越生〜都幾川の巨木めぐり

【年月日】

2009年12月30日
【同行者】 単独
【タイム】

梅園神社(7:26)−山入の大クス(8:32)−大附日吉神社(9:10)
−西平の大カヤ(10:20-10:38)−萩日吉神社(11:04-11:14)
−関堀の大イチョウ(12:13)−明覚駅(12:49)

【地形図】 武蔵小川 越生 ルート地図

梅園神社
道路わきで見た馬頭尊

 この日はピークをめざさず、山道もほとんど歩かないウォーキング。

 この日は、越生梅林でバスを下車。
 まずはバス停前の梅林神社を参拝。

 本殿は見たところ古くはないように見えるが、簡単な由緒書きが建ててあって、それによれば、もとは小杉天神といって、観応元(1350)年の棟札があるらしい。
 とすると、鎌倉初期だから、相当古い神社ということになる。

 本殿前には大杉が植えられており、周囲はスダジイなど常緑樹の森になっている。
 巨木はないが、植生がユニークだという理由で、埼玉県の天然記念物になっている。

 おそらくかなり以前から、人為の手が入っていないため、関東平野周縁の里山としては極相に近い、典型的な植生なのだろう。
 越生あたりがみかんの産地になっているのも、なるほどとうなづける。

 ここからは、道わきのお寺や石造物などを眺めながら山入へ向かう。

山入の大楠(大きな写真)
山入で見た石像墓石(大きな写真)

 山入に近づくとと、大クスは遠くからでもよく目立つ。
 近くで見ると、開いた口がふさがらないような巨木で、和歌山県でもこれほど大きなのは、めったにないのではなかろうか。
 ランキングには関心がないが、2001年現在、埼玉県内最大の木だという。

 木の回りには木道が設置してあって、根元を一回りできるようになっている。
 説明板には樹齢1000年を越すとあるが、そうだとすると平安時代中期から生きていることになり、1000年という想像を絶する時間も、実感がない。
 寒くはあったが、ここでしばらく、この巨樹を眺めていた。

 大クスのわきの道は山入の人々の墓地に続いていた。
 道わきには、普通の墓石に並んで、石像を彫り込んだものもあった。
 万延元年という年号があるから、幕末である。
 戒名からして、童女か若い娘さんの墓石と思う。
 リアルな表情から、子を亡くした親の悲しみが感じとれた。

 この道をそのまま行くと、都幾川村に出る。
 川を渡ると、大附の集落。  古い地形図にはここから日吉神社への林道が書き込まれているのだが、ゴルフ場ができているために道が消えており、ちょっとの区間ではあるが、不快なヤブこぎを強いられた。

 再び人家のあるところに出て、道路をしばらく行くと、日吉神社の石段があった。

大附日吉神社の大ケヤキ(大きな写真)
西平の大カヤ(大きな写真)

 日吉神社は、かつて山王権現と呼ばれ、神体は梵字の本地仏らしい。
 まさに神仏混淆の信仰である。
 この近くには、西平とここに日吉神社があるが、これらは。天台密教の大伽藍だった慈光寺の守護神という位置づけだったのだろう。
 長禄元(1457)年の創建だという。

 本殿裏には、大ケヤキがある。
 この木は樹齢700年とあるので、神社よりかなり古いことになるが、これらの年数について、確かなことはわからない。

 朽ちた大枝が危険なためか、あるいは自然に枯損したのか、なくなっているのは残念だが、とても若々しい、元気な木だった。

 神社から今度は、ゴルフ場の中の道路を歩いて西平へ向かった。
 ずいぶんと寒かろうに、ゴルフ場はたくさんの客でにぎわっていた。

 ちょっと飽きるころに、西平の大カヤの道標を見る。
 この木は道ばたにあるのではなく、ブル道を少し登ったところにあった。
 木の周囲は切り開かれて、フユイチゴが群生していたが、イノシシがそこら中を掘り返しているので、巨カヤに影響がないか、ちょっと心配になった。

 茨城県・楞厳寺の大カヤのように、お寺の庭に植えられたカヤは見たことがあるが、山の中にこんなに大きなカヤの木が生えているのは、初めて見た。
 これも樹齢1000年という。
 幹まわりも凄いが、枝の張りが東西・南北ともに25メートルという大きさだ。
 周囲の木を伐るなどの手入れもなく、全くの天然放置でこれほど立派に大きくなるものなのだろうか。

 フユイチゴがたくさんあったので、ザックをおろしてしばし、イチゴを摘んだ。

萩日吉神社
日吉神社の猿狛犬(大きな写真)

 道路に戻り、少し下ると萩日吉神社。
 由緒書きには欽明6(544)年に蘇我稲目が創建したと記されているが、これにはちょっと無理があろう。
 しかし、あまたの僧坊を抱えていた慈光寺の守護神として滋賀県大津の日吉大社を勧請したというのは、実態に近いだろう。
 北条政子が、このお宮に若干の田畑を寄進した史実があるようなので、慈光寺の一部として続いてきたものなのだろう。

 境内には、杉の大木が鬱蒼としており、重厚な雰囲気である。
 石段を下りていくと、猿の形の狛犬があって、珍しい。
 オオカミの三峰神社とちがって、日吉神社では、猿がご眷属なのだ。

 神社の入口には巨大な児持杉がそびえている。
 二本の巨杉の間に、小さな祠がおいてあり、こちらは樹齢800年くらいと書いてあった。

児持杉(大きな写真)
関堀の大イチョウ(大きな写真)

 町へ出て、橋を二つ渡ると慈光寺入口。
 ここからのたっぷり1時間の歩きは長くて、かなり飽きてしまった。

 村の中心部から越生方面に少し行ったところに、木のむら物産館があり、そのすぐ先にある関堀の大イチョウは、遠くからも見えていた。
 先日見た、高山不動の大イチョウのように気根を垂らしていないが、人家の庭にある木としては破格に大きい。
 とはいえ、大同2(807)年に植えられたというのは、ちょっとどうかと思われた。

 この日のウォーキングは、これで終わり。
 木のむら物産館でみかんを買って、明覚駅まではさほどかからなかった。