名栗湖の駐車場に自動車をデポし、河又のバス停へ。
河又バス停には、小学生が遊んだり、けんかをしたりしていた。
7時52分発の湯の沢行きのバスが、名郷方面への一番バスなのだ。
バスは、小学生で満員、まるで遠足バスのようなにぎやかさだった。
が、彼らが名栗車庫前で降りてしまうと、後に残ったのは、ハイカー3人だけとなった。
蕨山へ向かったのは、私一人。
白っぽい林道が終わると、沢沿いの山道。
ハナネコノメが、可愛い花を咲かせていた。
ガレてくると、道は不鮮明になった。
右岸のガレを登ってみると、イワウチワの群落。
まるい葉っぱが、斜面一面に広がっている。
よく見ると、つぼみがたくさんついており、まもなく花が見られそうだ。
尾根に出ると、ありがたいことに、かすかな踏みあとがある。
それをたどると、広い防火帯の道に飛び出した。
ようやく頂上に着いたのは、10時。
快晴だったので、展望はなかなか良かった。
まず、北西に、鞍部を隔てて、蕨山のもうひとつの山頂が目の前に見える。
その向こうには、大持山と小持山。
これらの山にさえぎられて、武甲山は見えない。
その北には、目の高さに武川岳、さらに伊豆ヶ岳・古御岳の双耳峰。
西には、橋小屋の頭から、有間山に至る稜線が近い。
この稜線の中程を道路が走っており、工事をしている音が聞こえる。
南を見ると、木がやや邪魔をしているが、日向沢の峰の北面が白い雪をかぶって光っているのが認められる。
南東で最も著しいのは、長尾ノ丸のなだらかな山容である。
東には、これから下山に使う金毘羅尾根がうねり、彼方には、通いなれた奥武蔵の山々が重なる。
昨年以来の、このあたり一帯の山歩きの総まとめといった感じだった。
10時40分、下山にかかる。
藤棚山のピークは、雑木林に囲まれたちょっとしたコブ。
さらに下ると、道が右に折れるところに大岩が露出していて、展望台になっていた。
ここに出てみると、尾根の北の733mピークが近く見え、反対側には日向沢の峰の横に川苔山が顔を出していた。
ここで写真を撮り、また下っていくと、大ヨケの頭。
大ヨケの頭からも、ササの生えた気持ちの良い尾根が続く。
小ヨケの頭を過ぎ、いくつかのピークをこえながら下っていくと、金比羅神社。
神社の社殿の中には、日清戦争時の戦捷の額が正面に飾ってあった。
暗い植林のなかを稲妻状に下る道には、見るべきものはほとんどない。
ひたすら下っていくと、デポした自動車のまん前に飛び出した。