しばらく仕事道を行き、川原に降りる。
小持沢に比べてやや暗く、クモの巣が多くてよくない。
例によって現在地がわかりにくいが、今度はルート図でひとつひとつの滝をなるべく確認しながら遡行する。
「石滝」とある滝が問題となるが、これは左から巻く。
ときおり仕事道が沢を渡る中、「ナメ床」は快適に通過できる。
その先の小滝で釜をへずろうとしたとき、足を乗せた岩が落ち、釜に落ちた。
その先、ルンゼ状の滝は右から登る。
7メートル滝は、ガイドにあるとおり、右から木の根をつかんで登る。
もっともシャワークライムというほどのことはない。
ガイドにある沢だけあって、主なホールドは、コケがとれているのですぐにわかる。
小屋がけのマークのあるあたりには、それらしきものは見えず、ゴルジュに突入する。
いちばん下は釜の左をへずる。
これはややむずかしい。
最後がここの核心となる10メートル滝。
ガイドにあるとおり、右の流水の中を岩穴に入る。
ここまで来ると、戻るのはかなり困難となる。
岩穴から瀑流へトラバース、一回目はホールドがわからず引き返し、次に瀑流をまたぐようにして登りきる。
ここはザイルがほしいところだ。
その上からは急に水流が細くなり、時に伏流となる。
まもなく植林地が見えてき、右手に小屋がけがあらわれて、遡行終了となる。
しばらく、右手の仕事道をジグザグに登る。
かなりの急登だが、支稜の上に着くと展望がひらけ、床のある小屋がけの前に出る。
ここで渓流靴を運動靴にはきかえる。
ここからもかなりの急登。
ヒヨドリバナ、ヤマハハコ、タケニグサ、イワアカバナ、ホタルブクロなどが咲いていた。
キイチゴの赤い実もちらほら。
尾根に出ると急にのどが渇いた。
かんジュースはもう二本飲んでしまった。
約20分のつらい急登を終えると仕事道が消え、ヤブこぎとなるが、大したことはなく、登山道に飛び出し、ようやく大持山に着く。
潅木の中に入るとずいぶん涼しい。
ここで最後のジュースパックを飲みほし、妻坂峠に向かう。
ヒヨドリバナが多いが、コバイケイソウ、ヤマユリなどもある。
運動靴がすべって弱ってしまう。
妻坂からの下りはさすがに街道だけあってしっかりしているが、ヤブが覆いつつあるところもあった。
水場まで下るとほっとした。
妻坂からの道にはマタタビ、ウバユリなどがあった。
はじめてピークまでつめることができたのはよかったが、この日の秩父は39度という観測史上最高の暑さとあって、日乾しになりそうだった。