西鎌尾根から槍ヶ岳

【年月日】

2007年7月28日〜8月1日
【同行者】 多数
【タイム】

7/28 新穂高温泉(13:00)−ワサビ平小屋(14:25) 幕営
7/29 ワサビ平小屋(4:40)−秩父沢(6:18-6:28)
   −シシウドヶ原(7:44-7:54)−鏡平(8:45-8:55)−尾根の上(9:55)
   −双六小屋(11:30) 幕営
7/30 双六小屋(5:05)−樅沢岳(5:42)−硫黄乗越(6:42)
   −千丈沢乗越(9:30-9:40)−槍ヶ岳山荘(10:54) 幕営
7/31 槍ヶ岳山荘(4:50)−大喰岳(5:13-5:23)−中岳水場(6:20-6:30)
   −南岳(7:18-7:28)−天狗原(8:55-9:05)−槍沢出合(9:58-10:07)
   −槍沢ロッジ(11:43-12:15)−横尾(13:40-13:50)−徳沢(14:25) 幕営
8/1 徳沢(4:45)−上高地バスターミナル(6:20)

【地形図】 槍ヶ岳、穂高岳、上高地、三俣蓮華岳、笠ヶ岳 ルート地図

1日目 (新穂高温泉幕営地〜ワサビ平幕営地まで)

 秩父を出たときには快晴だったのだが、蒲田の谷に入ると雨が降り出し、新穂高では土砂降り状態だった。
 それでも、ロープウェー駅でしばらく雨宿りしていると雨がやんだ。

 この日は、ワサビ平までしばしの林道歩き。
 サワグルミやウダイカンバが繁る道路を歩くのは蒸し暑かった。

 ワサビ平のテント場は、ブナに囲まれた樹林の中。
 キジバトが何羽も遊びに来た。

2日目 (ワサビ平幕営地から双六岳幕営地まで)

 ワサビ平先から登高開始。
 とはいえしばらくはまだ、林道歩きが続く。
 クガイソウ、アザミ、ヨツバヒヨドリ、オニシモツケ、シシウドなどを見ながら歩く。

 橋を渡る手前が登山道の入口。
 広報に焼岳が望まれる。

シシウドが原のサンカヨウ
カラマツソウ

 ダケカンバやオガラバナが地味な花をつける中、石のごろごろした道を登っていく。
 秩父沢を渡ると残雪が出てくる。

 足元には、ベニバナイチゴ、ズダヤクシュ、カラマツソウ、ハクサンシャクナゲ、ミヤマキンポウゲ、ヒメレンゲ、ミソガワソウ、オクヨツバムグラ、オトギリソウ、マイヅルソウなど。
 ひと頑張りで、シシウドが原だが、夏の訪れが遅いのか、シシウドはまだ全く咲いておらず、ナナカマドやサンカヨウ、ミネザクラなどが咲いていた。

 ここからしばらくトラバースして凹地状を登りつめる。
 メボソムシクイやルリビタキがさえずり、ヤグルマソウ、ゴゼンタチバナ、ツマトリソウ、カニコウモリなど、地味な花が咲く。

 傾斜がゆるくなると、前方が開けて鏡池。
 雲がかかってはいるが、槍ヶ岳が望めてうれしい。

 鏡平小屋周辺にはお花畑もあるので、小休止。
 オオバミゾホオズキ、アカモノ、ミツバオウレン、モミジカラマツ、ミヤマキンバイ、キヌガサソウ、コバイケイソウ、オオレイジンソウなどが周囲を彩る。

 ここから稜線への登りはけっこう苦しいが、花が増えてくるので楽しくもなる。
 タテヤマリンドウ、オオバキスミレ、ショウジョウバカマ、シナノキンバイ、クロトウヒレン、キバナノコマノツメ、タカネグンナイフウロ、エゾシオガマ、ヨツバシオガマ、ハクサンイチゲなど。

 弓折岳直下の稜線に出ると涼しい風が吹いてきて、苦しい登りから解放される。
 あとは双六小屋まで花を眺めながらのんびり歩くだけだ。

 先の花々にハクサンフウロ、ダイモンジソウ、ノウゴウイチゴ、ハクサンチドリ、ニッコウキスゲ、コケモモ、ツガザクラ、タカネヤハズハハコ、クロユリ、テガタチドリ、アオノツガザクラ、クルマユリ、オタカラコウが加わり、じっくり写真を撮りたいところだが、大パーティなのでそうもいかない。

 双六池畔には残雪がついており、テント場は涼しかったが、設営を終えるとすぐに雨が降ってきたのでやや寒いくらいだった。

至るところにハクサンイチゲ
双六小屋周辺のクロユリ

 雨は長く降らずにすぐにやんだが、鷲羽岳が見えたくらいで、槍・穂高や裏銀座方面はあまり見えなかった。

 炊事を始めるまで時間があったので、双六小屋周辺の花調べをして遊んだ。

<ハイマツ帯>
ツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、コケモモ、マイヅルソウ、アキノキリンソウ、コメススキ、オンタデ

<雪田あと>
ミヤマキンポウゲ、シナノキンバイ、ハクサンイチゲ

<ガレ場>
イワツメクサ、ミヤマキンバイ

<草原>
ハクサンイチゲ、クロユリ、コケリンドウ、コバイケイソウ、チングルマ、イワカガミ、アオノツガザクラ、キバナノコマノツメ、ミツバオウレン、ヨツバシオガマ、シシウド、ヤマトリカブト、ミヤマタネツケバナ

双六小屋前のヨツバシオガマ
双六小屋周辺のミヤマダイコンソウ

3日目 (双六岳幕営地〜槍ヶ岳山荘幕営地)

 この日は槍ヶ岳までなので、急な登りはあるが、歩程はさほど多くない。
 朝から雨降りだったので、気分は今ひとつだったが、雨具を着てまずは樅沢岳をめざす。

 弓折岳からの尾根と比べると標高的にさほど差はないのだが、一段と険しい地形や風向きなどが異なるせいか、昨日見た花に加え、チシマギキョウ、ムカゴトラノオ、イワオウギ、イブキジャコウソウ、ミヤマダイコンソウ、ウサギギク、ミヤマシオガマなど、より高山らしい植物も見られる。

 硫黄の匂いがたちこめる硫黄乗越を過ぎると雨がやみ、周囲が少しずつ見えるようになった。
 南西方向には鏡平、北には荒涼とした硫黄尾根が見える。
 やがて周囲がずいぶん晴れてき、槍ヶ岳や三俣蓮華岳や北鎌尾根が見えるようになった。

ミヤマキンポウゲと硫黄尾根
シコタンソウ

 千丈沢乗越が近づくとミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイ、キバナノコマノツメがすこぶる多くなり、ミヤマオダマキ、ミヤマクワガタなど、紫色系の花も見えてくる。

 千丈沢乗越からはザレ場の急登。
 高度を上げていくとクモマグサ、イワベンケイ、イワウメ、シコタンソウなど、それまで見えなかった花が足元に咲く。
 まわりに樹のないここの登りでは、晴れてなくてむしろよかった。

ライチョウ(大きな写真)
槍ヶ岳の小祠

 槍ヶ岳の肩に着いたのは11時前。
 この日も、槍ヶ岳山荘のテント場で設営を終えたら雨が降ってきた。

 午後は雨が強くなるという情報だったが、一時的にあがったので、17年ぶりに槍の穂先を往復。
 展望は皆無だが、ルートが空いていたので、空身でぐんぐん岩を登るのは気持ちがよかった。

 この日の夜半には雨風とも強くなり、雷も聞こえたが、さほど荒れることはなく、ラッキーだった。

4日目 (槍ヶ岳山荘幕営地〜徳沢園幕営地)

槍ヶ岳からのご来光
早朝の槍ヶ岳

 風が強く、寒い朝だったが、天気は上々。
 紫色の空を背景に、大喰岳のシルエットがしだいにはっきりしてきた。
 ヘッドランプをつけて穂先に登る人々が、はっきり見えた。

 テント場から下って大喰岳、中岳と3000メートルの衛星峰を越えていく。
 この日の下りはきびしいので、登降にはよほど慎重さが必要だ。

 さえぎるものが何もないので、明るくなると周囲の山々が一望できてすばらしい。
 西には笠ヶ岳とその向こうに白山。

 北は裏銀座の山々と立山。
 南には穂高連峰。
 東は常念山脈。
 雲海の上に富士山と南アルプスも顔を出していた。

南岳から穂高連峰
チングルマと屏風岩

 ガラ場を下った中岳鞍部手前の雪渓はまだ豊富に残っており、雪どけ水が流れていた。
 雪渓下から中岳を見上げると、雪の白と空の青とのコントラストが鮮やかだった。

 天狗原分岐にザックをデポし、南岳を往復。
 ここには、タカネヤハズハハコがすこぶる多く、イワウメ、ツガザクラ、イワヒゲ、イワカガミなども咲いていた。

 分岐から右に屏風岩を見ながら、天狗原に向かって急降下。
 ハシゴもかかっているが、危険のない、いいルートだ。

 尾根の上をまっすぐ鞍部まで下って、ガラ場のトラバースで天狗原(氷河公園)。  テントを張った跡地の手前で、ミネズオウとキバナシャクナゲを見た。

氷河公園からの槍ヶ岳
槍沢カールとキバナシャクナゲ

 天狗池からは雪渓をいくつか横断する。
 若い人たちには軽アイゼンを持たせ、自分ではピッケルとロープを用意してきたのだが、昨夜来の雨で雪はずいぶんゆるんでおり、結局使わずに槍沢登山道に出た。

 花はところどころに咲いてはいるが、槍沢は、長くて退屈なルート。
 この日は徳沢までだが、ひたすら下らなければならない。
 とはいえ、足元には石も転がっているので、決して油断もできない。

 この日の午後は、樹林の中にグンナイフウロ、ハクサンフウロ、ミヤマママコナ、ヤマトリカブト、ハンゴンソウ、センジュガンピなどを見ながら、ひたすら歩いた。

徳沢周辺で見たイチヤクソウ
コムラサキがとまっていた

   徳沢に着いて設営を終えたのち、まずは濡れた装備や衣服を乾かす。
 芝生に濡れものを広げておくと、あっという間に乾いてしまった。

 着いたときには暑かったが、陽が落ちるとずいぶん涼しく、夜はそれなりに冷え込んだ。

5日目 (徳沢園幕営地〜上高地バスターミナル)

 最終日は上高地まで、1時間半ほどの歩き。
 昨年同様、ビジターセンターのシャワーで汗を流してバスに乗った。