4日目 (白馬岳〜白馬尻幕営地)
白馬岳直下で見たご来光
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杓子岳付近で見たコマクサ
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一夜あけても越中側からの強い風が吹いていたが、前日に比べればずっとましだった。
この日は白馬尻までの予定だったが、雨後の大雪渓は回避して鑓ヶ岳に向かう。
出発したときはガスだったが、白馬岳を少し下ったところでほんのわずかの間ガスが切れて、昇る朝日が見えた。
トリカブトやクルマユリが咲き、10メートルほど先にはライチョウが遊ぶ、いいシーンだった。
その先はまたガスと強風。
クモマグサ、ミヤマアケボノソウ、イワオウギ、トウヤクリンドウ、イブキジャコウソウなどがそこここに咲くが、ゆっくり立ち止まるゆとりはほとんどなし。
鑓ヶ岳を越え、鑓温泉への下山口を少し下ると、風がなくなり、一転して蒸し暑い下りとなった。
岩稜帯を過ぎると大出原の湿性お花畑。
ダケカンバやナナカマドの矮性木が点在する中、アオノツガザクラ、ハクサンコザクラ、チングルマが咲き残っている。
ミヤマキンバイやクルマユリの大群落もすばらしかった。
鑓温泉のすぐ上、鎖のかかった岩場ではカライトソウやニッコウキスゲが咲き始め。
高度をぐんぐん下げるので、オタカラコウ、ミソガワソウ、タテヤマウツボグサ、ソバナ、オオバミゾホオズキなど、やや低いところの花が混じってくる。
鑓温泉のテント場では、シロウマリンドウが咲き始めていた。
さらに下ると、ダケカンバなどの低木林の小尾根の乗っ越しが続く。
小さな登りが断続するので、なかなかのんびりできない。
キヌガサソウ、白花ホタルブクロ、クガイソウ、チョウジギク、サラシナショウマ、オニシモツケ、エゾシオガマなどが多い。
シナノオトギリが多い雷岩周辺の草付では、シナノナデシコも点々と咲いていた。
小日向のコルを越えると、キンコウカやイワショウブ、オヤマリンドウ、ハクサンシャジン、ワレモコウなどが咲く湿地帯。
ここもなかなか風情がよい。
さらに下ると、コマドリのさえずりの響くブナ林。
明るい木陰には、オオレイジンソウ、クロバナヒキオコシ、タマガワホトトギス、キヌガサソウ、エゾアジサイなどが咲く。
エゾアジサイのブルーがとても神秘的だ。
林道に出てから白馬尻へ登り返し。
疲れに蒸し暑さも加わって、ややバテ気味。
白馬尻では、今朝の遭難の救出作業から帰ってきた救助隊の人々が厳しい表情で下山してきていた。
雲が再びたれ込めてきたが、設営・夕食まで天気がもってくれたので助かった。
その後また強い雨となった。
雪渓わきに咲くミヤマキンポウゲ
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雨の前の大雪渓
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5日目 (白馬尻幕営地〜猿倉)
強い雨が一晩中降り続き、朝になっても状況は変わらなかった。
雨の中の撤収は、どうにも気が進まないものだ。
この日は猿倉まで下山するだけだ。
水流と化した登山道から林道に出、しばらく歩いて猿倉山荘への山道に入る。
ブナやトチの大木が随所にあって、いいところだ。
猿倉山荘の軒下でしばらく雨宿りし、バスで白馬へ。
電車の発車までまだ時間があったので、白馬グランドホテルの温泉で5日間の汗を流す。
アクシデントと悪天で散々な山行きだったが、こういう日もある。
いい日もあるのだから、若者たちには、山歩きを続けてほしいと思った。