堂々たる巨木の尾根
− 松姫峠から大菩薩峠 −
【年月日】 |
2008年5月4日 |
【同行者】 |
単独 |
【タイム】 |
松姫峠(10:12)−巨トチ分岐(10:58-11:10)−大ダワ(11:43)
−雄滝分岐(12:50)−榧ノ尾山(13:02)−石丸峠(14:25)
−大菩薩峠(14:52)−フルコンバ(15:17-15:23)−小菅登山口(16:38)
−自動車デポ地点(17:05)
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【地形図】 |
丹波、七保、大菩薩峠 ルート地図
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牛の寝通りは、以前から行ってみたかったところだ。
なだらかな尾根がえんえん続いていて、歩きでがありそうだし、たぶんところどころで展望も開けそうだ。
ただ、松姫峠と大菩薩峠を結ぶには、日帰りではむずかしいと思われるので、余裕のあるときでないと登れないと思っていた。
今回は、幕営装備を携行した上で、1日1便のバスを利用してこのコースを歩く計画を立てた。
小菅の湯の菜畑
| 新緑の中のブナ
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自動車を橋立集落の奥にとめ、歩いて小菅の湯に向かう。
この日は、源流祭りというイベントが行われるため、駐車場係の人々がたくさん出ていて、忙しそうだった。
小菅の湯では、物産所が開いたばかりで、観光客はまばらだったが、採ってきたばかりとおぼしきタラノメやコシアブラを搬入するおばさんたちが、これまた忙しそうだった。
バスが来るまで、缶コーヒーを飲みながら、ベンチでのんびり。
バス停わきの菜の花畑がちょうど見ごろだ。
松姫峠行きの富士急バスは、季節運行な上、1日1便しかない。
もう少し早い時間に出てくれると助かるが、ハイカーにとっては、この上なくありがたい便だ。
乗る人も少なかろうと思っていたが、少し遅れてきたバスに乗ると、意外なことにほぼ満席だった。 ほとんどのひとは、大菩薩に行くというより、鶴寝山のニリンソウを見に行くらしい。
松姫峠はハイカーや観光客で賑わっていたので、バスを降りてさっさと登り始めた。
日向ではタチツボスミレ・ミツバツチグリ、明るい木陰ではアケボノスミレ・フデリンドウ・ユキザサ・エイザンスミレ・ツボスミレなどが咲く、陽春の山だ。
エゾムシクイやシジュウカラがさえずる中、しばらくで尾根コースとトラバースコースの分岐。
トラバースコースはニリンソウコースでもあるので、もちろんここはトラバース。
しばらく行ったところがニリンソウ群落だったが、群落をぐるりと食害防止ネットで囲ってあり、風情としては今ひとつだった。
ブナの大木が出てきて、とても気持ちがよい。
林床にはフタバアオイやイワボタン。
ソバナは出たばかりだが、ヤブレガサは完全に開いていた。
ミズナラの根元にヤブレガサの大群落があって、とてもみごとだった。
明るい尾根では、ミツバツツジやヤマザクラが咲く。
ミズナラの大木が続いて、快適なところだ。
小菅の湯・巨栃分岐で小休止。
ここの巨トチにも会いにゆかねばなるまい。
分岐にはミズナラの大木があった。
いつの間にか過ぎてしまった大マテイ山の手前にも大ブナ。
このあたり、足元にはワチガイソウが多く、可憐な小花を咲かせていた。
ブナの新緑
| 力強い横枝のブナ
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ルイヨウボタンはようやくつぼみ。
マルバスミレや名前のわからない細長い葉のスミレを見ながら、ずっと自然林を行く。
途中、一ヶ所にシラビソの植林地。
シラビソは鹿が食うのか、食害防止ネットがかけてあった。
大ダワからも小菅の湯への道が下っている。
その先も、ブナやミズナラの森。
特にミズナラが多く、唖然とするほどの巨木はないが、迫力ある大木がどこまでもそびえている。
左手には大きな小金沢山。
上部に少しガスがかかっているが、黒木に覆われてどっしりしている。
ミツバツツジもちょうど満開で、これまた美しい。
一日のんびりしていたいようなミズナラの巨木林は、榧ノ木山手前まで続いた。
ミズナラの迫力
| ブナの根
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榧ノ木山でひといき入れると、石丸峠への登り。
このコース唯一といっていい急登だ。
遠くに、黒岳と雁ヶ腹摺山も見える。
ここは頑張りどころ。
標高差は500メートル近いが、途中に平坦なところもあるので、さほど苦しくはない。
足もとの花がなくなり、ミズナラに代わって、コメツガやシラビソの森となる。
コゲラ・エゾムシクイ・コマドリ・ルリビタキ・ウグイスが聞こえてきて、深山らしい雰囲気を盛り上げる。
先が見えてきたところで、長峰の分岐。
その先で残雪が出てきたが、たいしたことはなかった。
石丸峠は2年ぶり。
荒天時は厳しいだろうが、ササの広がるすてきな場所だ。
甲府盆地までは見渡せたが、残念ながら南アルプスは見えず。
ミツバツツジ絢爛
| 石丸峠から熊沢山の登り
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熊沢山へは、この日最後の登り。
防火帯から樹林に入ると、黒木の中にミツバオウレンが点々。
雪解けのぬかるみが甘く香って、ブヨが飛ぶ。いい感じ。
登山者の姿も多くなった。
下りきると介山荘前で、ハイカーがごった返していた。
ここに着くのが15時を回ったら福ちゃん荘で幕営というつもりだったが、時計を見ると14時52分だったので、下山と決めて、休まず下る。
ここの下山道は石畳が敷かれていたり、ガレ場に石垣が築かれていたりと、熊野古道を思わせる立派な道だ。
荷渡し場を過ぎ、フルコンバで小休止。
北西方面への展望が開けるが、見慣れない視角なのでどこがどこだか不明。
水場に下ってみると、いい水がよく出ていた。
ノーメダワ分岐を過ぎると一時ヒノキ林になる。
手入れもされているのだが、作業する人たちは、どこから登ってくるのだろう。
その先からはまたも原生林。
ツガなどに混じって、さまざまな樹種の大木が生えている。
雰囲気としては、入川左岸道の周囲をスケールダウンしたような感じ。
ガレ場にサワグルミがすらりと伸びているのを見ると、グッとくるものがある。
再び花が見えてきて、道脇にはミツバツツジ。
足元に、ハシリドコロ・フタバアオイ・ニシキゴロモなど。
日向沢分岐を見送ると車道も近くなる。
登山口に出たのは16時半ごろ。
朝のうちに歩いておいたので、自動車デポ地点まで30分ほどの歩きですんだ。
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