埼玉を深夜に出て中央道、名神、湖西道路を走って北小松のげんき村に自転車をデポし、登山口の長谷寺から登り始めたのは、ちょっと遅い時間だった。
ここの登山道にも、マツタケ所有権を示す汚いビニールテープが張りめぐらされていた。
コナラとアカマツの混成林にサカキの下生えが混じる、畿内の典型的な低山の様相だ。
マツタケ道らしい枝道が錯綜するが、岳観音堂への手書きの道標があるので、まちがうことはない。
賽の河原というところに、石仏が二体。
観音堂への参道にあるのだから仏像であるはずだが、神像のような雰囲気を持っていた。
少し傾斜が出てくると、岩が露出して石灯籠の立つところ。
南側の尾根がよく見える。
積雪は少ないが、サカキやアセビの枝にこぶし大のミゾレのかたまりがついていて、それがときおり落下して爆発音をたてる。
あれが落ちて来ねばよいがと思っていたら、ミゾレ爆弾が首根っこで炸裂した。
弁慶の切石を見ると、岳観音堂あと。
荒廃したお堂があるかと思ったら、すでに残骸と化していた。
ここから急な登りをしばしで、岳山。
高島町の田園地帯をへだてて北にそびえる雪山が美しかった。
大休止ののち、尾根を南へ。
オウム岩からは、三年前のお正月に登った蛇谷ヶ峰が美しい。
さすがに標高が低いだけあって、稜線の雪もさほどではないが、くるぶしが隠れるほどは積もっており、人間のトレイルはなかったので、下りはともかく登りは、多少きつかった。
岩阿沙利山から急降下して鵜川越林道を渡り、滝山へ登っていくあたりが雪ももっとも深く、ササも茂っていて、歩きにくかった。
軟雪の斜面を登っていくと、当然のことだが、踏み下ろした靴が1〜2センチほど沈む。
チリも積もれば山となるで、このロスはけっこう大きいなあと思うが、下りの時には相殺されるので、真剣に考えるほどのことではないと気づいた。
寒風峠からは雪も少なくなり、足跡もついていたので歩きやすかった。
オトシは複雑な地形がおもしろいところなのだが、おおむね杉の植林になっているのが難点だ。
涼峠に着いたのは4時を回っていたので、小休止も省略。
楊梅の滝は水量がないのは残念だが、高さがあるので見ごたえがあった。
げんき村には明るいうちに着けたが、高島町までのサイクリング途中で日が暮れた。