大展望の低山
−金城山−

【年月日】

2010年6月6日
【同行者】 単独
【タイム】

駐車場(7:54)−雲洞コース分岐(10:17)−山頂標識(11:21-11:26)
−避難小屋(11:46)−駐車場(13:50)

【地形図】 六日町 ルート地図

多段滝
サンカヨウ

 山容が険しそうなのと、マムシが多いという情報を得ていたので二の足を踏んでいたのだが、好天間違いなしという予報だったので、金城山に出かけた。

 高速道路からは平凡な里山に見えるが、五十沢あたりから見る金城山は、えらく切り立った屏風のような山だった。
 滝入コースと水無コースの分岐手前に駐車場があったので、そこから歩き始めた。

 滝入沢(というのか)は傾斜が大きく、至るところに滝を懸けた小沢だった。
 この沢を絡んで登っていくのだが、部分的にはちょっとした高巻きほどのところもあって、気が抜けない。

 雪解けあとには、サンカヨウがちょうど見ごろに咲いており、ヒラタケの出た倒木もあった。
 どういうわけか、サカハチチョウがいくつも飛び回っていた。

 急なところをずっと登っていくと、大滝の上に出る。
 大滝は高さ10数メートルの、幅広の立派な滝だが、登山道から全貌は見えない。
 イワナが生息できそうな沢だと思っていたが、そのときちょうど、二人の釣り人が滝を高巻いている最中だった。

 沢はナメ沢の様相を呈してき、四合目不動ノ滝という道標を見るころには、水量がずいぶん少なくなる。
 不動ノ滝も登山道から見えないのだが、滝下に下る踏み跡も見当たらなかったので、見ないで過ぎた。

 キクザキイチゲ・エンレイソウ・イワボタンなど時期はずれの花も咲いていた。

 道が沢から離れると、一段と急な登りとなって、すぐに小尾根の上。
 ずっと以前に一度切られたものか、コブだらけの奇ブナがあったが、巨木というほどの木は見なかった。

こぶブナ
格好のよいブナ

 気温が高く、いつになく疲れたので、太くて格好よいブナの根元で小休止した。
 足元には、ヒメシャガが可憐な花を咲かせていた。
 前方に電波反射板のあるピークが見えるが、高度的にこちらはまだまた低いが、背後の八海山や中ノ岳が見えてきて、気持ちがよい。

 急登はさらに続き、鎖の下がったところも出てくるが、鎖がなければ危険というわけではない。
 ヒメシャガを見ながら我慢の登りを続けていくと、ようやく主稜線に出て、傾斜も多少ゆるくなる。

ヒメシャガ(大きな写真)
アカモノ(大きな写真)

 主稜線では、イワカガミが花盛りで、アカモノも咲き始めており、タムシバやオオカメノキ・ムラサキヤシオも鮮やかで、初夏の山らしい。
 七合目を過ぎると雲洞コースの分岐だが、こちらはあまり踏まれていないかに見えた。

 八合目は展望台で、谷川連峰や苗場山だけでなく、遠く妙高連山や後立山までが見通せた。

イワウチワ1(大きな写真)
イワウチワ2(大きな写真)

 ここから道ばたにイワウチワが多くなる。
 坪山ではあまりいい花を見ることができなかったのだが、こちらのイワカガミは花も大きく、色も濃い個体や淡い個体のバリエーションがあって、とても見ごたえがあった。
 水場分岐のあたりには残雪があって、雪の解けたすぐあとには、イワウチワやショウジョウバカマ・カタクリなど、早春の花が咲いていた。

 ここまで展望のよい潅木帯の道だったが、九合目あたりから若いブナ林の急登になる。

イワカガミ(大きな写真)
カタクリ(大きな写真)

 かなり苦しい登りの果てに金城山山頂の標識のあるピーク。
 ここは金城山の最高点でないのだが、とても疲れたので、小休止。
 360度の展望が得られてすばらしい。

 ここで初めて、巻機山の全貌を見る。
 谷川連峰は全山がそろっている。
 利根水源の山々は指呼しがたいのだが、稜線はすべてよく見える。
 八海山と中ノ岳の間に、巨大な駒ヶ岳が現われた。
 まったく見飽きない展望だった。

豪快な巻機山
谷川岳(中央のピーク)

八海山の迫力
中ノ岳

 標識ピークからしばしは、岩場を縫って歩く。
 岩の上に「八海山」「摩利支天」「御嶽神社」などの石塔が建てられていて、ここが修験の山だということがわかる。
 岩の下にあるという洞窟は見過ごした。

 さらに行くと、小さな池塘のほとりにミズバショウの花が咲いていた。
 この先の尾根には残雪があって、雪を踏みながら登る。
 最高点付近にそれらしい標識はなく、自然に水無コースを下っていく。
 この日は、これ以上登らなくていいと思うと、ほっとした。

修験関係の石造物
ミズバショウ咲く頂稜(大きな写真)

 アズマシャクナゲも多いが、ちょうど見ごろの花は少なく、盛りを過ぎたのや蕾がたくさんあった。

 水無コースの下りはほぼずっとやせ尾根の急降下で、乱暴に下ると膝を痛めそうなくらいだったが、かなり下部まで下っても、随所で展望が開け、八海山や中ノ岳を望むことができた。
 危険なところはないが、一ヶ所、鎖のかけられた岩場のトラバースがある。
 そこには、ハルリンドウがたくさん咲いていて、写真を撮るのに苦労した。

 樹林帯にはミズナラが生えているのだが、3分の1くらいはカシノナガキクイムシによると思われる被害にあって枯れていた。

 一気に下って、小沢を渡ると、滝入コースとの分岐まではすぐだった。

タムシバ咲く
雲洞庵山門

 下山後、五十沢温泉"ゆもとかん"で汗を流した。
 露天風呂は、入口は男女別だが、湯船は共用という、粋な作りで、たまご水の匂いのする、いい温泉だった。

 その後さらに、雲洞庵を拝観した。
 テレビドラマの影響がまだ衰えないせいか、駐車場には観光バスを含めたくさんの自動車がとまっていたが、大混雑というほどでもなかったのは、幸いだった。

 お寺はじつに立派で、内部の隅まで拝観させてもらえるのが、ありがたかった。
 ここには機会があればまた、来てみたい。