よく晴れた北岳
−白根御池から−

【年月日】

2012年8月6〜9日
【同行者】 全部で19名
【タイム】

8/6 広河原(10:10)−休憩(11:00-11:10)−休憩(11:56-12:06)
   −二俣(12:50-13:24)−白根御池小屋(13:48) 幕営
8/7 白根御池小屋(4:56)−休憩(5:43-5:46)−小太郎尾根(6:36-7:07)
   −休憩(7:39-7:43)−北岳(8:24-9:27)−小太郎尾根(9:40-10:00)
   −休憩(10:22-10:30)−白根御池小屋(11:06) 幕営
8/6 白根御池小屋(7:39)−休憩(8:20-8:29)−広河原山荘(9:33) 幕営
8/6 広河原山荘(6:33)−広河原バス停(6:36)

【地形図】 鳳凰山 甲斐駒ヶ岳 仙丈ヶ岳 ルート地図

広河原のカツラ1(大きな写真)
広河原のカツラ2(大きな写真)
広河原のカツラ3(大きな写真)
ホタルブクロ

 芦安駐車場でジャンボタクシーに乗ることができたので、広河原到着が予定より1時間早くなって、よかった。
 曇り予報だったのだが、夜叉神トンネルを抜けると雨が強くなったり弱くなったりし始め、雨そのものは久しぶりだったが、山歩きのスタートとしては、出鼻をくじかれる思いだった。
 広河原のバス停に降り立つと、かなり強い雨が降っており、急いで合羽を着なければならない状態だった。

 吊り橋を渡り、広河原山荘横から大樺沢沿いの登山道に入る。
 さすが月曜日の北岳とあって、下山してくる登山者がすこぶる多い。

 しばらくはカツラの大木が多い。
 じっくり歩く機会がないのだが、なかなか風情のよいところだ。

シモツケソウ(大きな写真)
ソバナ(大きな写真)

 道沿いには、ホタルブクロ・クサボタン・キツリフネ・ソバナ・シモツケソウ・ヨツバヒヨドリ・アカバナなどが咲く。
 沢には雪シロが入って、なかなかいい流れを見せていた。

アカバナ(大きな写真)
クサボタン(大きな写真)

タモギタケ(大きな写真)
クガイソウとナミヒョウモン(大きな写真)

 カツラが消え、ヤナギ類の多い第一渡渉点付近で休憩。
 センジュガンピ・レイジンソウ・クロクモソウなど、深山の花が見られるようになる。
 雨はやみ、曇り按配だが、蒸し暑くないのは何よりだった。

キツリフネ(大きな写真)
センジュガンピ

 再び左岸に渡ると、二俣付近のお花畑が楽しみになるが、花は思ったほど咲いていなかった。
 二俣が近くなると、雪渓があらわれる。
 これは予想外で、この時期に二俣手前で、ほんの一部とはいえ、雪渓歩きを強いられるとは思っていなかった。
 気温が高いと苦しい入山初日なので、雪渓から吹く冷たい風が心地よかった。

 二俣のお花畑も、開花が始まったばかりで、イブキトラノオ・ミヤマハナシノブ・タカネグンナイフウロ・ハクサンフウロなどが咲いてはいたものの、まだこれからという感じだった。

 いつもながら、炊事や片付けは順調に進んで、18時前には寝につく体勢になったのだが、この日の御池の池畔は、まるで地獄のような騒々しさだった。
 あとから来た大学生のパーティが夜中まで、どんちゃん騒ぎをしていたためである。

 パーティとしての統制が何らとれておらず、周囲のテントの存在などまったく意識になく、真夜中までこちらの耳元で絶叫を繰り返していた。
 若い人々が山に戻ってくるのは結構だが、このような手合いが出てくるのであれば、たまったものではない。

薬師岳からのご来光
トモエシオガマ

 翌日は、早朝から草すべりにとりつく。
 最初はお花畑だが、マルバダケブキ咲くダケカンバの樹林帯に入ると、御池が見えなくなる。
 登って行くと、薬師岳あたりからご来光が昇った。

ミヤマハナシノブ(大きな写真)
タカネグンナイフウロ(大きな写真)

 傾斜がきつくとも、我慢して登っていけば、いずれ山頂に着くことができる。
 ハイマツが出てくれば、標高差600メートルに及ぶ草すべりの登りも、先が見えてくるというものだ。

タカネナデシコ(大きな写真)
シナノオトギリ(大きな写真)

 森林限界を越え、尾根直下のお花畑に出ると、疲れが和らぐ。
 トモエシオガマ・ミヤマコウゾリナ・ハクサンフウロ・タカネグンナイフウロ・クルマユリ・テガタチドリ・タカネナデシコ・シナノオトギリなどが乱れ咲くお花畑を登りつめると、絶景の小太郎尾根だ。

テガタチドリ(大きな写真)
小太郎尾根から富士山(大きな写真)

 雲は多少出てきたが、駒ヶ岳・鳳凰三山・富士山・八ヶ岳・仙丈ヶ岳などが望まれ、北岳の背後の空もまだ、真っ青だった。

 北岳の稜線の花は美しい。
 タカネツメクサ・イワツメクサ・ムカゴトラノオ・ミヤマオダマキ・チシマギキョウ・ヨツバシオガマ・タカネシオガマ・シコタンソウなどが咲く。

小太郎尾根から仙丈ヶ岳(大きな写真)
チョウノスケソウ

 雲がやや出てきたのが気がかりだったが、快調に登って行くと肩の小屋の手前で、荷揚げヘリが来て、しばし待ち時間となる。
 ヘリのホバリングも、荷降ろし・積み込みの手際も、なかなかみごとだった。

 肩の小屋を過ぎると、山頂はすぐだ。
 さほど狭くはない山頂は、おおぜいの登山者でいっぱいだった。

ミヤマオダマキ(大きな写真)
ヨツバシオガマ

 雲が増えてはきたが、駒ヶ岳・仙丈ヶ岳・鳳凰三山・塩見岳あたりはまだよく見えていた。
 間ノ岳や富士山が雲に隠れ始めたのは残念だった。

 たっぷり休んで、下山にかかる。
 小太郎尾根下降点で重いザックを背負いなおしたが、下りなので、さほど苦しくはない。
 お昼前には、御池小屋に戻ることができた。

北岳から富士山(大きな写真)
トウヤクリンドウ(大きな写真)

北岳から駒ヶ岳(大きな写真)
北岳から間ノ岳(大きな写真)

 この日はここで連泊にした。
 前夜の騒動に懲りたので、この日は小屋の前あたりに張ったのだが、そのすぐ上の林の中が、最も涼しくて静かな場所だと思われる。

 三日目は、そのまま停滞するのも何なので、御池のテントを撤収して広河原まで下ることにした。
 時間はあり余っているのだが、朝からぼんやりしているのも苦痛なので、御池を7時半過ぎに出発して、尾根ルートを下った。

   2年前の印象では、急で苦しい下りだと思っていたが、今回はそれほどでもなく、2時間たらずで広河原に着いた。
 朝まだ早いので、張ってあるテントは少なく、木陰のよい場所に設営して、この日は、大樺沢周辺の樹木や草花の撮影をしたり、同行のS氏から竿と毛鉤を借りて野呂川を叩いたりして、ほぼ終日、のんびりと過ごした。

北岳から地蔵岳(大きな写真)
広河原から朝の北岳

 四日目は、下山するだけである。

 ジャンボタクシーを7時に予約しておいたのだが、運転手さんが6時過ぎには声をかけに来てくれた。
 予定より少し早めに、6時半過ぎにテント場を出て、段取りよくタクシーに乗り込むことができた。