家を出たのが、遅かったので、高速道路を使っても、会津に着いたのは午後ずいぶん遅くなってからだった。
これでは、ブナの山にはとても届かない。
でもせっかくなので、一時間で登れる小ピークをピストンすることにした。
別茶屋登山口の立派な看板を見ながら、林道を行く。
あたりはスギの混じった、ごくふつうの里山で、我が家のまわりと変わらない風情だ。
道ばたの雑草にからんだ、カラハナソウが咲いている。
以前、このツルでリースを作ったり、果実酒を作ったりして遊んだことがあったが、ここの花は、摘むにはまだ若かった。
登山道に入るところは、キンミズヒキなどの茂ったヤブで、ズボンに大量の種子が付着して、気持ちが悪い。
しばらくで、ヤブっぽいながらも、ちゃんとした道になるが、こんどはジョロウグモの巣が、至るところに架かっているので、顔の前で木の枝を振りながらでないと、とても歩けたものではない。
こんなにクモの巣の多い山に来たのは、初めてだ。
足元には、ナラタケモドキの残骸がすこぶる多い。
このキノコ、今年は、おれの地元でも大発生しているのだが、いったいどうなっているのだろうか。
鳥屋清水という看板があったが、そこには、小さな水たまりがあるだけで、水場としては、使えない。
クモの巣がいくらか少なくなると、しっとりした雑木林を抜けて、北から登ってくる尾根道に出る。
こちらは道幅も広く、しっかりした登山道だ。
戻り気味に登りつめたところが、小広く刈り払われた、鳥屋山のピーク。
展望図が設置してあるが、雑木が育っていて、展望はなし。
展望はなくとも、おれなどは、静かなピークにたどり着けただけで、十分に満足だ。
しばし休み、サルナシやガマズミを摘みながら、登山口に戻った。
この日、車中泊し、翌日博士山をめざそうとしたが、朝から雨のため、あっさりあきらめて帰途についた。