仙人ヶ岳から赤雪山

【年月日】

2001年2月4日
【同行者】 単独
【タイム】

タイムとらず

【地形図】 番場、足利北部 概念図(ポップアップで開きます)

祠から振り返る仙人ヶ岳
 約3ヶ月ぶりの山歩き。
 この間、なんのトレーニングもしていないから、出発から、はなはだ自信がなかった。

 この前にこれらの山を訪れたときには、ダム工事の重機の音が響いていたのだが、松田川に沿う道路の先には、完成した松田川ダムがあらわれ、2ヶ所の赤雪山登山口には、広い駐車場がしつらえてあった。
 赤雪山は、広い駐車場に車をとめて登るような山だったのだろうか。

 今日は、仙人ヶ岳から周回するつもりだったので、赤雪沢駐車場というところに車をとめ、自転車で仙人ヶ岳登山口に向かった。
 なにせ、久しぶりだったので、猪子トンネルへの登りでは汗をかいたが、どうにか、自転車から降りないで、登りきることができた。

 岩切で自転車を降り、小俣川に沿う林道を歩く。
 残雪はあるが、おれの家のまわりほどひどくは、ない。

 林道の終点には、ハンターの4駆が3台。
 なにせ、久しぶりの山行だったため、ハンターよけのホイッスルと、コンパス、筆記用具など、大切な小道具をいろいろ、忘れてきてしまった。
 ハンターのうち1台は東京ナンバーだったので、都会人が鉄砲をもって山に入っていると思うと、不安になった。

 歩き始めてしばらくすると、ライフルを背負った3人づれとすれ違った。
 話を聞くと、この先にはもう、ハンターはいないとのこと。
 それを聞いてようやく、安心して歩けた。

 生満不動まで40分くらいかかった。
 以前に来たときよりずいぶん遅い。
 不動様では拝礼しただけ。休まずに行った。

 金網でふたをした何かの採掘跡が、数個。
 ここの仙人の正体は、じつは山師だったのかな。

 水流が乏しくなると急登になり、尾根の上に上がる。
 灌木越しに赤雪山が見えるのだが、山腹に4本の縞模様が入っていた。
 あれは、なんなのだろう。
 悪ふざけにしては、ひどすぎないか。

 西側からかなり冷たい風が吹いていたが、しばしの登下降で、仙人ヶ岳。
 山頂プレートのたぐいが、前にはたくさんあったのだが、ずいぶん撤去されたようだった。

 ここで少し休み、赤雪山へ向かった。
 仙人ヶ岳の西のピークから急降下して、まずは県境尾根に乗る。
 このあたりは北面なので、雪もけっこう深かった。

 そこからはおおむね、足利側が植林、桐生側が雑木、尾根上はアカマツという感じのピークをいくつも越える。

 道標は少ないが、リョウブやコナラの若木に、マジックで「赤雪へ」などと書き込んであったりするので、迷うところは全くない。
 しかし、おれとしては、このような形で、木に落書きをするのは、やめてもらいたい。
 木は、落書きしてもらうために、生えているのではない。

 県境から、足利と田沼の町界尾根に乗るところも、はっきりしていた。
 これに乗ってしまえば、あとは、尾根をはずさずに、歩いていくだけだった。

 町界尾根に入っていくつめかの露岩のピークあたりで、正午となった。
 ここには石祠があり、「中沢家」と彫ってあった。
 露岩からは、仙人ヶ岳がよく見えたので、寒くなければ、ゆっくりしていきたいところだった。

 奥仙人峰というプレートの下がった、標高約590メートルのピーク手前は、尾根の直下まで作業道があがってきており、ヒノキの苗が植えたばかりのようだった。
 一帯は、山火事で焼けこげており、オキのにおいが、漂っていた。
 植林作業の中で出火したのか、火事のあとに急遽植林をしたのか、どちらなのだろう。

 いずれにしても、むごいことだ。
 なむあみだぶつ。
 このあたりからは、多高山、大久保山、尾出山など、なつかしい山が見えた。

 赤雪山北峰は以前のままだったが、本峰は、あまりのさま変わりに絶句した。
 前に来たときは、茫洋とした雑木の山頂だったはずだが、西側には土止め工事が施されており、山頂一帯は山火事あと。
 登山道は階段化されて、でっかいあずまやが建っていた。

 展望はずいぶんよくなっていて、三境山のかなたに、皇海・袈裟丸連峰が望まれて、うれしかった。
 このあたりの山は、とても久しぶりなのだが、根本山や野峰も、忘れていなかった、

 あずまやでは、3人の先客が、ボリュームを大きくしたラジオの騒音に負けない大声で、サシミなど食べながら、つまんないことをしゃべりあっていた。
 なむあみだぶつ。

 なんだか、とても居づらくなった。
 長居は無用と思ったが、おなかがすいたので、おれは、自家製ネギ入りの、あったかいラーメンをすすってから、下山にかかった。

 駐車場までは、重機で開いたらしいコースを下った。
 ずいぶん下まで下ってようやく、ヤブコウジの、赤い実を見た。
 それはとても、うれしかった。