ひさびさに、梅雨の北八ツ。
麦草峠の駐車場で仮眠していると、目の前の小枝にウソが止まった。
とても美しい鳥だ。
ガスが速い速度で流れており、やや寒い日だが、雨は降りそうもなかったので、まずはもうけものだった。
出発しようとすると、観光バスが3台も来て、中学生がぞろそろ降りては、北横岳方面に歩き出した。
やれやれ、ついてないな。
中学生はかしましいし、先生のどなり声も場ちがいで、おもしろくない。
数人の女の子が、おしゃべりしながら登山道の真ん中でいきなり立ち止まっちまったので、「休むなら端っこによけて休め」と言ってやったら、「むかつくー」というご返事。
先生は恐縮していた。
ところで、道ばたには、この季節ならではの地味な花たちが、さかんに咲いていて、好ましかった。
ゴゼンタチバナ、ツマトリソウ、マイヅルソウ、オサバグサなど。
いずれも小さくて、白い花ばかりだ。
メボソムシクイ、ルリビタキ、ウグイスは、いたるところでさえずっていた。
樹脂とぬかるみのない交ぜになった、シラビソの樹林帯らしい匂いもなつかしかった。
縞枯山展望台入口でようやく、中学生の群れから脱出。
坪庭は、遊歩道が舗装化され、一方通行になっていたし、交通整理のおじさんが「この少し先でシャクナゲが咲いています」と案内までしてくれていた。
ロープウェー駅の前には、どこからとってきたんだか、花壇にコマクサが植えられていて、自然を大切にしなさいと注意を喚起する札が立てられていた。
ここはほんとにいいところなのだが、ますます俗化している。
ここからは、足元にコケモモやコイワカガミを見ながら、しばしの急登。
北横岳は静かだったが、ガスで展望皆無。
風が冷たいので、北横ヒュッテの前で、大休止にした。
この日は、燗したワインと、途中で摘んできたヤマイグチを入れたラーメン。
ゆっくり休んで、下山しかけたら、中学生たちが登ってきた。
帰りは、五辻まわり。
ここは、木道が整備されている最中で、とても歩きやすくなっていたが、五辻で、縞枯山と茶臼岳の鞍部に登るルートに入ってしまい、またまた茶臼岳まで登る羽目になった。
疲れはしたが、茶臼岳北側の斜面は、この日のコース中もっとも風情のよい樹林帯だったので、静かな状態で歩くことができたのは、ありがたかった。
麦草峠あたりでは、モリノカレバタケなども出ており、きのこのシーズンが始まったことを感じる。
駐車場まで戻ったら、雨が降り出した。