ニッコウキスゲが咲いてない
− 鉢伏山 −

【年月日】

2011年7月10日
【同行者】 単独
【タイム】

扉峠(8:21)−MTB−扉温泉(8:53-8:54)−尾根とりつき(10:12)
−鉢伏山(11:20)−二ツ山(12:20-12:25)−三峰山(14:11-14:14)
−扉峠(15:04)

【地形図】 山辺 和田 霧ヶ峰 鉢伏山 ルート地図

 数年前から温めていた、ロングコースに挑戦。

 美ヶ原から霧ヶ峰にかけては、なだらかな高原が広がっており、さわやかな山歩きを楽しむことができる。
 この一帯は、信州の中央部に位置しているから、展望もまた、一級品である。
 さらにいうなら、高原に咲く花も多く、花を楽しむ山歩きにも、ぴったりである。

 難点は、尾根の上まで観光道路がつながっており、稜線付近で爆走する自動車や観光客に会わねばならないことだが、その点はある程度がまんするしかないと思われる。
 今回は、扉峠に自動車を置き、扉温泉まで自転車で下って、鉢伏山〜二ツ山〜三峰山〜扉峠と、長大な尾根コースを歩いた。

扉温泉近くのシラカンバ林
苔むすヒノキ林

 扉峠から扉温泉への林道は、全線舗装されてはいるが、路肩がずり落ちそうになっているところが数ヶ所あり、全体的に道幅が狭くて、自動車のすれ違いは容易でない。
 自転車で走る分には十分なのだが、急な下りが続くので、スピードを抑えないと制御困難になりそうだ。

 桧の湯の駐車場近くの道端に自転車をデポして、車道を少し下り、温泉街への道に入ってしばらく行くと、鉢伏山への道標があった。
 地形図を見ると、ずっと奥まで林道が続いているようになっているが、この道は存在しない。

 登山道は、沢の右岸にいったん急登し、沢に下って丸太橋で左岸に渡って、沢から離れる。
 いったん急登したところはシラカンバ林になっていて、きのこが出そうな感じがする。

 沢沿いの道に戻ると、カラマツとヒノキの植林地が続く。
 沢に下りる踏み跡が随所にあるから、イワナはいるのだろうが、淵は浅いから、さほど魅力的な沢ではない。

ヒノキ奇木(大きな写真)
整然たるカラマツ林(大きな写真)

 花もないから、淡々と歩いていくと、沢がずいぶん細くなったところで、建物の跡のような更地に着く。
 ここが、鉢伏山の尾根へのとりつきだ。
 地形図のルートは廃道のようだ。

 傾斜はあるが、ジグザグに登っていくので、さほど疲れることはない。
 一帯はササの下生えの中の整然としたカラマツ林で、人工的な自然という感じがする。

 北側に前鉢伏山が見えてくると、傾斜が緩み、鉢伏山の頂稜の一角に出る。
 ずいぶん歩いてきたのに、前方に自動車が止まっていて、がっかりする。

 草原を切り開いて作られた砂利道に、花はほとんどなし。
 ネバリノギラン・テガタチドリなどが数えるほど咲いてはいるが、ニッコウキスゲは、観光客が折り取ったらしい一輪が、道路に落ちていただけだった。

テガタチドリ
コウリンカほころぶ

 鉢伏山まで登ってはみたが、面白い石造物などはなかったし、雷雲ができ始まったので、休む気になれず、先へ進む。
 地図でみると、この日の行程はまだずいぶん、長い。

 咲き始めたコウリンカを見ながらもうしばらく砂利道を行くと、登山道になり、樹林帯とササ原を出入りしながら二ツ山に向かう。
 このあたりは傾斜がゆるいので、天気がよく時間があれば、気分のよい尾根歩きになるのだが、時間はともかく、雷雲が広がってきたので、気持ちはあまり、穏やかでない。
 樹間から、諏訪湖が意外に近い。

 二ツ山は枯れ木帯で、南への踏み跡が分岐する。
 疲れてきたので、ここで小休止。
 地形図を見ると、ここから三峰山までは高原地帯でなく起伏に富んだ山稜であり、距離も長いのであと、2時間近くはかかりそうだった。

鉢伏山あたりから二ツ山を望む(大きな写真)
二ツ山の立枯れ帯

 二ツ山からいきなり急降下で300メートル近くを一気に失う。
 ここから尾根を登降していくのかと思うといやになるが、地形図とは異なり、ルートはずっと山稜の北を巻いていく。

 ここは、消えかけていたルートを再整備したらしいが、散らばっているササの葉からして、整備されたのは、ここ一週間内外のことのようだった。
 ありがたいことだ。

 周囲はずっとカラマツの植林地で、展望はほとんどない。

 小鞍部を越えたところから尾根に戻る。
 ここから三峰山へは、急登と小下降を繰り返しながら、高度を上げていく。
 落ち着いたかに見えていた空から、いよいよ雷の音が聞こえ始めた。
 次第に近く見えてきた三峰山は、ササと露岩に囲まれたピークで、展望はよさそうだが、雷雨に見舞われるといやな感じのところだ。

センボンイチメガサが出ていた
タガソデソウ

 最後はジグザグ登りで三峰山に登り着く。
 雷はまだ、音だけだった。
 しばし、腰を下ろす。

 あまりゆっくりできずに、早々に立ち上がり、扉峠へ下っていく。
 ここも小1時間ほどの区間だが、激しい登り下りがなく、おおむね下りなので、実働50分ほどと見た。
 雷雨からは、まぬかれそうだ。

三峰山の稜線
桧の湯

 中間ほどにある鞍部を越えると、シラビソとカラマツの植林地、次いで雑木林となる。
 並行するビーナスラインは、走り屋天国と化しており、バイクや自動車が猛スピードで走り狂っていた。
 最後の数100メートルは、ビーナスラインを歩かなければならず、恐ろしかった。

 扉峠から自転車を回収するため、扉温泉に下り、桧の湯という日帰り浴場で汗を流した。
 終日、蒸し暑かったので、生き返ったような気分だった。

 帰りは、よもぎこば林道経由で扉峠へ登り、佐久南へ出た。