1日目
美濃戸の山小屋部落の駐車場に車がたくさん置いてあった。
山道になると、白花のイチヤクソウ、実をつけたマイヅルソウ、シナノオトギリ、ズダヤクシュ、クルマユリなどがあらわれる。ここでもキバナノヤマオダマキが多い。ここのは、黄花といっても、がく片はうす黄緑色で、とても清楚だ。
イワオウギのうす黄色の花が咲く橋のところで一息入れた。
何度か北沢を渡り返すと、傾斜もこころもちきつくなっていくようだ。
クルマユリがとても多くなり、メタカラコウ、オニシモツケ、ミヤマコゴメグサ、テガタチドリ、タカネグンナイフウロ、タニキキョウなどがあらわれだし、早くもウメバチソウが咲きはじめていた。
テガタチドリがあちこちに咲く赤岳鉱泉に着いたのち、さっそく受付をすませ、テントの設営にかかった。
比較的明るい樹林のなかだが、花はといえばゴゼンタチバナくらい。前方に空が見えるようになってくると、カラマツソウ、ミヤマキンポウゲ、タカネグンナイフウロなどが見られるようになり、木々の間から赤岳と阿弥陀岳が望まれた。
稜線では、コケモモがたくさん咲いていた。
花に誘われて、腰もおろさずに主稜線へ。
石の上をゆるく下っていくと、硫黄岳石室。このあたりから、コマクサとオヤマノエンドウを見る。コマクサがが石くずのなかに点々と咲くさまは、華やかなことこの上なかった。ウルップソウの花が終わっていたのは残念だった。
コマクサを見ながら稜線漫歩しばらくで、横岳にさしかかる。
チシマギキョウとミヤマダイコンソウは、いたるところに咲いており、タカネシオガマ、ハクサンイチゲ、チョウノスケソウ、イブキジャコウソウ、イワベンケイ、ミヤマハタザオ、ミヤマミミナグサ、クモマグサ、ミヤマシオガマなどが岩稜の間に乱れ咲いていた。
横岳主峰で一息入れ、赤岳石室へ。ここにもコマクサがあった。このあたりで行者小屋方面へ下る支稜の上にカモシカがじっと立ってこちらを見つめているのが見えた。写真をとったが、悠然としていた。
石室で風のこないところを選んで食事。
頂上が見えているからたいした距離ではないが、そうとうな急登だ。ほとんど四つ足で登った。そこのすぐ南のコブが山頂だった。
中岳方面への下りで、目印が全くないので、変だと思いながら支稜を下りたが、完全にルートをはずしてしまった。下が垂壁になっているところにぶつかって、小さなルンゼを冷や汗かきながらくだった。
2日目
赤岳と阿弥陀岳が朝日を浴びて目の前に輝いており、阿弥陀岳は、向かって右の肩に、北岳、甲斐駒ケ岳、仙丈ガ岳を従えていた。
北では、浅間山が大きく、はるか北東には日光・上越の山塊。
展望を堪能したあと、急な下りを夏沢峠へ向かった。
箕冠山の分岐点を過ぎると、前方が開けてきて、根石岳が見えてくる。
まだ7時前、コマクサを見たり、写真をとったりしながらぶらぶら。
西天狗を往復すると、急に空腹を感じた。
稜線から樹林帯に沈んでいくと、華やかな花や派手な展望がなくなるので、たかぶった気持ちも落ち着いてくる。
ミソガワソウやクルマユリの咲くオーレン小屋をあとにして、赤岩ノ頭への登り。
赤岩ノ頭では、高校生の一団がへたばっており、なかには、相当へばっている生徒もいたが、先生らしき人は見えなかった。たぶん先に行ってしまったのだろう。
高山病かもしれないからゆっくり下れよというと、手をポケットにつっこんで下りはじめた。手を出せ!とのどまで出かかったが、転べばわかることだと思い直し、黙ってついていってやった。
赤岳鉱泉に着くと、教師に見離された女生徒がもう一人、頭を抱えていた。
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