八ヶ岳縦走

【年月日】

2017年8月21〜24日
【同行者】 全部で4人
【タイム】

8/21 山麓駅(11:37)−小休止(12:31-12:39)−坪庭(13:38-13:49)
   −出逢の辻(14:37-14:50)−青苔荘(16:11) 幕営
8/22 青苔荘(6:00)−高見石(6:44-6:58)−中山(8:14-8:24)
   −中山峠(8:49-9:02)−東天狗岳(10:06-10:19)−オーレン小屋(11:32) 幕営
8/23 オーレン小屋(5:01)−夏沢峠(5:31-5:40)−硫黄岳(6:43-6:49)
   −横岳(7:50-8:00)−赤岳石室(9:09-9:25)−赤岳(10:06-10:26)
   −キレット小屋(12:01) 幕営
8/24 キレット小屋(5:05)−旭岳(6:03-6:14)−権現小屋分岐(6:47-7:00)
   −権現岳(7:03-7:06)−青年小屋(8:17-8:30)−押手川(9:32-9:40)
   −雲海(10:12-10:22)−観音平(11:07)

【地形図】

蓼科山 蓼科 松原湖 八ヶ岳東部 八ヶ岳西部 小淵沢
ルート地図(マウスホイールで拡大・縮小可)

1日目

ハクサンフウロ(大きな写真)

ベニヒカゲ(大きな写真)

 茅野から竜源橋へのバスが20日で終了になっていることに気づかず、パーティに申し訳なかった。
 しかし結果論ではあるが、ロープウェー山麓駅から登り始めたことによって、全体の日程のバランスが非常によくなった。

 山麓駅行きのバスは、じつは竜源橋の近くまで行くのだということが、乗ってみてわかった。
 あとあとのために覚えておこう。

苔むす森1(大きな写真)

白駒池(大きな写真)

 天気はまずまずで、青空も見えていた。
 ロープウェー下の登山道はだいたいが草原で、キオンやハクサンフウロが咲いていた。

 坪庭まで、約2時間の登り。
 だいたい思った通りだった。
 木製のテラスが増殖していて、お休み処もテラスの上だった。

 ベニヒカゲが何頭か、飛んでいたのだが、とまるときに羽を広げてくれなかった。
 一帯は防獣柵で囲われており、ハクサンフウロが意外にたくさん咲いていた。

 防獣柵を抜けて、樹林帯に入る。
 北八ツらしく、苔むしたところが続いて、風情がよい。

ハナイカリ(大きな写真)

苔むす森2(大きな写真)

 出逢の辻で一息入れ、国道を渡る。
 国道の近くには「苔の道」という標柱があちこちに建てられており、登山道には砕石が敷かれていた。
 道わきの苔が枯れ始めたところも見られ、一体何をやってるんだろうと思った。

 数年前に防獣柵で囲われた麦草峠は、百花繚乱という感じだった。
 防獣柵の効果は劇的だ。

 疲れもやや見えてきたが、緩やかに下ればまもなく、青苔荘に着いた。
 途中でおおぜいの観光客とすれ違ったが、われわれが着くころにはおおむね引き上げたあとで、白駒池は静かだった。

 雲は厚くなったが、この夜は雨も降らず、テントが濡れなくてよかった。

2日目

 翌朝も星は見えず、厚い雲が垂れ込めていた。
 この日はオーレン小屋までと決めたので、行程に余裕ができた。

 まずは高見石へ登る。
 高見石とニュウは、森のなかに突き出た小さな岩峰である。
 いずれも北八ツの秀逸な展望台だ。
 この日は、北東から東にかけて、多少の展望が得られた。

朝の高見石(大きな写真)

白駒池を望む(大きな写真)

 中山へは、緩いが長い登りになる。
 展望台に着いたが、何も見えない上、風が強いので、最高点まで行って休んだ。
 樹林帯には、ベニテングタケ・テングタケ・クサハツなどが、そこそこ出ていた。

シナノオトギリ(大きな写真)

トウヤクリンドウ(大きな写真)

 少し下れば中山峠だが、天狗岳の登りで強風にさらされると思い、ここで合羽を着用。
 天狗岳への登りは標高差にして200メートル程度だが、それより長く感じる。
 3年前に黒百合ヒュッテからここを登り始めたとき、パーティの一人が体調を崩し、下山するため黒百合まで一緒に戻って、その後登り返したことが思い出された。

 森林限界を出ると案の定、西からひどい風が吹きつけていた。
 山頂は身を隠す場所もないので、四人で身を寄せ合って休んだ。

 ここから根石岳にかけては、コマクサ咲く穏やかな縦走路なのだが、コマクサは多少咲いていたものの、展望のない中、風に飛ばされないよう、足を踏みしめながら進んだ。
 箕冠岳の樹林帯に入るとホッと一息つくことができた。
 オーレン小屋まで来れば、風は全く吹いておらず、ときどき青空ものぞくほど、穏やかだった。

カノシタ嬉しい(大きな写真)

夏沢峠の太陽(大きな写真)

 ここでテントを張るのは、4年前に単独で来て以来だった。
 テント場に着いたのが早かったので、この日はたっぷりと身体休めができた。

 昼寝をして、夕食を食べたあとまた、たっぷり眠った。
 夜中に少し雨が降ったが、明け方にあがった。
 この日は晴れの予報が出ていたのだが、空では相変わらず、速い雲が流れており、風が強いことがわかった。

3日目

 三日目の朝も曇り。まずは夏沢峠に登る。
 晴れていれば夏沢峠から両神山も見えるのだが、この日はガスに覆われ、何も見えなかった。
 しかしほんの一瞬だが、太陽がガスの中に浮かび上がった。

 硫黄岳への登りは、標高差約350メートル。
 そこそこきついうえ、この日は強風に煽られながらの登りだった。

ダイモンジソウ(大きな写真)

ウメバチソウ(大きな写真)

 硫黄岳を越えると八ヶ岳の核心部・横岳から赤岳への尾根になる。
 晩夏とはいえ、さすがこの稜線には花も多く、できればじっくり歩きたいところだが、吹き飛ばされないよう行動するのが精一杯で、花どころではなかった。

コマクサ1(大きな写真)

チョウノスケソウ(大きな写真)

 天望荘の建物のわきで風を避けてしぱらく休み、赤岳への登りにかかる。
 ここはひたすら我慢して登るしかない。
 赤岳で雲が晴れてくれないかという望みもはかなく消え、山頂では、岩陰に身体を隠すのが精一杯だった。

コマクサ2(大きな写真)

タワー(大きな写真)

 赤岳から前方の岩稜を見ると、とても行けそうな気がしないのだが、要所に鎖が張ってあるので、慎重に行けばさほど危険ではない。
 前方のガスがときどき晴れて、尾根が見える瞬間も出てきた。
 さすがに四日目は晴れてくれると、このときは思った。
 樹林帯に入ってしばらくで、最後の泊まり場であるキレット小屋に着いた。

キレットへの尾根(大きな写真)

ウスタケ群生(大きな写真)

 テント場から下って来た方向を見ると、鬼の顔のように角だらけの赤岳南面が見えた。
 おりてきたルートは、人間が歩くなどとても無理なようにも見えた。

 先客の人が「水場の水が出ていない」と言っていたので、見に行くと、樋が外れて流れなくなっているだけだったので、とりあえず流れるようにした。
 水くみと水場直しのため、水場を2往復したら、とても疲れてしまい、コーヒーを沸かす元気もなくなってしまった。

 風は相変わらずだったが、夜には清里あたりと思われる夜景が見え、翌日の天気が楽しみになった。
 天気予報は、翌日は広く晴れると言っていた。
 ご来光(夜明け)を見るために出発を若干遅らせることを決め、日の出時刻5時7分ということを確認してから眠った。

 ところが夜半には雨が降り始め、いったん上がったが、起床時刻ごろには再び降り始めた。
 標高的にはさほど変わらないはずだが、この夜はずいぶん冷え込んだ。
 本降りではないが、雨中の撤収・出発となり、テンションが下がった。

4日目

 夜明けを見るどころでなく、小雨の中を歩き出す。
 ツルネのピークは森林限界を少し越えているので、ここでまたも強風を受ける。
 風に慣れたのか、前の日ほどひどい風には感じなかった。

 旭岳直下の岩場がうまい具合に風を遮っていたので、小休止。
 その先しばらくで、源治バシゴ。
 水滴が眼鏡に付いて、足元が見づらいが、ここは一気に登るしかない。

 権現岳は今までいつもスルーしていたが、今回は山頂まで行ってみた。
 もちろん、展望なし。
 この先も展望は得られないだろうことが、ここで確定的となった。

ママコナ(大きな写真)

苔むす森3(大きな写真)

 青年小屋から追手川への巻道を通ったのは初めてだった。
 ゆるい下りだが、石がゴロゴロしているので、滑ったり転んだりしないよう、意図的にゆっくり行った。

 足元にササが出てき、カラマツの植林地になってしばらくで、雲海。
 終着地まで少しとなって空が晴れてき、富士山が見えた。
 しかし同時に、あたりの空気が蒸し暑くなってきた。

 観音平に着くと、爽やかな風が吹いてはいたものの、ずいぶん暑かった。
 小淵沢駅は完全に猛暑で、編笠山の頂上には、相変わらず雲がかかっていた。