大和盆地と大阪平野を見下ろす
- 葛城山 -

【年月日】

2012年12月27日
【同行者】 単独
【タイム】

不動寺前(9:05)−櫛羅の滝(9:18)−二の滝(9:52)−葛城山(11:06-11:40)
−展望地(12:38)−不動寺前(13:08)−九品寺(14:00)
−楢原休憩所(14:24)−一言主神社(14:42)−長柄神社(15:06)
−住吉神社(15:34)−極楽寺(15:45)−鳥井戸バス停(16:10)

【地形図】 御所 ルート地図

 『古事記』『日本書紀』に、ワカタケル命(雄略「天皇」に比定される)が怪神・一言主命と遭遇したという記述がある。  記紀は、ワカタケル命が一言主命に出会った時の様子を概略、次のように記している。

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 ワカタケル命が多くの家臣を伴って葛城山に行ったとき、大王のような身なりの人物が尾根を歩いていた。そこで「この大和に自分以外の王はいないはずなのにあいつは誰だ」と尋ねさせたが、大王のような態度で答えた。そのためワカタケルは大変怒って家臣の弓に矢をつがえさせ「名を名乗れ!」と問うと、「自分は悪いことも一言、良いことも一言で言い放つ、葛城の一言主命である」と答えた。ワカタケルは武器を収めて家臣の衣服を脱がせて差し出し、拝礼した。それでワカタケルが帰途につくとき、一言主命は山裾まで見送ってくれた。
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 記紀は、全体として「天皇」による支配を正当化する文脈で構成されているが、記紀に登場する「天皇」は、意外に人間くさかったりする。
 ワカタケルと一言主命の邂逅の場面は、歴史学では、大和に本拠を持つ勢力と葛城に勢力を持つ勢力の緊張関係を象徴すると考えられているようだが、記紀の一読者としては、このエピソードから、一言主命に出会ったワカタケルが、ひどくうろたえている印象を受けるのである。

 例えば、このような感じだ。(以下はフィクションを元にしたフィクションである)

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 ある日ワカタケルは、スクネほか数名の家臣とともにウサギ狩りに出かけ、つい深追いして葛城一族の支配地である葛城山麓に立ち入ってしまった。この日に随行した家臣が数名に過ぎなかったのは、戦争に出かけたのではなくウサギ狩りだったからだった。後に記紀が百官を伴ったと記しているのは、大王が数名でウサギ狩りをするというのもみっともないと考えた編集者の潤色である。
 ワカタケル一行が葛城に入ったことに気づいた一言主命、すなわち葛城の王は血相を変えて山から降りてき、一行の数十メートル手前で立ち止まって、ワカタケルを睨みつけた。ワカタケルがうろたえたのは、自分に非があることを自覚していたからである。
 この場合、「どうもすみません」と言って引き返すのが当たり前なのだが、先方からなんと言って叱責されるかわからないし、馬鹿にされたりすると大王の沽券に関わるので、とりあえずここで彼は、虚勢を張ることにしたのである。

ワカタケル:おいスクネ、あいつの名前を聞いてみ。
スクネ:えー、オイラがですかぁ。やだなぁ。
ワカタケル:聞けっちゅうのに。
スクネ:(いやいやながら)恐れ入りますが、どなた様でいらっしゃいますか。
一言主命:(憤然として)・・・・・・
スクネ:(振り向いて)答えてくれないです。多分怒ってるです。帰りましょう。早く。
ワカタケル:(やむなく)あんた、誰?
一言主命:しゃべる気にならん。
ワカタケル:何ですと?
一言主命:失礼なやっちゃな。お前こそ誰やねん?
ワカタケル:ワカタケっちゅうもんですが、ここはどこでっしゃろ。
一言主命:ワシの国やがな。
ワカタケル:そら知らなんだ。えらいすんません。こいつの服をあげまっさかい、堪忍して。(とスクネに服を脱ぐよう命じる)
スクネ:(いやいやながら)あぁさぶ。早よ帰りましょう。
ワカタケル:そうやのう。(一言主命に向かって)ほな、失礼します。
一言主命:もう来んなよ。
ワカタケル:ほんまにすんません。さいなら。
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 これくらいの経緯があったのだが、記紀の編集者に潤色されてしまったのだろうという気がする。

カラスウリ枯れる
櫛羅の滝(大きな写真)

植林の中を行く
上部は雑木林

二の滝(大きな写真)
山頂から大和平野(大きな写真)

金剛山を望む
霧氷のついたツツジ(大きな写真)

大峰を望む(大きな写真)
モズ遊ぶ(大きな写真)

コゲラ遊ぶ(大きな写真)
ここにもモズ(大きな写真)

エナガがのぞいてる(大きな写真)
九品寺

懐かしい雰囲気の地道(大きな写真)
一言主神社

一言主神社の乳銀杏(大きな写真)
長柄神社の大ケヤキ(大きな写真)

極楽寺の鐘楼門
サネカズラが絡んでいた

振り返る葛城山(大きな写真)
格好のよいケヤキ(大きな写真)