道規格の階段道が見えるので、まちがえようがない。

 ここから山頂直下まで、平坦なところにまで、階段道が続いた。

 ふと、関東ふれあいの道の入札はちゃんとやってるんだろうな、と、疑念がわいた。
 ちかごろ、お上のやることになると、疑念を持つ癖がついてしまっている。

 知り合いの高校生が、「政治家って悪いことするやつのことだろ?」なんて、言ってたな。
 世も末だ。

 スギ林の中に、とても威厳のある神様の石像。
 この世の中、なんとかしてくださいと、お願いしたくなる。
 「どーしようもねえな」という、神様の声が聞こえたような気がした。

 視界が開けて、車道を渡り、ひと登りで、あずまやの建つツバキ園。
 もう、山頂の一角だ。

 朝ご飯がようやくこなれた感じなので、ここで大休止。
 ナメコうどんとお茶。風が全くないのはありがたいが、せっかくの大展望が春がすみでぼやけてしまった。

 ツバキはまだだが、ひと登りした山頂付近のフユザクラは、まずまず見ごろだった。
 ここのサクラは冬に咲いて、春にも咲く。
 一年に二度も咲いてくれるのは、とってもうれしいけれど、あまり無理しないでね、といいたくなる。

 シーズンが終わったものと見えて、山頂の観光客はちらほら程度。
 いい日に登ったものだ。
 以前自動車で来たときには、混んでて、有料駐車場にさえ入れなかった。

 桜山の由来を刻んだ石碑などを見学して、ゆるゆると下山にかかる。

 茶畑のあいだを下ると、桜山集落。

 放棄され、荒れた山畑のあいだを通って、スギと雑木の林を下る。

 小さな山だけに、下山口まで、二十分ほどだった。