メイプルヒルスキー場の駐車場を出発したのは7時半前。
シールをつけ、だれもいないゲレンデを登りはじめてからまずあせったのは、私が異常に遅れてしまったからだった。
天気は薄曇りだが、風は弱く、汗が吹き出てくる。
そうしているうちにリフトが動き出し、汗だくになって登っている私の頭上をスキー客が通っていく。
スキー客が滑走して来はじめたので、迷惑になっては悪いと思い、ゲレンデのはじの方を登っていき、いちばん上のリフト終点からようやく静かな登山道に入った。
ほぼ夏道通しにワカンとスキーのトレイルがついていた。
ルートにはワカンの足跡もあるが、スキー以外のはきものではつらい登りになるだろうと思われた。
頂稜に着くと、やせ尾根の上のアップダウンになるのでスキーをデポして、ツボ足登行。
ここからは、トップを交代し、私が先になって進む。
いったん大きく下り、最後の急登。靴ずれはもはや治療不可能状態なのだが、カットパンももってこなかったし、あとは下るだけなのでかまわず登った。
もやがかかっていて、胸のすく展望とはいかなかったが、直近の釈迦ヶ岳はどっしりした姿をあらわしていた。
山頂の一画に避難小屋のような感じの神社があったので、風をよけるためにそのわきに腰をおろした。
ナメコ入りのうどんをすすりながら、背負ってきた4合の日本酒を友人と酌み交わす。
学生時代とおんなじに、住専への税金投入について、議論が始まった。
議論は果てしなく続き、日本酒をいれたシェラカップの縁に薄氷が張っている。
いつの間にか、山はガスにつつまれ、釈迦ヶ岳も見えなくなっていた。
歩行だけなら、私の方がいくらか強いので、私が先になり、ゆっくり下った。
ヒノキ林をぬけ、リフトのところまで来ると、ばかばかしい音楽が鳴り響き、学生らしい、若い男女がまぬけ顔で、こっちを見ていた。
疲れがどっと出、われわれはリフト降り場のわきでねころんだまま、動けない。 |