鬼面山スノーハイク2

【年月日】

2012年2月18日〜20日
【同行者】 おおぜい
【タイム】

2/18 横向スキー場(7:50)−反射板鞍部(9:42) 雪洞設営
2/19 反射板鞍部(7:59)−鬼面山直下(9:15-9:26)−鬼面山(9:40-9:55)−雪洞(11:00-13:58)
    −新野地温泉(14:28)
2/20 新野地温泉(7:57)−横向スキー場(9:16)

【地形図】 吾妻山、中ノ沢、土湯温泉、安達太良山 ルート地図

 昨年は山行の一週間前にインフルエンザにかかったため、体調に不安を抱えての山行だったが、今年は、トレーニングも順調で、まずまずの体調で参加できた。

 土湯の道の駅で時間調整をしていたときに、夜が明けた。
 太陽は、阿武隈山地方面から昇ってくる。
 福島県浜通りは、秀麗な低山が数多く、何度も出かけた山域だ。
 一帯の現状を思うと、ため息が出る。

阿武隈山地からのご来光
 ホテルマウント磐梯先のバス乗り場で降りると、小雪が舞ってはいたものの、さほどひどい風が吹いていたわけではなかった。
 去年は、箕輪山や鉄山が見えたのだが、今年は殆ど展望のないのが、やや残念だった。

 車道から尾根に入ると、樹氷をまとったブナ林が、えもいわれず美しい。
 標高1215メートル付近で小休止したあとは、ごく緩やかに登っていくだけだった。

 鷲倉温泉裏から立ちのぼる硫化水素の匂いを感じると、泊まり場は近い。
 見覚えのある大ブナのそばで、雪洞を掘ることになった。

 事前の予定では、4人用の雪洞を2つ作るはずだったが、積雪が少なく、大きな雪洞ができる状態でなかったため、3つ掘ることになった。

 最初に掘り始めた地点では、30センチほど掘っただけでネマガリタケが出てきたので、そこはすぐに放棄して、もう少し下で改めて掘り始めた。
 最初はよさそうだったが、しばらく掘るとやはり、ネマガリタケや潅木が出てきた。
 こちらはかなり掘った後だったので、放棄しないで、鋸でブッシュを払いながら掘り進んだ。

雪のブナ林(大きな写真)
雪洞内部(大きな写真)

 10時前に作業を始めたが、汗だくになって掘りまくっても、14時の時点でようやく、完成したかどうかだった。
 こちらはT字型に作ったのだが、かなり疲れたものの、各自が足を十分伸ばせる程度の穴を掘ることができた。
 他の雪洞を見に行くと、どうにか入れる大きさとはいえ、かなり狭そうな感じだった。

 炊事そのものはいつものように手際よかったので、あとは眠るだけとなった。
 起床時刻を5時半と決めたので、おおむね12時間を穴の中で横たわって過ごさねばならない。

 眠るための装備についてはそれなりに考えていたので、寒くて寝られないほどではなかったが、足先が非常に冷えて嫌な感じだった。
 靴下を調べてみると、やや湿っており、それが冷えの原因だと思われた。
 行動するぶんには特に支障なかったが、足先の発汗か、些少の浸水が原因かもしれない。

 ぐっすりというわけにはいかなかったが、寝たり起きたりしているうちに明るくなり、無事に朝を迎えることができた。
 夜の間に、30〜40センチ程度の新雪が積もり、雪洞村につけられた踏みあとはかなり、消えてしまった。
 眠っている間に、天井がかなり下がってしまい、首を縮めないと身体を起こせないほどだったので、食事はややしづらかった。

 二日目はほぼ予定通りに出発できた。

 この尾根両側のブナ林に雪がつくと、ため息が出るほど美しい。
 いい感じの林を抜けると潅木帯で、すぐに土湯峠。
 さすがにここはかなり強い風が吹いていた。

 雪を踏み抜かないように注意しながら平坦地を抜けて、鬼面山への登りにかかる。
 部分的に雪が飛んで、小石が露出したところもあるなか、淡々と登っていく。

 中間点の平坦地付近では、潅木がややじゃまだったが、ことによると夏道通りのトレースではなかったかもしれない。
 北側に小さな雪庇が出ているのが、よく観察できた。

 いくらか傾斜が出てくると、早くも鬼面山直下。
 ここでひと息入れるとすぐに、ピークに着く。
 天気予報は晴れると言っていたが、雪雲がかなりの速度で流れており、展望はまったくなかった。
 とはいえ、雪によって美しく化粧した潅木や、岩についたエビノシッポなど、この時期の山ならではの景観を見ることができてよかった。

 帰りは、来た道を戻る。
 雪洞に着いたのは、まだ11時だった。

 ハードな行動はこれで終わりだが、相模屋旅館へ出発するのは午後2時なので、雪洞を壊す時間を入れても、3時間ほどはここに待機しなければならない。
 動いていればそれなりに暖かいのだが、雪穴でじっとしているのは、なかなか辛いものがある。
 氷と化した雪洞の床が冷えるのでマットを出し、インスタントコーヒーなど飲みながら、時のたつのを待った。

 いつもそうなのだが、雪洞は思ったより頑丈にできていて、これを壊すのはかなりの重労働である。
 雪がこんなに厚いとわかっていれば、居住性を向上させるために、もう少々天井を削るのだが、寝ているときに落盤でも起きたらおしまいなので、上を削るのはどうしても躊躇してしまう。

 新野地温泉に向けて動き始めればずいぶん、気が楽になる。
 やはり美しいブナ林の中をゆるゆると相模屋まですぐだった。

 硫黄の強い新野地温泉で暖まり、暖房の効いた部屋で布団にくるまって眠ると一気にリラックスしてしまい、筋肉痛もいくらか出てくるが、翌日また、ワカンを履かねばならないから、そうのんびりしてもいられない。
 しかしいつもながら、相模屋さんにはとてもよくしてもらった。

 この夜の天気予報も、三日目は移動性高気圧が覆って晴れるだろうと言っていたにもかかわらず、朝から雪が降っていた。
 じっとしていても暑いくらいの部屋から、厳寒の屋外に出るとさすがに寒いが、この日は横向スキー場までのショートコースが残っているだけだ。
 昨年は、あまりにスピードが早くて、ついていくのが大変だったが、今年はペースもまずまずで、苦しまずに行けた。

 反射板ピークからは、農工独自のトレースをつけながら下った。
 尾根を外さずに行くように指示したが、全くミスせずに下れてよかった。

 三日間降り続いた雪だが、バス乗り場に着く直前に、一瞬だが晴れた。