風雨の権現岳
− 編笠山から権現岳 −

【年月日】

2009年7月18〜19日
【同行者】 全部で9人
【タイム】

7/18 観音平(9:40)−雲海(10:26-10:35)−巻道分岐(11:13-11:30)−編笠山(12:32-12:42)
   −青年小屋(13:10 幕営)
7/19 青年小屋(4:02)−ノロシバ(4:30-4:40)−権現小屋(5:20-5:30)−権現岳(5:40)
   −三ツ頭(6:30-6:45)−前三ツ頭(6:45)−標高1900メートル地点(8:11-8:20)
   −天の河原(9:00-9:10)−天女山(9:21)−八ヶ岳倶楽部(9:47)

【地形図】 八ヶ岳東部 八ヶ岳西部 ルート地図

1日目

ユウスゲ

食害の森(大きな写真)

 悪天予報ではなかったのだが、小淵沢の駅を下りると、どうも芳しくない天気だった。
 関東地方は梅雨明けしたが、西〜北日本にかけて前線が残っており、それがまだ元気に活動していた。
 この日は日本海に低気圧が入り、湿った空気が、南から脊梁山脈に吹きつけていたようだ。
 甲府あたりはまだ降っていなかったが、小淵沢で雨になっていたのは、八ヶ岳あたりが前線への暖気供給地点になっていたからだろう。

 小淵沢から観音平までタクシーを使い、ガスの漂う観音平からスタートした。
 ニッコウキスゲ・ユウスゲ・シモツケなどが咲いており、駐車場は満杯だった。

 雲海まで登ってひといき入れる。
 展望なし。
 ミソサザイがにぎやかにさえずっていた。

 カラマツ林の中の坦々とした登りだが、部分的にひどく食害されたところがあった。
 シカによる食害を目にすることはよくあるが、これほどひどいところは見たことがなかった。

 巻道との分岐あたりは、落ち着いた感じのシラビソ・コメツガ林。
 ここからは一気の急登が続く。
 イワシャジン・ゴゼンタチバナ・ツマトリソウなどが足元に咲いているが、雨に打たれて気の毒だ。

 ハイマツ帯に入るとタカネバラ・ミネウスユキソウ・コケモモなどが多くなり、ひと頑張りで編笠山。
 展望皆無な上、じっとしてるとすぐに冷えてくる。

 なすすべなく、さっさと青年小屋方向へ下る。
 ハクサンシャクナゲはちょうど見ごろだった。
 青年小屋の平坦地にも、強い風が吹いており、背後の編笠山はガスのため全く見えなかった。

コメツガの森(大きな写真)

ハクサンシャクナゲ

2日目

 夏休みに入ったせいか、青年小屋のテント場は主に単独のハイカーで、まずまず盛況のようだった。
 その中で、われわれはずいぶん早く撤収した方で、4時過ぎに行動を開始した。

 ヘッドランプをつけてまずはノロシバへ。
 夜半には見えていた編笠山は再びガスに隠れてしまった。

 ここから岩稜歩きとなるので、気を引き締める。
 西ギボシ・東ギボシと小ピークを巻いて行くが、岩が濡れているので、気分的にはあまりよろしくない。
 足元には、キバナノコマノツメ・ミネウスユキソウ・ムカゴトラノオ・シロバナノヘビイチゴ・ヨツバシオガマ・イブキジャコウソウ・コゴメグサ・イワベンケイ・ミヤマダイコンソウ・クロユリ・ミヤマキンポウゲ・マイヅルソウ・ハクサンイチゲなどが咲いており、せめて明るい曇りであれば、爽快なところだろうが、如何ともしがたい。

 風がやや強くなった。
 風速5〜15メートルくらいというところか。
 時おり、よろけるほどの強い風が来るので、権現小屋前の小広場で小休止。

バイケイソウ

イブキジャコウソウ

 権現岳のピークの横を通って、そのまま三ツ頭への下山路を行く。
 小さな鎖場を過ぎると、おおむねハイマツ帯の、石のごろごろしたところを下っていく。

 ゆるやかに登って三ツ頭。
 バイケイソウやチシマギキョウが咲いているが、雨でずぶぬれだ。

 岩稜歩きは前三ツ頭まで。
 ここからはコメツガ林の急降下となる。

 ときおり、樹林の切れ間があって、イブキジャコウソウに混じって、タカネグンナイフウロ・ウツボグサ・キバナノヤマオダマキ・ヨツバシオガマ・テガタチドリなどが咲いていた。

ウツボグサ

天の河原から富士山

 標高1900メートル付近からは傾斜もゆるみ、カラマツの植林地が多くなってくる。
 ササの下生えののんびりした下りだ。

 天の河原手前から再び、石の多い道となり、イブキジャコウソウがすこぶる多くなる。
 天の河原展望台からは、頂稜を雲に隠した富士山や茅ヶ岳が望まれたが、南アルプスは全く見えなかった。

 天女山駐車場からちょっとミスして東に下り、観光道路に出て八ヶ岳倶楽部のバス停まで、一気に行った。
 バスがなかなか来ないので、ちょっと困ったが、レトロな雰囲気のバスだったので、うれしかった。
 降車ボタンを押すのをうっかり忘れていたため、甲斐大泉駅をあやうくスルーしてしまうところだった。