−土岳−
土手には、ヤブカンゾウの芽がたくさん芽吹いていた。
それでも、イワボタン、キクザキイチゲなど、おれの近所ではあまり見ない花々を眺めたり、写真に撮ったりするのは、楽しかった。
キャンプ場のある登山口から山道に入ると、涼しくてよいが、スギの植林の中なので、見るものがない。 花はまだ、なにも咲いていなかったが、気温が上がっていたので、ウグイスやシジュウカラ、ヤマガラなどがさえずり、キツツキのドラミングが響いていて、春らしくていい感じだった。
山頂直下まで来るとようやく、ダンコウバイの可愛い黄色が、ちらほら。
山頂は公園のようなところで、数人づれのオバサンが、どうでもよさそうなことを大声でしゃべりあっていた。
中戸川集落方面へ少し下ると、水場があって、廃林道。
谷に下ると、小沢のそこここで、ガマガエルが愛し合う声が響いていた。 |