都沢から勝雲山・地蔵岳・石倉山

【年月日】

1996年3月27日
【同行者】 単独
【タイム】

都沢橋(8:55)−勝雲山(10:30)−粕尾峠(11:25-11:40)
−地蔵岳(12:15)−石倉山(2:00)−都沢橋(3:15)

【地形図】 足尾

粕尾峠あたりから地蔵岳を望む
 都沢橋の手前に自動車をとめ、都沢に沿う林道を行く。
 内ノ籠川は大きな川ではないが、取水していない上、雪解け水が加わって流れはなかなかりっぱ。

 工事現場を過ぎると、静かな林道。
 カラマツ林が多いが、対岸はスギの植林の中にシラカンバがめだつ、足尾らしい林相だ。

 左岸に渡り、しばらく行って、カラマツの植林されたヤブ尾根にとりついた。
 ここは北斜面なので積雪も深い。
 ザラメ化した腐れ雪に、閉口した。

 カラマツの枯れ枝をかき分けながら登っていくと、美しいササの下生えの自然林となり、登りつめたところは勝雲山三角点のやや西の地点だった。

 勝雲山の山頂には電波中継施設のようなものが建てられており、風情に欠ける。

 ひと息いれ、りっぱな階段を下って林道。
 周囲は、灌木の生えた湿地状のところで、ことのほか感じはよいのだが、いくつかの廃屋があるのと、霊園(!)が一ヶ所あるのと、「私有地につき立入禁止 ヤマハ発動機株式会社」という看板が何ヶ所もあるのがめざわりだった。

 空は花ぐもりで、遠くの展望はほとんどないが、地蔵岳のすっきりした姿はもう目の前。

 県道の粕尾峠から、1147ピークの南を巻いた先は、尾根の上を行く。
 ダケカンバ、シラカンバ、リョウブなどの自然林と植林が交互にあらわれる。
 湿地状の鞍部から南への踏みあとがあったので、そこを急登するとわけなく地蔵岳。

 横根山がぼんやり見えるが、あいにくの空もようであまりはっきりしなかった。

 小休止ののち、この日の核心部分の縦走へ。
 いったん下って登りかえしたところが地蔵岳南峰。

 県界稜線には、しっかりした登山道がある。

 道の南側(群馬県東村)はおおむねヒノキの植林、北側(栃木県足尾町)は自然林だ。

 樹林が切れると根本山や椀名条尾根など、知った尾根が望まれるのでちょっとうれしい。

 やがて石倉山らしい大きな支尾根が右前方に見えてき、踏みあとのないジャンクションポイント。

 北への尾根を少し下ると、あたりは完全な自然林。
 ミズナラ、モミ、コメツガなど落葉樹と広葉樹が混生したなかに、消え消えの踏みあとが続いている。
 前方に台形のピーク。

 このピークの西側は、一面のササ原にヒノキの苗が植えられたところで、遠くから見ると大菩薩か雁坂峠に似ている。
 ここは、赤城山を背景に大萱山を望むことができる、絶好の休憩ポイントだ。

 石倉山の三角点は、台形のピークから数えて三つ目の小ピークだった。
 山名表示もビニールテープもない、きれいなピークだった。
 山頂には三角点以外に何もない方がいいと思った。

 踏みあとはさらに渡良瀬川方面へと続いていたが、この日は内ノ籠へ下山しなければならない。
 はじめに考えていたように、三角点のすぐ下から沢へと下降した。

 下りはじめは廃道化した杣道があったので、それを利用したが、谷がせばまると道は消えてしまい、完全な沢下りとなった。
 両岸は岩場が多く、何ヶ所かのナメ滝状のところは高巻きに苦労したが、落差が少なかったのでほとんど水線通しに下ることができた。

 久良沢を渡渉すると、破線の道はりっぱな林道になっていた。
 久良沢には何人もの釣り人がいたので、「釣れますか」と声をかけてみたが、みんな「だめだねえ」と釣り人の決まり文句で答えるばかりだった。

 久良沢と膝付沢の出合う少し上に「琴乃家」という宿があり、「温泉入浴可」といううれしい看板がでていた。
 自動車で登りかえし、500円払って岩風呂にはいった。
 宿の人には申し訳ないが、閑散としているところがとても気に入ってしまった。
 あつくなく、ぬるくなく、居眠りをしたくなるような、じつにいい風呂だった。