二日目
夜中じゅう、雨は降り続いた。
夜半には一時土砂降りにもなったので、その時には困ったものだと思ったが、テントを直接叩く雨音は次第に静かになった。
出発時刻にはほぼ明るくなっていたので、青空が見えていた。
劇的に晴れの一日になることは考えられないから、この晴天は一時的なはずだ。
シラビソの樹林帯を抜けて白ザレの道になっても、空はまだ青かった。
振り返ると、樹林越しに雲海が見える。
とりあえず、いい景色を見ることはできそうなので、期待しながら歩を進めた。
オベリスク直下に立つと、4年前と同じような雲海が見えた。
これは上出来だった。
駒ヶ岳には雲がまとわりついていた。
アカヌケ沢ノ頭まで行けば白峰三山が見えるはずだったが、こちらにも雲がかかり始めており、目の前の観音岳にも同じようなガスがかかり始めていた。
とりあえず、白峰三山を拝むことができただけでも、よしとしなければなるまい。
観音岳手前の鞍部で小休止。
西からの風の通り道なので、とても寒く、ここで雨合羽を羽織った。
観音岳はスルーして、薬師岳をめざす。
晴れていればここは絶景の尾根なのだが、残念なことにこの日は何も見えなかった。
タカネビランジ・ホウオウシャジン・イワインチン・ミヤマコゴメグサなどを見ながら、薬師岳で小休止。
薬師岳からは、慎重を期して1ピッチを約50分と決めて、オーバーペースにならないように行った。
シラビソの森の急下降だ。
下るにつれて、暑くなってくるのがわかる。
きのこは、それなりによく出ていた。
ベニテングタケ・スミゾメヤマイグチ・オオウスムラサキフウセンタケ・ウラベニイロガワリの仲間など。
苔の美しいところも、何ヶ所があった。
曇った日には、苔の写真が綺麗に撮れる。
林道を渡ると、カラマツ林の急下降となる。
ハナホウキタケのみごとな菌輪やミヤマウズラの小群落を見て楽しみながら、下った。
最後になってバテた同行者もいたが、ほぼ思った時刻に青木鉱泉に着くことができた。