根つめ仕事と力仕事が続いていたので、気晴らしに奥武蔵に出かけた。
越生で気動車を降りてバスに乗る。
せせらぎバスセンター行きとあるのだが、せせらぎバスセンターがどこにあるのかわからなかった。
バスセンターで降りるときに、運転手さんが整理券にハンコを押してくれる。
ハンコの押された整理券を持って乗り換えると、日向根で降りるときに、運賃の差額を払えばよいことになっていた。
バスセンター行きも日向根行きも、乗客は自分ひとりだけで、申し訳ないような気分だった。
日向根でバスを降り、小学校あとのくぬぎ村体験交流館の方に登っていくと、天満宮と聖徳皇太子の石碑がある。
聖徳太子を大工・木工の守護神とする信仰があるから、木工の盛んなこのあたりの人々が、建てたものだろう。
まずは、越沢稲荷の大杉へ。ときがわの巨木は、どこも道標が完備してあって、歩きやすい。
このスギは、日向根最上部の畑の上の越沢稲荷前にそびえている。
堂々たる幹と枝垂れるほどに広がった大枝を持つ立派なスギの木である。
多武峰方面に少し歩いたところにあるシラカシは、巨木というほどではないが、とても古そうな大木である。
周囲にはスギの大木もあって、周囲にかつて神社があったのかと感じさせる。
向尾根のヤマザクラ
| 大日如来
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春の花の美しい人家わきを通って、向尾根に向かう。
神社ではちょうど、春の祭典が行われている最中だった。
秋葉神社の小祠前のヤマザクラは、株立ちでちょっと変わった樹形をしている。
これも、巨木というほどでないが、花が咲けばたいへん華やかだろうと思われた。
しばらく林道を行くと、岩穴大日の表示。
岩庇状の道を沢沿いに行き、少し登ったところに大日らしき石仏が安置されていた。
おそらく里修験の遺跡なのだろう。
さらに行ったところで少しルートミスしたが、その先に姥樫の道標がある。
木の橋を渡り、山道になるが、姥樫までは簡易舗装の立派な道である。
道から少し入ったところに立つ姥樫は、この日見た大木たちの中では群を抜いた存在感のある巨木である。
主幹は幾重にも捻れていて、どこが幹なのかさえ、定かでない。
捻れた樹塊から、思い思いの方向に巨大な大枝を突き出しており、少し離れたところから眺めないと、樹木らしい形でさえないような感じだ。
ずっと歩いてきたので、この木を眺めながら一息いれた。
さらに進んでガレ沢の中にカツラの大木。
奥秩父であればさほど珍しいというほどの大きさでないが、秩父の周縁部にこの木があることは、貴重である。
ここから杣道も消えぎえとなるが、踏み跡ははっきりしている。
部分的に急傾斜なところもあるが、アセビやマンサクなどの花を眺めながら、ゆっくり登った。
北側斜面の雑木林の下では、カタクリが芽生えていたが、つぼみばかりで、咲いているのは一つもなかった。
踏みあとと林道を拾いながら登りつめ、スズタケのヤブを抜けると、ちょうどシロヤシオ古木の前に出た。
こちらはさすがにまだ、芽吹いてもいなかった。
新しい年には新しい服を着る
| マンサクの花(大きな写真)
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水平道をしばらく行ってグリーンラインに出、しばし車道を歩くと、ブナ峠。
砥沢のヒノキへは、石田波郷の句碑前から日向根方向へ林道を行く。
20年前に比べて、植林がずいぶん育った印象がある。
アセビ
| カタクリには早い
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シロヤシオ
| ダンコウバイ
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お宮の横にある大ヒノキはシデと合体しており、根張りの立派な古木だった。
ブナ峠からは、以前、登ってきた峠道を下る。
どういうわけか、かつてあったはずの馬頭尊は見当たらなかった。
砥沢の古桧
| 古桧近くの地蔵尊
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下っていくと、登山道を下からバイクが登ってきた。
ナンバープレートはついてなかった。
下から急な登山道や斜面をバイクが次々に登ってきて、カタクリ群落を踏み潰している。
ここは、バイクの走行コースになっているのだろうか。
谷に下るとすぐに林道になる。
見るものはあまりない。
岩井沢まで来ると、観音堂は一見の価値がある。
ハナネコノメ
| 岩井沢観音堂にて
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岩屋に並ぶ石仏やお堂がある。
お堂前の石段には、狛犬があって、神社のようにも見える。
しばらく下っていくと、飯盛峠から下ってきたときと同じ道だ。
正丸駅に行く踏みあとの入口を見忘れてしまったので、西吾野駅まで歩いた。
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