快晴の北岳
−白根御池から−

【年月日】

2016年6月26〜27日
【同行者】 単独
【タイム】

6/26 広河原(6:10)−二俣(8:04-8:25)
   −八本歯コル(10:06-10:20)−北岳(12:14-12:23)−肩ノ小屋(12:57)
 泊
6/27 肩ノ小屋(5:17)−小太郎尾根(5:40)
   −小太郎山(6:53-7:11)−小太郎尾根(8:27)−大樺沢二俣(9:41)
   −白根御池小屋(10:05-10:28)−広河原(11:49)

【地形図】 鳳凰山 甲斐駒ヶ岳 仙丈ヶ岳 ルート地図

1日目

 前夜のうちに家を出て、芦安駐車場に向かった。
 途中、大休憩も入れたが、三時前くらいには駐車場に入れた。
 前日にたくさんの登山者が入っているので、駐車場はほぼ満杯だったが、どうにか空きスペースを見つけることができた。

 4時過ぎくらいから、周囲がざわざわし始めた。
 とまっているのは前日に入山した人々の自動車かと思っていたのだが、必ずしもそうでなく、この日に登る人もたくさんいたのだった。

 バスは混みそうだったので、相乗りタクシーを選択して、広河原ヘ向かう。
 夜叉神ゲートが5時半まで開かないらしく、ゲート前でしばし待って、久々の広河原に着いたのは、6時前だった。

カツラ大木1(大きな写真)
カツラ大木2(大きな写真)

 天気はどんより曇っており、強い風が吹いてちょっと寒かった。
 荷物が軽いので、快調に登高できる。

 道が右岸に渡るあたりから、雪解けあとの花々が見えてきた。
 夏とはずいぶん様相が異なっていて、面白い。
 もっとも多かったのはサンリンソウで、ウドやフキノトウが出ているのも、珍しかった。

ナラタケが出ていた(大きな写真)
きのこ(大きな写真)

 二俣の手前で雪渓に出たので、ストックを突いて進む。
 それもつかの間で、再び夏道へ。

 二俣に着いたところで、大休止。
 タカネグンナイフウロは咲き始めていたが、ミヤマハナシノブはやっとほころび始めたところだった。

 すれ違った人から、左俣コースの残雪も少ないと聞き、八本歯へ向かう。
 真夏に比べて花は少ないが、ミヤマキンポウゲやハクサンイチゲなどがそこここに咲いていた。

雪渓(大きな写真)
ミヤマキンポウゲ(大きな写真)

 最後の水場から小尾根にとりつき、丸太はしごの登りにかかると、けっこう疲れてきたが、頑張って八本歯に登りついた。
 風は冷たく、何も見えないが、ハクサンイチゲやクロユリが咲いていて、ほっとする。
 ここで小休止。

クロユリ(大きな写真)
シナノキンバイ1(大きな写真)

 いくらか元気を取り戻して、分岐へ急登。
 トラバース道に入ってほっとする。

シナノキンバイ2(大きな写真)
イワベンケイ(大きな写真)

 いつもながら、ここの花はすごい。
 ハクサンイチゲ・シナノキンバイ・ミヤマムラサキ・イワベンケイ・ミヤマオダマキ・オヤマノエンドウ・キタダケソウ・キンロバイなどが咲いていた。
 キタダケソウは咲き残りで、ほとんど傷んでいた。

ミヤマオダマキ(大きな写真)
ミヤマムラサキ(大きな写真)

ハクサンイチゲ1(大きな写真)
ハクサンイチゲ2(大きな写真)

 北岳山荘までは行かず、尾根分岐で尾根道に入り、北岳へ向かった。
 風が強かったため、この登りはかなり苦しかった。
 山頂の岩陰で少し休んで、肩ノ小屋方向へ下る。
 小屋には13時前に着くことができた。

 受付を済ませた時点で先客は一人だけだったが、おいおい、たくさんの登山者が訪れて、ほぼ満員状態になった。
 小屋の外で昼食をすませ、持ってきたアルコール飲料を飲んで、夕食の5時までぐったりした。
 夕食をたっぷりいただくとずいぶん、元気が戻ってきた。

 小屋泊は、とてもありがたい。

北岳の日没(大きな写真)
北岳の夜明け(大きな写真)

 20時前にトイレに出たら、西側の空が晴れていた。
 これで翌朝が楽しみになった。

 20時半ごろまで酔っぱらいの騒ぐ声が聞こえたが、明かりが消えると静かになった。
 夜はよく眠れた。

二日目

 薄明るくなってくると、周囲がざわつきだし、目が覚めた。
 4時過ぎにカメラを持って外へ出てみると、快晴無風の黎明が始まろうとしていた。
 今にも陽が昇りそうなので、しばらく待った。

朝の富士山(大きな写真)
黎明の奥秩父(大きな写真)

 ご来光まで意外と時間がかかり、4時半過ぎに日が昇った。
 南アルプス以外はほぼ見える状態で、多くの登山者が狂喜していた。

朝の槍・穂(大きな写真)
赤く染まる北岳(大きな写真)

 中央アルプスや北アルプスだけでなく、谷川連峰や日光連山、頸城の山々などもよく見えていた。
 北岳からこれだけの展望が得られたのは、初めてだった。

 食事をいただいたあと、さっそく出かけた。
 昨日ひどく疲れたのだが、小屋泊のおかげで、すっかり元気を取り戻すことができた。

 稜線にはハクサンイチゲがすこぶる多く、みごとなお花畑になっていた。
 ハクサンイチゲは初秋まで咲いているが、これだけの花数は、真夏の山では見られない。

中央アルプスと御嶽山(大きな写真)
オヤマノエンドウ(大きな写真)

 オヤマノエンドウ・ミヤマシオガマ・チシマアマナ・チョウノスケソウも多く、キバナシャクナゲはほほ終わり、代わってタカネツメクサ、イワツメクサ、シコタンソウなどが咲き始めていた。

ハクサンイチゲと仙丈ヶ岳(大きな写真)
ミヤマシオガマ(大きな写真)

 草すべり下り口までは天上遊歩道をあっという間だった。
 天気はよく、時間も早かったので、なかなか行こうという気にならなかった小太郎山に向かうことにした。

ホシガラス1(大きな写真)
ホシガラス2(大きな写真)

 北西方向へ下って行くと、ハクサンイチゲなどが見えなくなり、足元にはコイワカガミ・クモイナズナ・ミヤマキンバイ・イワウメなどが多くなる。
 盛りは過ぎていたとはいえ、大株がいっせいに開花している様子は、みごとだった。

ホシガラス3(大きな写真)
コイワカガミ(大きな写真)

 少しずつ高度を下げ、小太郎山手前岩峰の下でいったん、ダケカンバの樹林帯に沈む。
 見た目ほどでもない斜面を登ると小太郎山はすぐ目の前だった。
 振り返れば、歩いてきた尾根が望まれて、絶景だった。

イワウメ(大きな写真)
ミヤマキンバイ(大きな写真)

 ここで小休止して、もと来た道を戻る。
 尾根周辺では、ホシガラスが飛び交っていて、中にはずいぶん近くに来るものもいた。

小太郎山から北岳(大きな写真)
シナノキンバイ3(大きな写真)

 小太郎尾根下降点には登山者がたくさん憩っていたので、ここでは休まず下った。
 草すべり上部の草原帯ではシナノキンバイの大群落が開花していた。
 ここは花の美しいところだが、これほどの花数になるとは驚いた。
 ずいぶん前に行った荒川小屋周辺のお花畑に匹敵すると思われた。

シナノキンバイ4(大きな写真)
シナノキンバイ5(大きな写真)

 白根御池に下るつもりだったのだが、時間もあることなので、この日は右俣コースに入って遠回りをした。
 道のようすは草すべりコースと似たような感じだっただろうが、樹林が切れたところから頭上にそびえるバットレスが圧倒的だった。

ダケカンバ新緑(大きな写真)
ハクサンチドリ(大きな写真)

 樹林帯に入ると、キバナノコマノツメやサンリンソウが多くなる。
 ハクサンチドリやウサギギク、ツマトリソウ、ミヤマキンポウゲなども点々と咲いていた。
 新緑と白い雲が青空に映えて、眩しかった。
 広い雪田に出ると、ショウジョウバカマが咲いており、樹下にはヒメイチゲも咲いていた。

サンリンソウ1(大きな写真)
サンリンソウ2(大きな写真)

 右俣が近くなると、タカネグンナイフウロが多くなる。
 ミヤマハナシノブはやっと咲き始めたところだった。
 右俣雪渓の夏道もほとんど通行可能で、岩場でミヤママンネングサが咲いていた。

ミヤマキンポウゲ(大きな写真)
キバナノコマノツメ(大きな写真)

 御池小屋に着いた時には、さすがに少々疲れてしまっていた。
 しばしここで休んで、尾根コースを下る。

ショウジョウバカマ(大きな写真)
バットレス(大きな写真)

ウサギギク(大きな写真)
ヒメイチゲ(大きな写真)

 ゴゼンタチバナやマイヅルソウ以外には花もほとんどなくなり、坦々とした樹林帯の道になる。
 ちょっとしたガレバでなぜか、テガタチドリが咲いていた。
 足元にいくつか、きのこも出てはいるが、ヒナノヒガサやウスタケの子どもなど、小さなものばかりだった。

タカネグンナイフウロ(大きな写真)
ミヤマハナシノブ(大きな写真)

 下降点以下は、ひどい下りだ。
 それでもときおり、登ってくる人がいた。
 膝が痛くならないのが不思議なほど強烈な下りだった。

ミヤママンネングサ(大きな写真)
ヒナノヒガサ(大きな写真)

ウスタケ(大きな写真)
未知のきのこ(大きな写真)

キソチドリ(大きな写真)
テガタチドリ(大きな写真)

 広河原のバス停に着いたらちょうど、出発するという乗合タクシーがあったので、じつに都合よく秩父に戻ることができ、明るい間に着いたので、農作業もいささかこなすことができた。