薬師岳からのご来光
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トモエシオガマ
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翌日は、早朝から草すべりにとりつく。
最初はお花畑だが、マルバダケブキ咲くダケカンバの樹林帯に入ると、御池が見えなくなる。
登って行くと、薬師岳あたりからご来光が昇った。
傾斜がきつくとも、我慢して登っていけば、いずれ山頂に着くことができる。
ハイマツが出てくれば、標高差600メートルに及ぶ草すべりの登りも、先が見えてくるというものだ。
森林限界を越え、尾根直下のお花畑に出ると、疲れが和らぐ。
トモエシオガマ・ミヤマコウゾリナ・ハクサンフウロ・タカネグンナイフウロ・クルマユリ・テガタチドリ・タカネナデシコ・シナノオトギリなどが乱れ咲くお花畑を登りつめると、絶景の小太郎尾根だ。
雲は多少出てきたが、駒ヶ岳・鳳凰三山・富士山・八ヶ岳・仙丈ヶ岳などが望まれ、北岳の背後の空もまだ、真っ青だった。
北岳の稜線の花は美しい。
タカネツメクサ・イワツメクサ・ムカゴトラノオ・ミヤマオダマキ・チシマギキョウ・ヨツバシオガマ・タカネシオガマ・シコタンソウなどが咲く。
小太郎尾根から仙丈ヶ岳(大きな写真)
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チョウノスケソウ
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雲がやや出てきたのが気がかりだったが、快調に登って行くと肩の小屋の手前で、荷揚げヘリが来て、しばし待ち時間となる。
ヘリのホバリングも、荷降ろし・積み込みの手際も、なかなかみごとだった。
肩の小屋を過ぎると、山頂はすぐだ。
さほど狭くはない山頂は、おおぜいの登山者でいっぱいだった。
雲が増えてはきたが、駒ヶ岳・仙丈ヶ岳・鳳凰三山・塩見岳あたりはまだよく見えていた。
間ノ岳や富士山が雲に隠れ始めたのは残念だった。
たっぷり休んで、下山にかかる。
小太郎尾根下降点で重いザックを背負いなおしたが、下りなので、さほど苦しくはない。
お昼前には、御池小屋に戻ることができた。
この日はここで連泊にした。
前夜の騒動に懲りたので、この日は小屋の前あたりに張ったのだが、そのすぐ上の林の中が、最も涼しくて静かな場所だと思われる。
三日目は、そのまま停滞するのも何なので、御池のテントを撤収して広河原まで下ることにした。
時間はあり余っているのだが、朝からぼんやりしているのも苦痛なので、御池を7時半過ぎに出発して、尾根ルートを下った。
2年前の印象では、急で苦しい下りだと思っていたが、今回はそれほどでもなく、2時間たらずで広河原に着いた。
朝まだ早いので、張ってあるテントは少なく、木陰のよい場所に設営して、この日は、大樺沢周辺の樹木や草花の撮影をしたり、同行のS氏から竿と毛鉤を借りて野呂川を叩いたりして、ほぼ終日、のんびりと過ごした。
四日目は、下山するだけである。
ジャンボタクシーを7時に予約しておいたのだが、運転手さんが6時過ぎには声をかけに来てくれた。
予定より少し早めに、6時半過ぎにテント場を出て、段取りよくタクシーに乗り込むことができた。