よく晴れた白峰三山

【年月日】

2016年8月6〜9日
【同行者】 全部で14人
【タイム】

8/06 広河原(10:18)−小休止(11:25-11:36)−大樺沢二俣(12:47-12:59)
   −白根御池(13:41)
8/07 白根御池(4:30)−小休止(5:25-5:34)−小太郎尾根(5:25-6:33)
   −肩ノ小屋(7:01-7:07)−北岳(7:56-8:15)−北岳山荘(9:16-9:26)
   −中白根(10:09-10:20)−間ノ岳(11:27-11:39)−農鳥小屋(12:53)
8/08 農鳥小屋(5:02)−西農鳥岳(5:54-6:04)−農鳥岳(6:54-7:08)
   −大門沢下降点(7:42-8:00)−小休止(9:11-9:20)
   −小休止(10:06-10:15)−大門沢小屋(10:54)
8/09 大門沢小屋(4:29)−原生林(5:22-5:29)−小休止(6:48-6:58)−奈良田(7:44)

【地形図】 夜叉神峠、奈良田、鳳凰山、間ノ岳、仙丈ヶ岳
【トラックログ】 ルート地図

1日目

 甲府からタクシーで入山したので、バスで行くより約1時間早く広河原を出発することができた。
 蒸し暑くなりそうな天候だが、酷暑になる前の午前中に歩き始めることができてよかった。

 沢沿いの道とはいえ、歩き始めればそれなりの暑さだが、同行者の中にダメになりそうな人がいないのは何よりだった。
 6月とは草花もずいぶん様変わりしていた。

 二俣付近では、ミヤマハナシノブやタカネグンナイフウロが咲いていた。
 大樺沢の雪渓はほとんど消滅していた。

 御池小屋に着いたのがいい時間だったので、テントを張る場所を選択できる状態だったのもありがたかった。
 ひと休みして炊事にかかると、騒々しい高校パーティがやってきて、登山道のど真ん中にテントを張った。
 そのため、パーティのテントの横が通路になってしまった。

 夜には普通に寝静まってくれたので、助かった。

2日目

北岳から鳳凰三山(大きな写真)
シコタンソウ満開(大きな写真)

 台風5号がじわじわと接近しており、三日目の天気がやや心配された。
 当初は、二日目は北岳山荘までと考えていたが、三日目に悪天だった場合を考慮して、農鳥小屋まで足を伸ばすことにした。

 まずは、草すべりを急登しなければならない。
 ここは頑張りどころだ。
 登り始めは直登なのでけっこうきつい。

 ダケカンバ林に入るとジグザグ登りになるので、多少らくになる。
 最初の小休止まで、標高をかなり稼ぐことができたので、小太郎尾根まで考えていたとおり、順調に登ることができた。

タカネシオガマ満開(大きな写真)
北岳から間ノ岳を望む(大きな写真)

 雲は多めながら、まずまずよく晴れており、奥秩父・鳳凰三山・八ヶ岳・中央アルプス・甲斐駒・仙丈などが一望できた。
 山頂まで一気に登るのはきついので、肩ノ小屋まで行って一服し、北岳への登りにかかる。

 3000メートルの稜線を彩るシコタンソウ・タカネツメクサ・イワツメクサ・トウヤクリンドウ・タカネシオガマ・チシマギキョウなどが咲き乱れる。
 ここも6月に来た時とは、花の種類が全く異なっていた。

 登山道も混んでいて、すれ違いに苦労したが、遠望する山頂には人が蝟集しており、腰を下ろす場所もないのではと心配になった。
 譲ったり譲られたりを繰り返しながら、北岳の山頂。
 予想通り大混雑で、集合写真を撮ることも不可能だった。

 長めの小休止ののち、北岳山荘に向かって下る。
 目の高さだった間ノ岳が絶望的なほど、高くなっていく。

鳥が浮いてた(大きな写真)
改めて鳳凰三山(大きな写真)

 この日は、北岳山荘まで来て、行程のちょうど半分くらいと考えていた。
 ひと息入れて、中白根へ登っていく。
 さほど急ではないが直登気味に登るので、そこそこ堪える。

 巨大な間ノ岳へは、さほど大きく下るわけでなく、小ピークは巻いていくので、思ったほどきつくない。
 間ノ岳に立つと、鋭角的な北岳が背後に、いかにも険しい農鳥岳が正面にそびえる。

 農鳥小屋へは、大きく下る。
 実際のところ、間ノ岳から農鳥小屋の間は、下るだけだし、距離もさほど遠いわけではない。
 しかしこの日は、一日の行動の疲れが蓄積しており、急降下してからしばらくの平坦路が、非常にきつく感じた。
 平坦化な道を歩くだけだからと甘く見ず、途中で一度小休止をとればよかった。

 農鳥小屋に着くと、小屋番のおじさんがお迎えしてくれた。
 幕営の受付は、高校生のような少年で、領収書をくださいと言ったらすごく困っていた。
 その間、同行者は農鳥おじさんと会話していたらしいが、高校生が御池からこの時間に到着するとは、なかなか速いとほめられたらしい。

 テントはトイレと水場入口の中間あたりに張った。

ウメバチソウ咲き始め(大きな写真)
ハクサンフウロ(大きな写真)

 農鳥小屋の水場は、速い人で往復25分、遅いと40分はかかる。
 かなり疲れていたので、カメラを持って、花の写真を撮りながら水汲み。
 やはり40分かかった。

 バテてしまった同行者を休ませて、しばしぐったりしたのち、夕食の支度にかかる。
 この夜は、そよ風が吹いていたせいか、多少曇っていたのだが、前夜にびしょぬれになったフライシートが乾いてくれたので、助かった。

3日目

 三日目は、台風接近予報だったのだが、朝からまたも快晴。
 とてもありがたかった。

ミヤマコウゾリナ(大きな写真)
農鳥小屋の黎明(大きな写真)

 前日にバテた同行者も元気を取り戻し、早暁から西農鳥岳に取りつく。
 ずいぶん寒く感じたので、長袖のシャツに雨具を着て登る。
 中ほどまで登ったところで、ご来光を見た。

朝の富士山(大きな写真)
農鳥岳の登りから望むご来光(大きな写真)

 西農鳥岳からは、岩塊の間を縫って進む。
 そういえば、間ノ岳の下りからシコタンソウを見ない。
 ホシガラスは何羽もいたが、ライチョウは出てこなかった。

ホシガラス(大きな写真)
トウヤクリンドウ(大きな写真)

 農鳥岳からの展望も秀逸だ。
 南アルプス南部では、悪沢・赤石・中岳・塩見が見える。
 中央アルプスは全山。
 北アルプスは、槍・穂高よりやや北の山まで見えていた。

農鳥岳から塩見岳(大きな写真)
悪沢・赤石・中岳(大きな写真)

 ここまで来れば、厳しい登りはない。
 眼下に見える下降点まで、森林限界を味わいながら下った。

農鳥岳から富士山(大きな写真)
チングルマ(大きな写真)

 ヤグラの立つ大門沢下降点は、この山行最後の森林限界だ。
 メンバーの中には、もう二度とこんなところには来ない人もいるから、長めに休んで涼しさを堪能する。

ウサギギク(大きな写真)
タカネツメクサ(大きな写真)

 最初は草原、ついで灌木帯で、やがてシラビソの樹林帯に沈んでいく。
 急降下が続くので、腰を下ろす場所がない。

タカネツメクサ(大きな写真)
ヤマトリカブト(大きな写真)

 沢音の聞こえるところまで一気に下るのはきついので、傾斜がややゆるくなったところで小休止。
 恐ろしく急なこの道を軽装で登ってくる人もいるから、すごいものだ。

 沢沿いの道になれば傾斜が緩み、大門沢小屋まであと少しだが、昨日の行程を反省して、小休止を一度入れた。
 大門沢小屋に着いたのは11時前だったので、テント場は空いていた。
 ラジオの天気予報は、下界の気温が38度だと言っていたが、さすがにここまで下ってくると、日なたでは暑いので、小屋裏の樹林帯に幕営した。

 この日は時間があるので、まずはテントで爆睡。
 夕食後、再び爆睡。
 空気が濃いのでよく眠れるのだろうか。

4日目

 しっかり眠った翌朝は、同行者たちも完全に元気を取り戻した。

 薄暗い中、足元も悪いのに、スピードがずいぶん速い。
 原生林の小尾根で小休止。

大門沢下部原生林(大きな写真)
大門沢下部原生林(大きな写真)

 ここからチチタケに備えてビニール袋を用意したが、ベニタケ科の白っぽいきのこが出ていただけで、チチタケは一つも見なかった。
 広河内の大堰堤と取水ダム付近では、三年前に来た時と同様に、何かの工事が行われており、登山道が付け替わっていた。
 土をかき混ぜていれば税金が流れ込んでくるここのシステムは、相変わらずらしい。

 工事現場の壮大さとは裏腹に、ちょっとみすぼらしいあずま屋で休んで、奈良田には8時前に着いた。
 温泉の前で待っていたら、以前とと同じように、8時半過ぎにはお風呂に入ることができた。