3日目
三日目は、台風接近予報だったのだが、朝からまたも快晴。
とてもありがたかった。
前日にバテた同行者も元気を取り戻し、早暁から西農鳥岳に取りつく。
ずいぶん寒く感じたので、長袖のシャツに雨具を着て登る。
中ほどまで登ったところで、ご来光を見た。
西農鳥岳からは、岩塊の間を縫って進む。
そういえば、間ノ岳の下りからシコタンソウを見ない。
ホシガラスは何羽もいたが、ライチョウは出てこなかった。
農鳥岳からの展望も秀逸だ。
南アルプス南部では、悪沢・赤石・中岳・塩見が見える。
中央アルプスは全山。
北アルプスは、槍・穂高よりやや北の山まで見えていた。
ここまで来れば、厳しい登りはない。
眼下に見える下降点まで、森林限界を味わいながら下った。
ヤグラの立つ大門沢下降点は、この山行最後の森林限界だ。
メンバーの中には、もう二度とこんなところには来ない人もいるから、長めに休んで涼しさを堪能する。
最初は草原、ついで灌木帯で、やがてシラビソの樹林帯に沈んでいく。
急降下が続くので、腰を下ろす場所がない。
沢音の聞こえるところまで一気に下るのはきついので、傾斜がややゆるくなったところで小休止。
恐ろしく急なこの道を軽装で登ってくる人もいるから、すごいものだ。
沢沿いの道になれば傾斜が緩み、大門沢小屋まであと少しだが、昨日の行程を反省して、小休止を一度入れた。
大門沢小屋に着いたのは11時前だったので、テント場は空いていた。
ラジオの天気予報は、下界の気温が38度だと言っていたが、さすがにここまで下ってくると、日なたでは暑いので、小屋裏の樹林帯に幕営した。
この日は時間があるので、まずはテントで爆睡。
夕食後、再び爆睡。
空気が濃いのでよく眠れるのだろうか。
4日目
しっかり眠った翌朝は、同行者たちも完全に元気を取り戻した。
薄暗い中、足元も悪いのに、スピードがずいぶん速い。
原生林の小尾根で小休止。
ここからチチタケに備えてビニール袋を用意したが、ベニタケ科の白っぽいきのこが出ていただけで、チチタケは一つも見なかった。
広河内の大堰堤と取水ダム付近では、三年前に来た時と同様に、何かの工事が行われており、登山道が付け替わっていた。
土をかき混ぜていれば税金が流れ込んでくるここのシステムは、相変わらずらしい。
工事現場の壮大さとは裏腹に、ちょっとみすぼらしいあずま屋で休んで、奈良田には8時前に着いた。
温泉の前で待っていたら、以前とと同じように、8時半過ぎにはお風呂に入ることができた。