五百川登山口に着いたのは7時半前だったのだが、駐車場にはすでにたくさんの自動車が停まっていた。
小破したライトスパッツと登山靴にヤマビルファイターをたっぷり噴霧し、万全を期したが、装着時にゴムが切れたので、ちょっと焦った。
しばらく林道歩き。
道は乾いていて、問題なし。
沢はいい流れだが、ここで釣る気にはならない。
沢沿いの登山道になると、ちょっと緊張する。
ここでは、なるべく乾いたところを選んで足をおき、立ち止まらない。
メッシュの橋で右岸に渡る。
とりあえずなるべくスタスタ歩く。
猿飛滝は支流から落ちる滝だが、滝頭を渡るからじっくり鑑賞というわけにはいかない。
その先から尾根にとりつく。
まずは無事にヒル地帯を通過したものと思われた。
モミの大木があるが、巨木ではない。
樹齢400年のブナという表示の立つブナもあるが、それも巨ブナでなく、樹齢も200年超くらいかと思われた。
樹林の切れ目から、袴腰山や守門岳が望まれる。
快晴で、空が青い。
登っていくと、黒文字の下生えにまだ若いブナの純林である。
薬師の水場はよく出ていた。
粟薬師のお堂には新しげなコンクリ製の薬師像がたくさん納められていた。
避難小屋も覗いた。
屋根と壁はしっかりしていそうだが、床はずいぶん傷んでいた。
粟薬師からやや登って、主稜線に出る。
袴腰山への道はさほどはっきりしていなかった。
樹林が次第に低くなり、急なところもあるがずっと登りというわけでないので、やや楽になる。
天狗の水場は見に行かなかったが、雨が続いていたので、たぶん出ていたと思う。
周囲が灌木帯に変わると、天気がよいだけにひどく暑くなった。
標高はまだ800メートル内外なのに早くも陽射しを遮るものに乏しくなるから、ひどく身体に堪えた。
御神楽岳や二王子岳に行ったときにもバテたのだが、いずれも同じように低標高ながら森林限界を越えてしまう山だった。
粟ヶ岳がずいぶん近くなるがまだ高く見える。
なんの飛行機かわからないが、青空に飛行機雲を残す機体が見えた。
七合目の道標を見たあたりからヒメサユリが多くなった。
ヒメサユリは概ね、山頂にかけて、より新鮮な個体が多くなった。
牛の背は幅の広い岩稜帯で、両側が好展望。
二株だけだが、トキソウが咲いていた。
その先、最後の急登になる。
人の声と鐘を叩く音が近づいてくると、10年ぶりの粟ヶ岳山頂。
前回は何も見えなかったが、今回はじつによく晴れてくれた。
おかげで、守門岳・浅草岳・スラブをまとった下田の山々が一望できた。
とはいえ、限界に近く疲れていたので、人のいないところにへたり込んでまずは大休止。
ハイカーがたむろするようなところへ来たのが久しぶりだったので、かなり違和感があった。
中年女性の嬌声も激しく気に障った。
自分から1メートルほどのところに腰を下ろしたグループがいたのも気になった。
少し休んで元気が出たので、下山にかかる。
早く下山できたが、温泉で汗を流すこともなく、早々に帰途についた。
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