アベマキの道
- 虚空蔵山 -

【年月日】

2010年12月12日
【同行者】 単独
【タイム】

登山口の鳥居(9:11)−座摩神社(9:33)−兎峰(10:28)
−太郎山分岐(10:50)−虚空蔵山(10:58)−太郎山林道分岐(11:23)
−鳥小屋山(11:30)−陣馬鳥越山(11:44-11:48)−菖蒲平分岐(11:57)
−25号鉄塔(12:07)−24号鉄塔(12:21)−虚空蔵神社(12:38)
−座摩神社(12:48)−登山口の鳥居(12:56)

【地形図】 坂城 別所温泉 ルート地図

 虚空蔵山の名前は、戦国時代、真田の歴史に何度か、あらわれる。
 武田氏滅亡後、信州は、甲州を受け継いだ徳川家康と、武田の時代以来信州を狙っていた上杉景勝とが拮抗した。
 優勢だった徳川と徳川に下った真田に対し、上杉は虚空蔵山を占拠して対抗せんとしたが、真田は屈しなかった。

 上杉が徳川に屈して米沢に去った後、上田城の真田昌幸・幸村は豊臣に与して、虚空蔵山を利用して徳川秀忠の軍勢に打撃を与えた。
 この時も徳川は、大苦戦を強いられた。
 真田の歴史にとって、虚空蔵山は忘れてはならない重要な山城なのである。

登山口の道祖神
座摩神社

 小学校の先を北に曲がった突き当たりが、登山口だった。
 急斜面だが、ジグザグ道なので、登るのはらくだ。

 登山道わきで、ちょっと盛りを越えたカンタケの大株を見つけた。
 石段を登ると、座摩(ざますり)神社。
 養蚕神として、かつては著名な神社で、祭礼も賑わったらしい。

 ここからは尾根道になるので、かなりの急登が続く。
 尾根は、アカマツ混じりの雑木林で、日なたにはアベマキが多く、日陰や高いところにはコナラが多かった。

 アベマキは葉も実もクヌギと似ているが、幹の皮の割れ目が縦に並ばず、不規則な感じがする。
 秩父ではほとんど見ないが、ここには多い。

雪はほとんどなかった
アベマキの樹肌

 兎峰は西側から巻き登る。
 ちょっとしたピークの上は岩峰になっていて、好展望。
 東の烏帽子岳から上田盆地南の低山、同じく西の低山がよく見えた。

 ここから少しの急登で左へのトラバースとなり、虚空蔵山手前の鞍部に出る。

 尾根の上では、ホオジロ・イカル・ヒヨドリなどが遊んでいた。

 目の前には大峰山と大道山がそびえ、かなたに雪をかぶった四阿山が望まれた。
 太郎山はどこだか、わからなかった。

気持ちのよい雑木の道
イカル君(大きな写真)

 虚空蔵山のピークはさらに好展望だったが、期待していた八ヶ岳や北アルプスはぼんやりとしか見えなかった。
 山頂付近の木々には樹氷がつき、とても美しい。
 尾根上にはクロウメモドキだと思われる低木に、黒い実がびっしりとついていた。

 頂上から西へは、地形図ではさほどでないが、ロープの張られた、とても急な下りになる。
 下る途中からは、五里ヶ峰や鏡台山が目の前だ。

大峰山が近い
クロウメモドキ

 太郎山林道への分岐を分け、少し登ると鳥小屋山。
 地蔵の石仏が二体、立っているが、たぶん新しいものだ。

 明るい頂稜を少し行った陣馬鳥越山から再び、大展望が得られる。
 遠くの山はやはり見えないが、岩の上から、上田盆地周縁の個性的な峰々がよく見えて楽しい。

溶けかかった樹氷(大きな写真)
アベマキ林

 少し休んだのち、尾根をさらに急下降して、菖蒲平への分岐。ここには中部電力の26号鉄塔もある。
 ここから尾根をはずれて、鉄塔巡視路に入ると、ところどころに鉄塔を案内する道標を見る。

 25号鉄塔へは平坦なトラバース。落ち葉が多くて歩きづらいが、とても気持ちがよい。
 25号鉄塔は高津屋山という小ピーク下に立っている。

上塩尻神社
カンタケ(大きな写真)

 24号へはかなり急な下りとなるが、コナラ・ヤマザクラ・アベマキなどの雑木林が美しい。
 少しのトラバースで枯れた沢に出てしばらく行くと、上塩尻神社。

 車道がないのだが、社殿は立派だ。
 お参りしたのち、取水された枯れ沢を渡って少し行くと、出発点近くの座摩神社に戻った。
 下山して街を歩いていると、真っ青な空に、虚空蔵山が映えていた。