美しい雑木の尾根を歩く
−蕨山から金比羅尾根−

【年月日】

1989年3月16日
【同行者】 単独
【タイム】

名郷(8:15)−尾根の上(9:30)−蕨山(10:00)
−大ヨケの頭(11:30)−有間ダム(12:55)

【地形図】 原市場

蕨山から武川岳を望む
有間山から望む蕨山
 名栗湖の駐車場に自動車をデポし、河又のバス停へ。
 河又バス停には、小学生が遊んだり、けんかをしたりしていた。
 7時52分発の湯の沢行きのバスが、名郷方面への一番バスなのだ。

 バスは、小学生で満員、まるで遠足バスのようなにぎやかさだった。
 が、彼らが名栗車庫前で降りてしまうと、後に残ったのは、ハイカー3人だけとなった。
 蕨山へ向かったのは、私一人。

 白っぽい林道が終わると、沢沿いの山道。
 ハナネコノメが、可愛い花を咲かせていた。
 ガレてくると、道は不鮮明になった。

 右岸のガレを登ってみると、イワウチワの群落。
 まるい葉っぱが、斜面一面に広がっている。
 よく見ると、つぼみがたくさんついており、まもなく花が見られそうだ。

 尾根に出ると、ありがたいことに、かすかな踏みあとがある。
 それをたどると、広い防火帯の道に飛び出した。
 ようやく頂上に着いたのは、10時。

 快晴だったので、展望はなかなか良かった。
 まず、北西に、鞍部を隔てて、蕨山のもうひとつの山頂が目の前に見える。
 その向こうには、大持山と小持山。
 これらの山にさえぎられて、武甲山は見えない。
 その北には、目の高さに武川岳、さらに伊豆ヶ岳・古御岳の双耳峰。
 西には、橋小屋の頭から、有間山に至る稜線が近い。
 この稜線の中程を道路が走っており、工事をしている音が聞こえる。

 南を見ると、木がやや邪魔をしているが、日向沢の峰の北面が白い雪をかぶって光っているのが認められる。
 南東で最も著しいのは、長尾ノ丸のなだらかな山容である。
 東には、これから下山に使う金毘羅尾根がうねり、彼方には、通いなれた奥武蔵の山々が重なる。

 昨年以来の、このあたり一帯の山歩きの総まとめといった感じだった。
 10時40分、下山にかかる。
 藤棚山のピークは、雑木林に囲まれたちょっとしたコブ。

 さらに下ると、道が右に折れるところに大岩が露出していて、展望台になっていた。
 ここに出てみると、尾根の北の733mピークが近く見え、反対側には日向沢の峰の横に川苔山が顔を出していた。
 ここで写真を撮り、また下っていくと、大ヨケの頭。

 大ヨケの頭からも、ササの生えた気持ちの良い尾根が続く。
 小ヨケの頭を過ぎ、いくつかのピークをこえながら下っていくと、金比羅神社。
 神社の社殿の中には、日清戦争時の戦捷の額が正面に飾ってあった。

 暗い植林のなかを稲妻状に下る道には、見るべきものはほとんどない。
 ひたすら下っていくと、デポした自動車のまん前に飛び出した。