冠雪した富士を見る
− 天下茶屋口から三ツ峠周回 −

【年月日】

2007年10月20日
【同行者】 Uさん
【タイム】

天下茶屋口バス停(8:40)−三ツ峠(11:06)−御巣鷹山
(11:20)−清八山(13:25-13:30)−女坂峠分岐(13:57)−
八丁峠(14:25)−新御坂峠(15:05)−天下茶屋(15:15-15:46)
バス停(16:05)

【地形図】 河口湖東部 ルート地図

モミの林
草やぶでズミをたべるカモシカ

 歩き出しは、バス停わきの駐車スペース。
 奥にある駐車場まで、しばらく車道歩き。
 雨上がりのしっとりした空気が気持ちよい。

 道路わきで早くも、ハタケシメジを発見。
 今日もいろいろ出ていそうで、わくわくする。  駐車場にはマムシフウセンタケ。
 これはたぶん始めてみるきのこ。
 ぬめりの著しい、がっしりしたきのこだ。

 駐車場の先にもつづら折れの林道が続く。
 両側はカラマツ林。
 ハナイグチはあらかたダメになっていたが、チャナメツムタケは出始めだ。

 いずれ登山道になるかと思いきや、軽四駆なら走れそうな急勾配の林道が終点にならない。
 林道ばかりでは目に入るものが少なすぎるので、林道に平行する登山道に入ると、案の定、各種きのこがたくさん出ていた。
 ここで見たのは、上のほかに、シロキクラゲ、アイシメジ、アメリカウラベニイロガワリ、クマシメジ(ハマシメジかも)、アカモミタケ、ヒラタケ、コテングタケモドキ、ネズミシメジなど。

 若いブナやモミが多くなると、フキサクラシメジの群生が目を引く。
 このきのこは、今までに視認した記憶がないのだが、この日はモミ林の樹下で何ヶ所もの大群生を見かけた。

 稜線が近くなると最初のピーク。
 富士山はガスで見えなかったが、冠雪した南アルプスはほぼ全山を望むことができた。

三ツ峠から八ヶ岳を望む
オオイタヤメイゲツ黄葉

 ハイカーが右往左往するこのピーク南側のヤブから出てきたカモシカが反対側のヤブにゆっくりと入っていき、ズミの実を食べ始めたのには少々驚いた。
 人の多い山なので、人慣れしているのだろう。

 最高点に行っても展望は同様で、おおぜいのハイカーが騒いでいたので、すぐに下って御巣鷹山へ向かう。
 御巣鷹山からは富士が見えるかと思ったのだが、こちらは樹林が成長しており展望はなかった。

 その先いったん急降下したあとは、ゆるく登下降する。
 ブナ林もあるのだが、見かけたのはドクツルタケ、ヌメリツバタケモドキ、ツエタケ、クサウラベニタケ、ハエトリシメジ、ツキヨタケなどで、思わしいきのこは出ていなかった。
 またモミ林のところには、たいてい、フキサクラシメジの群生があった。

 鉄塔の建つ鞍部から登りつめたところが清八山。
 背後に、岩場を構えた本社ヶ丸が立派にそびえる。

天下茶屋より富士山(大きな写真)
トリカブトが多い(大きな写真)

 ここへ来てようやく富士山が上半身をあらわしたが、午後を回ってしまったので逆光だったのは残念だった。
 いよいよ富士山の上部は白くなり始めた。

 少し戻って八丁峠方面への細い道に入る。
 ここまでの道と比べると多少ヤブが濃いものの、南面のカラマツ林にはホテイシメジや若いハナイグチもいくらか見られた。

 女坂峠への分岐を分け、鉄塔のある八丁峠からヤブっぽい尾根を忠実に行く。
 ブナの立ち枯れにヌメリスギタケも出ていた。

 エセオリミキ、ウラグロニガイグチ、クリタケなどもあったが、さほど得るものもなく、登下降していくと、旧御坂峠。
 南へジグザグに下っていくと、天下茶屋前に出た。

 車道の手前には太宰治の「富嶽百景」の中のフレーズ「富士には月見草がよく似合ふ」の文学碑。
 しかし、そのあたりにオオマツヨイグサは見あたらなかった。

 せっかくなので、天下茶屋でコーヒーをいただき、太宰が下宿していた二階に設けられた太宰記念室を見学させていただいた。
 記念室には、太宰が使った文机や花瓶代わりの壷などが展示されていた。
 太宰関連の土産物などはあまりなくて、「富士には月見草が・・・」ののれん(1800円)がおいてあった。

 茶屋前にはノコンギクが咲き乱れており、この地に秋に滞在していた太宰は、オオマツヨイグサよりノコンギクをより目にしただろうと想像された。

 あとは、バス停まで車道を行くだけだった。
 道わきにはヌメリイグチがいくつも出ていた。