1日目 (見晴十字路まで)
いつものように、にぎやかに鳩待峠を出発。
作業着を着た若者たちが数人ずつのパーティで至仏山をめざす。
この山は、森林植生の垂直分布がとてもわかりやすい。
峠からしばらくはブナ林だが、亜高山帯のオオシラビソ林とみごとに切り替わる。
笠ヶ岳を左前方に望む灌木林あたりまでは、草花も少ない。
ゆるく下って再び樹林帯に入り、登っていくとオヤマ沢田代。
天気はまずまずで、曇りがちながら燧ヶ岳が見えている。
見晴らしのよい傾斜湿原は、いつ来ても気持ちがよい。
ワタスゲ、イワイチョウ、タテヤマリンドウ、ミヤマキンポウゲ、ミネウスユキソウなどが点々と咲いていた。
灌木帯の中ではオククルマムグラ、アカモノ、ゴゼンタチバナ、ツマトリソウ、マイヅルソウを見る。
再び湿原に出るとイワイチョウ、オゼソウ、ミヤマキンバイ、ネバリノギラン、ヨツバシオガマ、ハクサンチドリ、チングルマなどが咲き乱れる。
岩稜帯に出てひと登りで小至仏。
ミネウスユキソウ、ハクサンシャクナゲ、タカネバラ、タカネシオガマ、ムラサキタカネアオヤギソウ、マルバシモツケなどが咲く、いいところだ。
登り始めから約2時間で至仏山。
平日だが、登山者の数はそれなりに多い。
先も長いので、小休止もほどほどに山の鼻に向かって下り始める。
小至仏からの尾根で見たイワツメクサ、ホソバヒナウスユキソウ、ジョウシュウアズマギク、タカネシオガマ、タカネナデシコ、クルマユリ、ムシトリスミレなどを眺めながら、なるべく足に負担をかけないよう、ゆるゆると下るが、いつ来てもここの下りはきびしいと思う。
花ばかり見ていたら、岩の上でビンズイがさえずっていた。
ネズコの大木が見えてくるとようやく樹林帯。
メボソムシクイ、コマドリ、ルリビタキなどの声を聞きながら、しばし急降下が続き、山の鼻の湿原に出るとほっとする。
4日ぶりの尾瀬ヶ原だが、咲く花のようすはずいぶん変わった感じがした。
ニッコウキスゲは例年並みとのことだが、それにしてはずいぶん少なかった。
湿原ではホオアカが枯れ木にとまって、あちこちで元気よくさえずっていた。
拠水林や小屋周辺のクガイソウやアザミには、コヒョウモンやミドリヒョウモンが群がっていた。
写真を撮りながら見晴十字路に着くと、雨が降り始めたが、すぐにやんだ。
三條の滝を見に行きたいという人がいたので、彼らと北に向かって下り始めたが、すぐにおいてきぼりにされてしまった。
足が痛くなってきたので、平滑の滝展望台の梯子を下り、ネズコの大木を鑑賞しながらゆっくり下っていくと、滝を見てきた人たちが戻ってきたので、共に原の小屋に入った。
2日目 (大清水まで)
夜半から雨が降り出し、屋根を叩く雨音は朝までやまなかった。
燧ヶ岳への登山は、希望者がいなければ中止してもよかったのだが、けなげなことに、登りたいという人が10人近くいたので、さほどの降りでもないので、迷わず決行。
燧ヶ岳の登りにかかる手前にある巨ネズコの写真を撮りたかったが、雨が強かったため断念。
オオバミゾホオズキの群落を見ると、傾斜が出てくる。
またも足が痛くなってきたので、先頭を若い人にゆずって、マイペースで歩かせてもらう。
この山にこのコースから登るのは、ここ5年間で3回目だからいくらか慣れたが、森林限界を超えてハイマツ帯に出たところからが、けっこう長くてきつい。
山頂に着いても雨はやまず、冷たい風とガスでうすら寒かった。
柴安グラには誰もおらず、マナイタグラに数人のハイカーがやはり寒そうに休んでいた。
あまりゆっくりしたい雰囲気でもなかったので、早々に下山。
一時はあがりそうだった雨が再び強くなってき、赤土のえぐれた登山道は雨水の通り道になってしまった。
勢いよく水の流れる道が終わると、長英新道お決まりの延々続くぬかるみの道。
尾瀬ヶ原の木道整備にもずいぶん経費がかかっているだろうが、この道も木道を敷設するなど、早く整備しないと道幅がどんどん広がってしまいそうだ。
何度も転倒した人が足を痛めたので、一時はどうなることかと思ったが、案じたよりも軽症だったので事なきを得た。
長蔵小屋前から三平峠にかけては強かった雨も、群馬県側にどんどん下るころにはあがり、休みもとらずに急いだ結果、あまり遅くならずに大清水に着いた。
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