ミドリ池でほっと一息

【年月日】

1990年7月15〜16日
【同行者】 単独
【タイム】

稲子湯(14:15)−ミドリ池()
ミドリ池(5:40)−稲子湯(6:40)

【地形図】 松原湖

 秩父事件関係の調査のため、佐久に出かけた。
 北相木から小海周辺の史跡を見てから稲子湯へ。

 午後を大幅に回ってから稲子湯を歩き始める。

 登山道に入るとキイチゴやクサイチゴが多い。
 唐澤橋から先の緩い登りでは、センジュガンピ、クルマユリ、テガタチドリ、キバナノヤマオダマキ、トリアシショウマ、ヤマブキショウマなどが咲いていた。
 ヨツバヒヨドリはまだつぼみが出たばかりで、ズダヤクシュやエンレイソウ、マイヅルソウ、ツバメオモトなどの花はすでに終わり。
 もっとも多いのはシロバナイチヤクソウで、ずっと上まで同じように咲いていた。

 ベニタケ科の赤くて小さいきのこがきわめて多い。
 カラマツ帯に入ると、シロヌメリイグチが二つ。
 水場を過ぎ、シラビソの中の多少急な登りとなったところでマスタケ。

 この先は樹相が変わり若いシラビソを中心とした樹林帯となる。
 樹林帯のなかのミドリ池はいい感じ。
 風がいくらか出てきていたが、まことに静かでリスが薪の間を走り回っていた。

 オオツガタケに似た大きなきのこが出ているテント場で一息。
 ぬかった泥道の匂いが、北八ツの雰囲気を演出する。

 6時半頃から風がかなり強くなる。
 音はすごいが、樹林帯の中なのでテントへの影響は少ないし、周囲は若木が多いので倒木の危険は少ない。
 風はますます強くなり、テントが揺すぶられるようになるが、普段よりペグを深く打ち込んでおいたので大丈夫だ。

 外は大荒れだが、テントのなかは別世界である。
 遠くの木々がうなり声をあげ、それがだんだん近づいてくる。
 凄い音がしたかと思うとテントが揺れる。

 その風が通りすぎると、一瞬エアポケットにはいったかのような静けさとなる。
 そうすると、あたりがすうっと暗くなるように感じる。
 そんなようすを見ているうちに眠ってしまった。

 翌3時過ぎ、風がやみ、ぽつぽつと雨がテントをたたき始めた。
 雨はしだいに激しくなり、まもなくすさまじい雷雨となった。

 風は音だけなので眠っていられるが、雷となると目をつぶってもいられない。
 稲光で真っ白になるたびに緊張する。
 発雷は、いくらか遠くなったかと思うと、またすぐ近くで起きる。

 雨が激しくなると雷も近くなる。
 雷雨は1時間以上続き、あたりが白み始めた5時前に遠のいていった。

 テントのなかで食事をし、小雨のなか撤収。
 5時40分に出発する。

 雨はいつまでもやまなかったが、小降りだし暑いのでザックカバーだけで下までおりてしまった。