秩父事件関係の調査のため、佐久に出かけた。
北相木から小海周辺の史跡を見てから稲子湯へ。
午後を大幅に回ってから稲子湯を歩き始める。
登山道に入るとキイチゴやクサイチゴが多い。
唐澤橋から先の緩い登りでは、センジュガンピ、クルマユリ、テガタチドリ、キバナノヤマオダマキ、トリアシショウマ、ヤマブキショウマなどが咲いていた。
ヨツバヒヨドリはまだつぼみが出たばかりで、ズダヤクシュやエンレイソウ、マイヅルソウ、ツバメオモトなどの花はすでに終わり。
もっとも多いのはシロバナイチヤクソウで、ずっと上まで同じように咲いていた。
ベニタケ科の赤くて小さいきのこがきわめて多い。
カラマツ帯に入ると、シロヌメリイグチが二つ。
水場を過ぎ、シラビソの中の多少急な登りとなったところでマスタケ。
この先は樹相が変わり若いシラビソを中心とした樹林帯となる。
樹林帯のなかのミドリ池はいい感じ。
風がいくらか出てきていたが、まことに静かでリスが薪の間を走り回っていた。
オオツガタケに似た大きなきのこが出ているテント場で一息。
ぬかった泥道の匂いが、北八ツの雰囲気を演出する。
6時半頃から風がかなり強くなる。
音はすごいが、樹林帯の中なのでテントへの影響は少ないし、周囲は若木が多いので倒木の危険は少ない。
風はますます強くなり、テントが揺すぶられるようになるが、普段よりペグを深く打ち込んでおいたので大丈夫だ。
外は大荒れだが、テントのなかは別世界である。
遠くの木々がうなり声をあげ、それがだんだん近づいてくる。
凄い音がしたかと思うとテントが揺れる。
その風が通りすぎると、一瞬エアポケットにはいったかのような静けさとなる。
そうすると、あたりがすうっと暗くなるように感じる。
そんなようすを見ているうちに眠ってしまった。
翌3時過ぎ、風がやみ、ぽつぽつと雨がテントをたたき始めた。
雨はしだいに激しくなり、まもなくすさまじい雷雨となった。
風は音だけなので眠っていられるが、雷となると目をつぶってもいられない。
稲光で真っ白になるたびに緊張する。
発雷は、いくらか遠くなったかと思うと、またすぐ近くで起きる。
雨が激しくなると雷も近くなる。
雷雨は1時間以上続き、あたりが白み始めた5時前に遠のいていった。
テントのなかで食事をし、小雨のなか撤収。
5時40分に出発する。
雨はいつまでもやまなかったが、小降りだし暑いのでザックカバーだけで下までおりてしまった。