雨の鳳凰三山

【年月日】

2006年6月17〜18日
【同行者】 おおぜい
【タイム】

6/17 御座石鉱泉入口(9:00)−御座石鉱泉(9:30-9:40)−
   石空川分岐(10:50)−燕頭山(13:05)−鳳凰小屋(15:15)
6/18 鳳凰小屋(4:00)−地蔵岳(5:05-5:20)−観音岳
   (7:00-7:15)−薬師岳(7:40-7:50)−林道(10:08)−青木鉱泉(12:50)

【地形図】 鳳凰山 ルート地図

1日目

カモメラン
イワカガミは満開

 御座石鉱泉入口でバスを降りると、曇り案配ながらまずまずの天気。
 エゾハルゼミの鳴く声がかまびすしい。
 道路わきではアヤメが咲き始めていた。

 車道歩きしばしで御座石鉱泉。
 センダイムシクイ・シジュウカラのさえずりがにぎやかだ。
 登山道はここから。

 のっけから急登で、ツガの混じった雑木の道。
 晴れていたら暑くて仕方がなかっただろう。
 ツガのすごい大木が登山道の真ん中に立っていた。

 西ノ平の平坦地で小休止。
 ガマズミの花が咲き、ツツドリ・ホトトギスが元気に鳴いていた。
 ところどころにギンリョウソウが純白の顔を出していた。

 その後も急登が続く。
 クルマバソウ・マイヅルソウ・ミドリユキザサ・ヤグルマソウなどの花を足元に見ながら黙々と登る。
 オクモミジハグマはやっとつぼみを出したところ。

 ツバメオモトに混じって、カモメランがちらほら。
 よく見ると可愛らしい花だ。
 このあたりではようやく、ヤマツツジが咲いたところらしい。

 メボソムシクイのさえずりが聞こえるようになると、深山に来たという実感がわく。
 しだいにガスってくると昼間なのにトラツグミのヒィ〜という声が聞こえてくる。
 同行の若い人たちは、これら野鳥の声をどのように聞いているのだろう。

 旭嶽と彫られた石柱を見ると、左側がガレたところ。
 このあたりから少しずつ、イワカガミが見られだす。

 この日の登りで一番苦しいところだが、満開のイワカガミを見ながら登ると、さほど苦でもない。
 マイヅルソウも多くなるがこちらはまだつぼみの状態だ。

 歩き出しから約4時間で、ダケカンバとコメツガに囲まれた燕頭山。
 ガスに煙る周囲の木々にはサルオガセが下がっていて、なかなかいい雰囲気だ。
 スズタケが林床をおおっているため、このピーク周辺にイワカガミが咲いてないのは残念。

 ここからしばらくは、ルリビタキやメボソムシクイがさえずる中、緩傾斜の尾根を行き、さらに尾根の北側を巻いていく。
 ゴゼンタチバナが薄い黄緑色の花を咲かせていた。

 駒見平あたりは確か、八ヶ岳がよく見えたところだったが、今回は何の展望もなし。
 咲き始めたオサバグサ・シロバナエンレイソウなどを見ると尾根を越えてドンドコ沢側をトラバースするようになり、雪解けあとにミヤマカタバミ・キバナノコマノツメ・ミツバオウレンが咲いていた。

 15年ぶりの鳳凰小屋に着いたのは3時過ぎだった。
 梅雨どきなので閑散としているかと思いきや、小屋の周辺では中高年が登山者がたむろしており、テント場ではテントがわれわれを含め10張近くも並んでいだ。
 人数が多いのでどうしても賑やかになってしまい、まわりのテントにはかなり迷惑をかけてしまったと思うが、7時頃には眠ってしまった。

コミヤマカタバミ
キバナノコマノツメ

二日目

 夜になって降り始めた雨は、断続的に降り続き、雨あしは一時的に強くもなったが風はなく、まずまずの一夜を過ごすことができた。
 翌朝は4時の出発。
 小雨の降る中、ヘッドランプをつけて地蔵岳へ登る。

 多少雨が降っていても小鳥には関係ないらしく、ルリビタキ・メボソムシクイ・ヒガラ・ミソサザイなどが元気にさえずっていた。
 周囲はシラビソ林だが、高度を上げるにつれて、ダケカンバの疎林となった。

オベリスク
キバナシャクナゲ

 観音岳が背後に高くそびえ、目の先にはオベリスクが立派だ。
 雲海のかなたには、丹沢方面の山がとても低い。

 約1時間で地蔵岳着。
 観音岳はガスに隠れてしまったが、オベリスクはまだよく見えていた。

 少し登って赤抜沢ノ頭。
 山頂はガスの中だったが、大量の残雪をまとった北岳は見えていた。
 周囲はハイマツ・カラマツとハンノキの仲間の矮性林だ。

 キバナノコマノツメやヒメイチゲが点々と咲き、キバナシャクナゲはほぼ満開の状態。
 ここでキバナシャクナゲが見られるとは思っていなかったので、うれしかった。

 ハクサンイチゲはつぼみの状態。
 やや長い登りで観音岳に着くと、キバナシャクナゲがずいぶん多い。
 ここでしばしガスが切れ、地蔵岳方面や薬師岳方面が望まれた。

 薬師岳までは平坦な道を一投足。
 白い岩塊とハイマツがとても美しいところだ。

 今回はここから中道コースを下山する。
 残雪を踏みながら真東へと下っていくとすぐにシラビソ林で、オウレンやミヤマカタバミが多い。
 急降下なのでどんどん高度を下げるのだが、2800メートルからの下降は長い。

 標高2000メートルほどにまで下ったやや平坦なところで小休止。
 このあたりは伐採あとらしく、ダケカンバの幹が美しい。

 その先はカラマツの植林帯で、マイヅルソウ・シロバナノヘビイチゴ・ズダヤクシュなどが咲く。
 古い地形図に記載のない林道を渡ると、ホトトギス・エゾムシクイ・アカショウビンの声を聞く。
 アカショウビンが「雨降れ降れ」と鳴いたせいか、雨が少し強くなった。

 急傾斜の雑木林になるとフサヒメホウキタケ・アシナガタケ・モリノカレバタケの仲間などのきのこもちらほら。
 このあたりのスズタケはほぼ枯れ尽くしたという感じだ。
 足元にはササバギンランが咲き、もうすっかり里山に降りてきたという実感。

 沢の音が近づいてくると、林道に出た。
 青木鉱泉までは30分ほどの歩きだった。