このようなとき、鉄則は「もと来た道を戻る」だが、標高差にして100メートル近くを登り返すのは苦労だし、ここをそのまま下っても登山道に出ることはわかっていたので、655号鉄塔まで下り、亀ヶ岳ハイキングコースに出て、予定していた657号鉄塔まで登った。
　このミスで時間と体力をずいぶんロスした。

　去年は別のところでミスったため、札所32番を見ることができなかったのだが、今回は観音堂をじっくり見学することができた。
　崖にせり出して建てられたお堂もすごいし、お堂裏の奇妙に風化した岩壁もすごかった。
　自分の一番の収穫は、観音堂前のとても観音の石仏だった。
　どう見ても女性の姿をしており、しかも美しい観音様なのだった。

　大日峠の登りは、ややハイペースだったせいか、いつもより長く感じた。
　峠には大日如来の石仏があるのだが、今回はスルー。

　バスの時間がそろそろ気になるのだが、予定のバスには余裕で間に合いそうで、精神的に楽だった。
　小判沢の集落で金精様を見る。
　天狗様といい、金精様といい、むかしの日本人はいったい、何を考えていたのか、興味は尽きない。